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第29話 さぁ、一緒に行こう!!


《それに噂は噂っ! 信憑性なんて無いに等しいはず!》


 フェルムから〝ある噂〟を聞かされたことで強い不安と恐怖に襲われるも、とにかく安心したいがためにそう思い込むことにした。

 しかし、プラータが発した次の言葉によって更なる不安と恐怖に襲われる羽目となる。


「……うん。その噂、きっと本当だよ。前に王都でも同じようなことあったから」


「──ッ!? そ、そんな……じゃあ、まさかあの四人も──!?」


 津波の如く押し寄せる不安と恐怖により居ても立っても居られなくなった私。

 みんなの制止を無視して一心不乱に駆けていき、冒ギルに着くなり他の冒険者たちの間を「ごめんなさい!」と謝りながら割り入っては引き千切る勢いで大扉を開けた。すると……



「……いない……」



 どこにもあの四人の姿は見えず、この時浮かんだのはあの身の毛が弥立つほどの噂たち。


 ……ッ!! 違うっ、違う違う違う! 絶対あり得ないそんなこと! だってあんなに自信満々だったもの!


 すぐさま首を左右に振ってそれらを払い除け、代わりに考えたのは勘違いの線。


 あの四人が聖剣を探していた理由……それは、全ての聖剣が宿すとされる〝聖なる光〟を以て魔物を討伐するため。

 聖剣は特殊能力を有するとともに〝聖なる光〟をも剣身に宿しているので不死種や霊魔種を斬り裂くことができる。

 故にそのチカラを得た彼らならば霊魔種であるゲシュペンストを討伐しに向かうはずだと、そう考えていた。


 でももしそれが私の勘違いだとしたら……だけど、そうすると聖剣を探してた理由が破綻しちゃう。あの四人は〝ある魔物〟を討伐するために探してるって言ってたのに……それなら、やっぱりあの噂と同じように……


 拭い切れぬ噂たちにあの四人を重ね、遂には最悪の想像をしてしまう。


「……ごめんなさい……私が進化させたばっかりに……」


 底知れぬ罪悪感から涙が滲み、不意に零れかけるも、それでも信じられない! 信じたくない! と目に力を入れて泣くのを我慢。


 ……そうだ、泣いてる場合じゃない……うんっ、今から確かめに行こう! 泣くのはその後だ!


 逸る気持ちの赴くままに涙を拭い、大扉を閉め、街の外へ出るため踵を返そうとしたその矢先、先程割り入ってしまった冒険者たちのうち一人から声を掛けられることに。


「ねぇキミ。幾ら急いでても割り込みはしちゃダメだよ? 僕らだって早く報告したいんだからさ……って、あれ? その格好──」


「──あっ、ご、ごめんなさ──」


 謝りながら振り返った直後、我慢していたはずの涙は容易く零れ、無意識に駆け寄るなり目の前の彼に抱きついていた。


「せせせせっ、聖女様ぁ!? 凄い嬉しいけどまだ心の準備が──って、痛だだだっ!? ちょ待っ、折れっ、背骨が折れちゃうぅぅぅ〜っ!!」


 突然の嬉しすぎる再開にシリエスの身体を力いっぱい抱き締めていると、いきなり慌てた声で「はっ、早く離れなさいよ!」と叫んでは剥がしに掛かるピスカ。

 そのスラリとした見た目に反した膂力に驚いた私は、ついうっかりと心の声を漏らしてしまう。


「わわっ!? こんな細身なのに凄い力っ!?」


「いやキミも大概だからね」


 アノープスにツッコまれた。てか嬉しい! 絶対お世辞だろうけど!



 それからすぐ、私たちのやり取りを眺めて苦笑いを浮かべていたレジーナだが、突如「コホンッ」と咳払いをしては真顔となり、「それより何かあったのか? 泣いているように見えたのだが」と心配そうに私の目を見つめる。


 その一点の曇りなき瑠璃色の瞳はビーム由来のもの。

 きっと女性である彼女が大剣を振るえる理由もソレが関係しているのだろう……と、全く別のことを考えながら「ううんっ、全然何にもないよ! ただ勝手に空回りしちゃっただけ!」と安心させるために明るく返し、「それより早く報告に行かなきゃ! にひひっ、きっと驚くよぉ〜みんな!」と笑顔で話題を変えつつ大扉を開けて中へ入るよう促す。そして……



「いってらっしゃい! 四人の英雄様っ!」


 大扉から一歩引いた場所でエールを送り、満面の笑みで彼らを見送った。

 他人の私がいては四人の邪魔になってしまうと考えたから。


 けれど……そんな私の気持ちとは裏腹に、何故か不思議そうな表情を見せる四人。

 しかもピスカに至っては「……は? そんなとこで何してんのよ」とか口にする始末。


 その言葉と表情が何を意味するものなのかさっぱり分からず、私もまた不思議そうな表情で返す……とそんな折、徐ろに右手を差し出したシリエスは笑顔を浮かべてこう告げる。



「さぁ、一緒に行こう!!」



 思わず「……え?」と唖然とする私。

 だがすぐさま我に返り「で、でも……」と戸惑いだすと、「あーもー! 焦ったいわね!」と足音を立てながら目の前に来たピスカに右手首を掴まれ、そのまま連行されるや否や急遽列に並ぶ羽目に──って、なんで私まで!?



「お待たせいたしました。本日はどのようなご用件でしょうか」


 順番が来た途端、昨日と寸分違わず同じ台詞を口にしたのはクール系美人のオセロア。

 たとえ相手がBランク冒険者であろうとその態度は相変わらず素っ気ないご様子。


《まぁ、相手によってコロコロ態度を変える奴よりも遥かにマシだけどね……いやホントマジで!!》


 なんて切実に思っていると、急にシリエスはニカリと得意げに笑い、ショルダーポーチから拳大の青い結晶石を取り出すなりカウンターテーブルの上に置いた。


「あの、コレは一体……?」


「ふっふっふっ、イイ質問をありがとう! コレはなんとっ、あのゲシュペンストの魔核なんだ!」


「……は? い、今なんと……」


「だ〜か〜ら〜! あの〝不可侵の魔物〟と呼ばれてたゲシュペンストの魔核っ! つまり倒したってこと!」


「──ッ!? しょっ、少々お待ちを! 今すぐ確認しますので!」


「うん、よろしく〜」


 あ、どっか行っちゃった……それにしてもあの慌てよう、やっぱ物凄いことなんだ。

 まっ、そりゃそうか。だってこの半年間、誰も討伐できずにただ放置するしかなかった魔物だもんね。

 そんな凄い魔物をこの四人は討伐したんだ……それも大量発生してたゴーストやスペクターまで間引いてきたみたいだし。


 カウンターテーブルの上に目を向けると、そこには中・小と二種類の魔核も一緒に置かれており、その数は百を優に超えるほど。


「てか魔核ってなに? 魔石とはどう違うの?」


 ふと疑問に思ったので聞いてみた。特に相手は決めていないが。


「はぁ? アンタ、そんなことも知らないの?」


「ぐぬぬっ……ま、まぁね……あ、ならそう言うピスカは知ってるってこと?」


「え? あっ、あったり前じゃない! コレはあれよっ、そのぉ、えっとぉ……アノープスっ! アンタが代わりに答えなさい!」


「えぇ〜……」


 アノープスとハモった……って、結局知らんのかい!



 ……という流れで、オセロアが魔核の確認を終えるまでの間、アノープスから〝魔核とは何か〟をご教授いただくこととなった。


 魔核とは……魔物の体内に存在する第二の心臓であり第二の脳でもあるなんとも不可思議な結晶器官。

 魔物の種類によって色や形状が異なり、更には特殊なスキルを使うか倒してからではないと視認できないものもある。今回の魔物がまさにソレ。

 そして何より、万物に宿る〝魔力〟の貯蔵庫的な役割も担っているらしく、この魔核を加工すれば上質な魔石になるというのだから驚きだ。



「ありがとアノープスっ! めっちゃ物知りなんだね!」


「いやいや、このくらい冒険者なら誰でも知ってるさ」


「ふ〜ん……誰でも、ねぇ……」


 ジット〜っと疑惑の視線をピスカに向けたところ、バツが悪くなったからか「ゔぅっ」とたじろぐ彼女。

 その姿が可愛くも面白かったため、みんなとニヤニヤ〜っとしながら眺めていたその最中、平静を取り戻したオセロアが魔核の確認を終えて戻ってきた。それも何故か他の職員をぞろぞろと引き連れて。


「大変お待たせいたしました。それでは早速ですが本件につきましてご説明を──」


 ──!! キタぁぁぁ〜〜ッ!! くぅ〜っ、めっちゃ緊張するぅ〜!


 高まる期待に高鳴る鼓動。

 一方、ギルド内は静寂に満ちて……──



       〜メイキング&NG集〜



スタッフ「んじゃ次は〝ハグ〟のシーンいきまーす!」



クリスタ「拭い切れぬ噂たちにあの四人を重ね、遂には最悪の想像をしてしまう」


ルゥ「……ごめんなさい……私が進化させたばっかりに……」


クリスタ「底知れぬ罪悪感から涙が滲み、不意に零れかけるも、それでも信じられない! 信じたくない! と目に力を入れて泣くのを我慢」


ルゥ:ナレ「……そうだ、泣いてる場合じゃない……うんっ、今から確かめに行こう! 泣くのはその後だ!」


クリスタ「逸る気持ちの赴くままに涙を拭い、大扉を閉め、街の外へ出るため踵を返そうとしたその矢先、先程割り入ってしまった冒険者たちのうち一人から声を掛けられることに」


シリエス「ねぇキミ。幾ら急いでても割り込みはしちゃダメだよ? 僕らだって早く報告したいんだからさ……って、あれ? その格好──」


ルゥ「──あっ、ご、ごめんなさ──」


クリスタ「謝りながら振り返った直後、我慢していたはずの涙は容易く零れ、無意識に駆け寄るなり目の前の彼に抱きついていた」


シリエス「せせせせっ、聖女様ぁ!? 凄い嬉しいけどまだ心の準備が──って、痛だだだっ!? ちょ待っ、折れっ、背骨が折れちゃうぅぅぅ〜っ!!」


クリスタ「突然の嬉しすぎる再開に──」


シリエス「──痛だだだだだっ!? ギブっ! ギブギブギブっ! ホントマジ折れちゃうからぁぁぁ〜っ!!」


ルゥ「あぁっ!? ごめんなさぁ〜い! つい感極まってやりすぎちゃった!」


シリエス「チーン……」


クリスタ「ブフッw」


スタッフ「はいカーット! もう一回いきまーす!」


          (中略)


シリエス「せせせせっ、聖女様ぁ!? 凄い嬉しいけどまだ心の準備が──って、痛だだだっ!? ちょ待っ、折れっ、背骨が折れちゃうぅぅぅ〜っ!!」


クリスタ「突然の嬉しすぎる再開にシリエスの身体を力いっぱい抱き締めていると、いきなり慌てた声で──」


ピスカ「はっ、早く離れなさいよ!」


クリスタ「──と叫んでは剥がしに掛かるピスカ。そのスラリとした見た目に反した膂力に驚いた私は、ついうっかりと心の声を漏らしてしまう。


ルゥ「わわっ!? こんな細身なのに凄い力っ!?」


アノープス「いやキミも大概ゴリラだからね」


ルゥ:ナレ「アノープスにツッコまれた。てか嬉し……って──」


ルゥ・ピスカ「──誰がゴリラだ!!」


アノープス「ひぃぃぃっ!?」


クリスタ「きゃははははww」


スタッフ「はいカーット! もっかいいきまーす!」


レジーナ「はぁ……バカばっか……」


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