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ばけもの子供の物語

ばけもの子供の物語 迷R2

作者: リィズ・ブランディシュカ




 イラナイ子供を捨てる迷路。


 それは、世界のどこかにある。


 探そうとしなければ見つからない存在だけど。


 でも、探そうとすれば、必ず見つかる。


 そんな不思議な迷路。





 そんな迷路に捨てられた子供は、その中をさまよう。


 出口のない迷路を、ずっとぐるぐる歩かなければならない。


 終わりはなくて、そこから出る事はできなくて。


 永遠に、ずっと。死んでも出られない。


 だから今、その迷路に捨てられたとある子供は、眼の光る女の子は、自分の末路を悟っていた。


 けれど、両親は自分を愛していないと、ずっと前から気付いていたため、驚きも悲しみもなかった。


 しかし、ただ死を待つのは退屈だった。


 暇つぶしにその子供が迷路の中を歩いてみると、同じような境遇の子供達が大勢いた。


 木の蔓を出せる少年。


 羽の生えた少女。


 人ではないものたちが、たくさんいた。


 世界には、イラナイ子供がたくさんいるらしい。


 イラナイのなら、どうして生んだのか。


 それは、大人に聞いてみないと分からないが、捨てられると分かった時にはもう遅い。


 疑問を抱いた頃には、迷路の中なのだから。






 散々歩き回った子供は、迷路の奥で出会った。


 自分と同じ、イラナイと言われた子供に。


 蛇の髪を持った少年は「やあ」と手を上げた。


 そして、「イラナイ大人」を捨てる迷路を作ろうよ、と述べて、手を差し出してきた。


 目が光る子供は、全てがどうでもよかったが、「イラナイ大人」を捨てる迷路があったら、大人達がどんな反応をするのかと考えたら、興味が湧いてきた。


 だから、伸ばされたその手を掴んだのだった。






 数十年後「イラナイ人間」を捨てる迷路が出現し、その噂が世界にはやった。


 噂は長い間形継がれていく。


 しかしなぜか「イラナイ大人」ではなく、「イラナイ人間」としての噂だった。


 大人しか捨てられない場所だというのに。


「噂をはやらせ続ける事も、なくす事ができるのも、大人だからねと」年の変わらない子供。蛇の髪の少年はそう言った。




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