4.心配させてごめんなさい!
今日は初っ端からついていた。
お天気は晴天だし、風も穏やか。
それ以上に追加して、ついに食糧ゲット。
じゃがいも 3つに、玉ねぎ1つ。
感無量!
しかも、万能野菜のじゃがいもと玉ねぎ。
これでスイリがきっとおいしい料理を作ってくれるはず・・・。
想像するだけで、お腹が盛大な効果音を演出してくれる。
はやる心をおちつけさせて、師匠もどき(通称トムじい)と明日の約束をし、小屋を出た。
少し日は傾きかけているが、まだ空は明るい。
アイリは5歳児らしく、スキップランランランで、家路へ向かう。
気分は最高潮だ。
そのまま足を進めると、鬱蒼とした木々の隙間から、チラリと見えたオンボロ小屋が輝いて見える。
アイリは、心理状態はものの見方まで変えるのねと思いながら、そのままスキップを続ける。
とうとう家の目の前についても、オンボロ家は輝いていた・・・いや、壁の隙間から光が駄々洩れしている。
これはもしかしてと思い、こっそりドアを開ける。
案の定、スイリが仁王立ちで待ち構えてた。
その雰囲気から、なにかやらかしちゃったやつと察するも、具体的に何をやらかしたのかさっぱりわからない。
スイリの顔を見ると、怒っているようでいて、心配している様な表情。
再度アイリは考えてみた。
私は病み上がりの5歳児。
『母親』の立場からしてみれば、治ったばかりの子を置いて、働きに出るだけでも罪悪感がある。
それも相まって、急いで帰ってきたら、家に居るはずであろう我が子がいない・・・もはや恐怖だろう。
精神年17歳なのに、なぜこんな単純なこと思いつかなかったんだ。
せめて、書置きしておけばよかった・・・って、こっちの文字知らないしなと、あきらめて叱られる覚悟を決めたその時、スイリが号泣しはじめる。
泣きすぎて、もう顔面崩壊している。
子供みたいに泣きじゃくっており、アイリが説明しようとしても、暖簾に腕押しの状態。
「アイリちゃんは、私が頼りにならないから出て行ったんだわ」
「ごめんなさい、そんなんじゃないよ!」
「いや、じゃぁママの事嫌いになったのね」
「違うよ、違うよ!」
このやり取りをさっきから10回くらい行っている。
その後も続き、やり取りの桁数が1桁上る前に、母はやっと落ち着いた。
その間、アイリは必死。
スイリは、記憶力がよかった。
「その言葉さっきも言っていた。同じ言葉を適当にいっているのね」っとまで言いがかりをつけてくる。
仕方がないので、アイリは頭をフル回転させ、どれだけスイリが大切で、頼りにしているのかを、原稿用紙100枚つづれるくらいの熱量で、熱く語らなければならなかった。
途中から、このやりとり意地悪で言ってるのではないかと疑うぐらいしつこかった。
叱られるよりもしんど過ぎて、次回から無断でいなくなるのをやめようと、アイリは心に固く決心した。
(ゼーゼーゼー)
熱弁しすぎて、のどが渇く。
棚から2つコップを出して、蛇口をひねって水を注ぎ、一つは自分で一気飲みし、もう一つはスイリに渡す。
スイリも泣きつかれて、のどがカラカラなのか一気飲みをする。
漸く、泣き言タイムの幕を降ろすことができた。
「アイリちゃん、お腹すいたでしょ。夕飯にするわよ」
食卓に並んだのは、カピパンとおかず。
おかずは、男爵様たちの下げ渡しを優先的にもらえたとのことでお肉があった。
野菜もあり、食卓が輝いて見える。
この肉厚のお肉のかけらに、ドレッシングらしきものがかけられた野菜。
この数日間の粗食生活を経験した身から言うと、格別に美味しい。
味付けは、塩コショウで単純。
だけれども、それが逆に素材の旨味と甘みを引き出しているのか、ちょうどいい塩梅。
幸せって、食事を楽しむためにあるのかもしれないななんて考えながら、無心で食べていると、スイリがフフっと笑った。
「残飯って言っても、男爵様たちの手が付かなかった分の料理だから、おいしいでしょ?いつもは、使用人たちで分け合うのだけれど、貴女の快気祝いという事でみんなが全部くれたのよ」
「えっ、そうなの?皆さん優しい人たちなんだね」
「本当、感謝しなくちゃね」
微笑むスイリの姿は相変わらず可愛かった。
そこでアイリは、今日の食糧ゲットの成果を報告しようと下に置いてたズタ袋を取り出す。
「ママ、今日花師のトムじいから、いい物もらったよ!見てみて」
「・・・・じゃがいもと、たまねぎ・・・ね」
スイリはそう言うと、固まった。
「トムじいの所でお手伝いしたら、今後野菜分けてくれるって!私明日から手伝いにいくから」
「・・・あなたは、まだ子供なんだから、いいわよ仕事なんてしなくて。毎日残飯出るし、今日みたいな量じゃないけれどもらって帰れるのよ。だからこれからは大丈夫」
「えっ、でも食糧はないよりあったほうがいいよ」
「でも・・・・トムじいにも悪いわよ」
「大丈夫だよ、今日トムじいの所でお昼ご飯だしてもらったんだけど、食材豊富で私たちみたいに困っているような感じじゃなかったよ。」
「でも・・・・」
言い淀むスイリ。
アイリはスイリの拒否する理由がわからない。
どう考えても、この家は食糧がなさすぎる。
冷静に考えても、食糧もらえるなら、貰って備蓄した方がいいに決まっている。なのに何故スイリはかたくなに拒むのだろう・・・。
事情はよく分からないが、ここは押さなければならないとアイリは直感する。
「三食食べたいの!一日一食いやだよーひもじいよ~」卑怯だが、泣き落としを試みた所、スイリはあっけなく折れた。
「・・・ごめんね、わかったわ。あなたの思いをくみ取れてなかったわね。そうね、食糧多いに越したことはないわね。せっかくアイリちゃんが私たちの生活をおもってくれてたのに、ごめんね」っと悲しそうにいった。
翌朝、スイリの拒否した理由が思いがけない方法で、判明することになるとは、この時、アイリは思いもしなかった。
投稿できてるつもりが、できてなくて焦りました。。。
誤字脱字ございましたら、教えていただけると幸いです。




