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第51話 真の恐れ


「あわわ何コレ何コレぇぇぇ〜っ!?」


「うおぉぉぉ〜っ!?(×5)」


 未だ嘗て体験したことのない激しい震え。まるで世界そのものが身震いしているかのよう。まさしく異常事態。

 突如として足元が揺れ、視界も揺れ、間もなくすると全身までもが揺さぶられるほどの〝大きな何か〟が起こり、それによって私たちは大慌て。とにかく気が動転してしまい、咄嗟に思ったことをただただ叫んだ──いや、叫ばずにはいられなかった。……しかし、そんななか……



「ぐぬぬ物凄い揺れ……だが私は負けん!!」


 持ち前の負けん気と粘り強さを発揮してどうにかこうにか立ち続けている私。

 不思議とコケたら負けな気がしてならず、この鍛え上げた体幹を駆使して意地でも耐え抜く所存だ。


「かかか神よっ、どどどどうか鎮まり給えア〜メン!!」


 都合良く神に祈るマイセル。

 できるだけ身を屈め、小刻みに震えながらも祈りのポーズでひたすら「鎮まれ」を連呼している。

 ていうか、この揺れと神様にはなんらかの因果関係があるってこと……?


「ぐぐっ……い、一体なんなんだこの大地を揺るがす現象は……はっ! ま、まさか……これが地震──ッ!?」


 意味深な台詞を深刻な表情で口にしたシンカー。

 だがその直後に「あいたっ」と尻餅をついたので全てが台無し。正直ダサいしカッコ悪い。けどそういうドジな一面こそ私的には好感が持てる。好感度+10P(ポイント)



 ……その後、このまま暫くは続くかと思われた大きな揺れは初動から30秒ほどで急激に勢いを落とし、それから程なくして大方落ち着くと、やがて僅かな地響きも消え、ふと気づけば完全なる静寂が訪れていた。

 すると、ある者は茫然としたまま動きを止め、またある者は次なる揺れに備えて警戒をし、またまたある者は「どうだコケなかったぞぉ!」と勝利のガッツポーズで両手を天に掲げて満面の笑みを見せる。……あ、ソレ私か。でも勝ったからなんでもいいや!


「……で? その地震ってなに?」


 笑顔から一変、真顔でシンカーに聞いてみた。



 地震……それは災禍の前触れ。一説によれば神の怒りとされているが、最も有力な説として異界の扉が開いた際の余波であると云われている。但し、宗教的観点では前者の方が有力視されている模様。



 ……ふむふむ、そういうことか。

 一般的には異界なんちゃらが有名だけど、マイセルみたいな聖職者や他の宗教家には神様が怒ると地震も起こるって思われてるわけね。──おっと、ダジャレになっちゃった。


「……!! それより今すぐにでも外へ出た方がよさそうです。ほら、天井に少しヒビがある。もし次があればこの洞窟が崩れかねない」


 冷静に状況判断を下したシンカー。横顔がとても凛々しくサマになっている。好感度+5P。

 そんな甘いマスクな彼の的確な意見に「……うん、そう……だね」と後ろ髪を引かれる思いで同意した私たち五人。

 もうじきココへ着くであろう皆との合流を待たずして、ひと足先にこの洞窟から脱出することに決めた。……この四人を失うわけにはいかないから。


「……ごめんみんな、先に外行ってるね……」


 独り後ろを振り返った私は、皆に対して申し訳ない気持ちを抱きつつ奥へと続く通路の先を見据え、その言葉だけを呟いたのち、【ガルキマセラ】の面々と共に重い足取りで外へと繋がる通路の方へ向かう。どうか無事でいてほしいと、切に願いながら。


 ……


 ……


 ……ん? なんだろ? 後ろになんかいる……?


 通路へと向けてトボトボと歩いている最中、突然うっすらとだが妙な気配を感じ取ったため取り敢えず振り返ってみたところ、光の届かぬ場所から現れたであろう何者かがジッとこちらを見つめていた。


「──魔物っ!? いや、うん、でもなんか……」


 気配を深く探るも特に悪意や殺気は感じず、見た目はとにかく可愛らしく完璧に私好み。

 背丈はレオと同じくらいで口は小さく瞳はつぶら。肌の色は明るめの緑で例の悪鬼どもとは大違い。

 そう、悪鬼といえば……視線の先にいるあの魔物も小さな双角を生やしてはいるが、ゴブリンとは似ても似つかぬほど愛らしく、野蛮な奴らとは違ってきちんと衣服も着ているのだ。しかも子ども用の白ローブとかシャレオツすぎる!


 そんな見たことも聞いたこともない魔物に【ガルキマセラ】の五人は物凄〜く警戒をしているが私には分かる……あの子は決して悪い魔物ではないので大丈夫だと。だって可愛いは正義だもん!


「ねぇ、キミ……こんなとこでどうしたの? もしかして迷子? 飴ちゃんいる?」


 ゆっくりと近づいて話かけてみた。いつもと同じ、人の子と話すときのように。


「……?」


 軽く首を傾げる魔物。

 やはり言葉が通じないようだ。まぁ、当たり前と言えば当たり前なのだが。


 うーん、兎にも角にもこんなとこにいたら危ないよね……あっ、そうだ! ひと先ず一緒に外へ連れていこう! うんっ、それがイイ!


 同伴という答えに至った私は、万が一にもこの子が迷子にならぬよう「……手、繋ごっか」と徐ろに左手を差し出した……がその時、予想だにせぬ展開に顔を引き攣らせた。


 あれほど愛らしかったはずの魔物の顔は不気味に変貌を遂げ、皆無であったはずの悪意と殺気が吹き出すように全身から放たれたのだ。


 小さな口は張り裂けんばかりに横へ開き、つぶらな瞳は歪な広がりを見せ、傾げた首を直角にまで曲げて禍々しく笑う。


 あまりの変化に驚き、慄き、思い切り後退りしてしまった私。とにかく怖い、怖すぎる。

 そんな私……いや、私たちにまるで見せつけるかのように、その魔物はいつの間にか手にしていた漆黒の水晶を高く掲げ、同時に何かを叫んだ。呪いにも似た何かを。



「──!? な、何コレ……真っ黒い、沼……!?」


「……そ、それだけじゃない……これらは手、なのか……!?」


 咄嗟に声を漏らす私とシンカー。

 突如現れた漆黒の沼地に足を取られ、更にはソコから生える無数の漆黒の手が私たちを沈めるべく全身に絡みついては強引に下へと導いていく。


「──ッ!? ダメっ、このままじゃみんな沈んじゃう!!」


 必死にこの手らを振り払おうにも触れることすらできず、沼地から抜け出ようにも足を封じられているためそれも叶わず、早々に手詰まりとなり、そうして何一つ抗えぬまま下半身が沼地の中へと消える。


 ……あぁ、本当にダメかも……と誰もがそう考えたに違いない。因みに私は考えてしまった、不覚にも。

 されどその刹那、私の相棒……いや、全ての〝我が子〟が一斉に光り輝きだしたのだ。黄金色に。


 漆黒から脱しようと私たちが必死に足掻く様子を嘲笑いながら眺めていたはずの魔物も驚愕しすぎて顎を外すほどの美しき光。

 その光たちは持ち主を護るためなのか球体状に形を成すと、神々しく輝き、絡みつく手を遍く退け、遂には沼地ごと消滅させた。


 ……ま、まさかキミたちにこんな凄いチカラがあったなんて……ううん、それよりありがとね。私たちのこと護ってくれて……


 我が相棒にこの感謝の想いを伝えるため、しっかりと額を付けて思念を送る。

 その傍らでシンカーたちも同様に感謝を伝えているのが気配で分かり、造り手として、また母としてこの上なく幸せな気持ちとなった。


《ふふふっ……♡ あっ、そういえば──》


 不意に思い出しては〝あの子〟に目を向けると、慌てふためきながら逃走を図る後ろ姿を確認。

 すると、またもや何かを叫びつつ光の届かぬ場所へと早々に消えていった……が、敢えて黙認を。


 はぁ……逃げてくれてよかったぁ……幾ら魔物でも子どもは殺したくないもん! たとえ甘い考えだと言われようとそれだけは絶対譲れない!


 などとキメ顔で思うこと僅か数秒後……私たちは〝真の恐れ〟を知る。否応なく、唐突に。


 これまで相対した魔物など比ぶべくもないほどのプレッシャーを放つ何者か。故に身体は重く、呼吸もしづらい。

 だがそれでも負けじと気配の元を注視すると、その何者かは〝あの子〟と入れ違うかたちで光の届かぬ場所からのそりと姿を現し、獲物を観察するかの如くこちらを睨み、そして妖しく笑う。

 恐怖の始まりだと言わんばかりに、血の匂いを漂わせながら……──



       〜メイキング&NG集〜



オルド「今日は〝51話目〟撮りますんでおなしゃーす!」


みんな「おなしゃーす!!」


オルド「んじゃ本番いきまーす!」



ルゥ「あわわ何コレ何コレぇぇぇ〜っ!?」


ガルマセの五人「うおぉぉぉ〜っ!?(×5)」


クリスタ「未だ嘗て体験したことのない激しい震え。まるで世界そのものが身震いしているかのよう。まさしく異常事態。突如として足元が揺れ、視界も揺れ、間もなくすると全身までもが揺さぶられるほどの〝大きな何か〟が起こり、それによって私たちは大慌て。とにかく気が動転してしまい、咄嗟に思ったことをただただ叫んだ──いや、叫ばずにはいられなかった。……しかし、そんななか……」


ルゥ「ぐぬぬ物凄い揺れ……だが私は負けん!!」


クリスタ「持ち前の負けん気と粘り強さを発揮してどうにかこうにか立ち続けている私。不思議とコケたら負けな気がしてならず、この鍛え上げた体幹を駆使して意地でも耐え抜く所存──」


ルゥ「──あいたっ!?」


クリスタ「あらあらwどうやら鍛え方が足りないようねww」


ルゥ「くっそぉ、10日に1回はジム行ってるのになんでぇ〜!?」


クリスタ「はぁぁぁっ!? 寧ろよくその程度であの揺れに耐えられると思えるわけ!? どうかしてんじゃないのアンタっ!?」


ルゥ「えっ? だってゴルトもそのくらいだって言ってたよ?」


クリスタ「はぁ……ったく、世話の焼けるコ。そもそもあんな怪物染みた男がジムに行く必要あると思う? ないわよね?」


ゴルト「ぶぇっくしょんっ!」


ルゥ「まぁ……確かにそうかも。……あ、でもじゃあなんでゴルトはジム行ってるんだろ?」


クリスタ「さぁ? あんな男のことなんて知らないし知りたくもないわ」


ゴルト「ぶぇっくしょんっ! ぶぇっくしょんっ!」


ルゥ「や、やけに辛辣ぅ……ひょっとして昔なんかあった?」


クリスタ「……知りたい? あの男とのこと」


ゴルト「ぶぇっくしょんっ! ぶぇっくしょんっ! ぶぇっくしょんっ!」


ルゥ「うんうんっ、知りたい知りたい!」


クリスタ「はぁ……仕方ないわね。特別に教えあげるわ……あの男と昔何があったのか。そう、あれは──」


ゴルト「──ぶぇっくしょんっ! ぶぇっくしょんっ! ぶぇっくしょんっ! ぶぇっくしょんっ! ──って、いい加減にしろぉぉぉーっ!! あ、つい喋っ──」


オルド「──はいカーット! キャラ崩壊さすなでーす!」



 ……結局、クリスタからゴルトとの関係性を聞くことができなかったルゥであった……


ルゥ「へくちゅっ」


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