22/37
桜吹雪
あなたの好きだった染井吉野は
今年も薄紅の蕾をつけて
優美にその花を開きそして風に散って逝った
花は終わり優しい黄緑が伸びやかに葉を開き
新しい季節へとバトンが渡される
風が強く吹く中私は立ち止まる
今は緑の並木道ひとりきりの私
思い出すのはいつか見た桜吹雪の中のあなた
桜の花びらを手のひらに肩に乗せながら
花が散るのは寂しいねと切なそうな表情で
見上げ呟く声
それは幻想の桜吹雪の中に消えて──
緑が風に揺れる
光が透けて新しい季節は
目の前にあるにもかかわらず
私の心は今も幻の桜吹雪の中
あなたの姿を見つめている




