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第23話 一悶着


「チッ、ウザってぇ視線だぜ全く」


 順番待ちの最中、明らかに見られ捲っていることに機嫌を損ねるフェルム。

 確かに私も感じてたけど敢えて無視を……てか、そんな衣装を着てたら当然こうなるよ、うん。


 先刻、受付カウンターへ一直線に向かったところ「申し訳ございません。最後尾にお並びください」と定型文のように受付の女性職員に促され、こうして列に並んでいるというわけだ。


 ゔぅ〜っ、幾ら知らなかったとはいえあんな恥ずかしいことを……って、明らかにあれも見られる原因の一つじゃない!?


 自業自得だと思った。



「お待たせいたしました。本日はどのようなご用件でしょうか」


 少し待ったものの、思いの外早くフェルムたちの番となり、代表のエタンが慣れた様子で要件を口に。

 因みに次は私の番。そのため、すぐ後ろから覗き見て学ぶことにした。


 話の内容はそう……仮宿登録の手続き。勿論、あの工房を仮宿にするためだ。

 もし仮にソレを怠ると、このギルドでの依頼受注ができず、そのまま更新期限を迎えると登録抹消をされてしまう恐れも。

 いかに自由職であるとはいえ、住所不定の輩を信用するわけにはいかぬということなのだろう。私もそう思うし。



「それでは皆さまの登録証をご提示ください。確認をさせていただきます」


 抑揚のない声で淡々と説明し、エタンから3枚の登録証を受け取った女性職員。

 すぐに登録証を黒い板の下にある長方形の溝に乗せ、浮き出てきた白文字を視覚スキル『速読』で瞬く間に確認していく。


 あっ! その手があったか! と気づかされた私も負けじと書かれた内容を『速読』にて盗み見。

 先ず記載されていたのは登録時の名前や年齢に性別。次にスキルやアーツなどの技術的なもの。そして依頼の受注履歴や仮宿の名称など──

 

 ──っていうかあの魔導具凄くない!? 人物鑑定的なやつじゃん! いいなぁ、一回でいいから見てみたいなぁ……自分を知るためにもさ!


 武器だけかと思いきや、魔導具にも大変興味がある私は黒い板をかぶりつくように凝視する……と、その黒い板から伸びる綺麗な手が異様に気になってしまい、つい辿って行き着いたのはあの女性職員の整った顔。


 それにしてもすっごく綺麗な人ぉ……しかも初めて見たよ、モノクロの髪とか……


 受付を担当しているのは、黒髪と白髪を半々に有したぱっつん前髪の綺麗な女性。

 人形の如く表情を全く変えず、寡黙で落ち着いた様相のクール系美人。


 てかあの髪色……両親の髪がそれぞれ白と黒ってことだよねぇ。なんか運命的ぃ……


 学ぶことを忘れ、脳内で勝手にラブロマンスを繰り広げていたそんな折、突如横から見知らぬ冒険者が絡んできた。それも四人。


 武器から察するに、剣士・槍士・剣士・剣士で構成されたなんともバランスの悪い駄パーティ。しかも野郎だけなのでムサ苦しさ抜群ときている。


 うへぇ〜、いかにもガラと頭が悪そうな奴らだなぁ……と思いつつ相手をせずにいると、リーダーらしき男(茶髪剣士)がニヤつきながら悪態を吐く。


「おいおい勘弁してくれよぉ。お前らココをパーティー会場か何かと勘違いしてねぇかぁ? つか、まさか魔物とダンスでもするつもりじゃねぇよなぁ?」


 その言葉を皮切りに、パーティ仲間のみならず周囲の冒険者たちも一斉に笑いだし、中には見下すような視線を向ける者も。


 ムカっ……!! なんなのコイツら急に馬鹿にしてきて! それに周りの奴らも超腹立つし! あーもーっ、こうなったら私が言い返してやる!


「ちょっとアンタら──」


「──待て!!」


 私の反論を止めたのは意外にもフェルムだった。真っ先に言い返しそうなのに。


「なぁお前ら。わりぃこと言わねぇからさっさと失せろ」


「はぁ〜? なんだそりゃ? ひょっとして俺らにビビっちまったのかぁ? このイケイケCランクパーティ【レッドクリムゾン】様によぉ!」


「うわダッサ!!」


 咄嗟に声を上げてしまった私。パーティ名があまりにもダサすぎて、つい。

 すると周囲は(ざわ)めきに包まれ、ピキピキと額に血管を浮かび上がらせた茶髪剣士が「こっ、このアマぁぁぁっ!!」と私の顔に目掛けて右拳を振るう。だが……



「ぎゃあ゙ぁぁぁっ痛い゙痛い゙痛い゙っ!! 手がっ、手がぁぁぁ〜っ!!」


 呆気なくフェルムに掴まれた挙句、軽々と拳ごと握り潰され、聞くに堪えない不様な叫び声を上げる結果に。

 そのうえピンチと見るや否や、仲間の三人も私たちに殴りかかろうと拳を振り上げる……が、結論から言うと奴らは一歩も踏み出せずに終わった。


 それは一瞬の出来事。

 ほんの瞬きする間にプラータが相手の背後に回り込み、剣士二人の喉元に苦無を押し当てて動きを封殺していた。てか速っ! 完全に見逃しちゃったよ!


「はぁ……女のコに手を上げるとかホントあり得ないんだけど」


 そう告げるとともに、冷たく突き刺すような殺気を放つプラータ。

 その殺気は凄まじく、周囲の冒険者たちも思わず怯んでしまうほど。


 そっか……私のこと、女のコだと思ってくれてるんだ……


 などと独り感激しつつ、当て付けるようにフェルムを横目で睨んだところ、心当たりがあったのかコイツは誤魔化すように目を逸らした。


 それはともかく、残り一人となった青髪槍士に視線を向けると、慌てて振り上げた拳を開いては〝お手上げ〟の仕草で降参を告げる。


「まっ、参った! もう突っかかったりしねぇから許してくれぇ!」


「んだよだらしねぇ。これなら王都にいるDランクどもの方がよっぽど絡まれ甲斐があらぁ」


 王都でも絡まれてたんかい! ってツッコみたかったけど我慢我慢。


 まぁ、さっきはあまりにもダサすぎてつい言っちゃったけど……ん? そもそも〝赤き深紅〟って……どゆ意味?


 その後、フェルムとプラータは無関心な様子で剣士らを解放し、何事もなかったかのように振る舞っては受付に戻る。

 これで一件落着。そう思いたかったのだが、どうもそう上手くはいかないらしい。


 私たちに恥をかかせるつもりが逆にとんだ赤っ恥をかかされた赤き深紅(笑)が武器を抜き、何振り構わず襲い掛からんと迫ってきたからだ。それも、先程降参したはずの青髪槍士まで。くっ、なんてセコいやつ!


 はぁ……自分たちから絡んできといてコレとか。こんなのそこいらのゴロツキと変わんないじゃん、マジ最低の極み。


 蔑むような目で奴らを睨み、ツールポーチから取り出すなり棍を構える私。

 その両隣には「クソどもが……!」と毒を吐きながら拳を構えるフェルムと、再び苦無を両手に持って「はぁ……」と幻滅のため息を吐くプラータの姿が。


 ふふっ、きっと二人も私と同じ気持ちなんだ……! そう思ったら嬉しくてつい笑みが零れ、同時にやる気が一気に沸いてきた……がその時、視界の外から驚愕の声が上がりギルド内に響き渡る。


「はぁぁぁっBランクぅ〜ッ!? それも王都からの移住ですって〜ッ!?」


 あのクール系美人の女性職員が予想外の驚きを見せたことによって、襲い掛からんとしていた赤き深紅(笑)は呆気に取られて動きを止め、一方の私たちも驚きのあまり反射的に振り向いてしまった。


 あぁ〜ビックリしたぁ! って、え゙ぇ〜っ!? こんな状況なのになんでドヤ顔なのアンタっ!? 


 振り向いた先で私が見たもの……それは、ドヤ顔のまま眼鏡を何度もクイッとさせるエタンの姿。

 しかも余程気分がイイのか「まぁそういうことだ……が、それでも掛かってくるのであれば、この上位戦力である私が直々に相手をしてやろう」とか気障ったらしく宣う始末。

 しかし、その台詞がまさかの終結を齎すことになるとは……解せぬ。


 イキり立っていたはずの赤き深紅(笑)は、私たちがBランク──それも王都の冒険者だと知るや否や、尻に帆を掛けて逃げ出すようにギルドから退場。

 更には野次馬冒険者どもも気不味くなったのだろう、顔を見られぬよう背を向けて皆散っていったのだ。


 うーん、私は違うんだけどなぁ……それにこんだけ悪目立ちすればこの後にも影響あるよね、絶対……


 ガックリと項垂れながら「はぁぁぁ……」と長めのため息を吐いた私は、ショバ代を払うべく受付カウンターへと向かいだし……──



       〜メイキング&NG集〜



クリスタ「ガックリと項垂れながら──」


ルゥ「はぁぁぁ……」


クリスタ「──と長めのため息を吐いた私は、ショバ代を払うべく受付カウンターへと向かいだし……──」


スタッフ「はいカーット!」


監督「……マル」


スタッフ「はいオッケーでーす! 第23話お疲れ様っしたー!」


みんな「お疲れ様っしたー!!」



ルゥ「はぁ〜、今日も疲れたぁ!」


エタン「ふぅ〜、今日も疲れたぁ!」


ルゥ・エタン「えっ──」


エタン「こ、こうして話すのは初めて……だよな?」


ルゥ「──!? そ、そうだね……」

 《なんか急に話かけてきたぁ〜っ!!》


エタン「じ、実は前から教えてほしいことがあったのだが……」


ルゥ「う、うん……」

  《えっ!? もしかして私のスリーサイズとか!?》


エタン「キミの……」


ルゥ「……ッ」

  《……ゴクリ……》


エタン「……保有してるスキルとアーツについて」


ルゥ「そっちかい!!」


エタン「ん? そっち?」


ルゥ「ななっ、なんでもない! そっ、それより私のスキルとアーツだよね!? それならこの黒い板で見れば……」



【**スキル:『*人の*』『*霊感*』……】


【固有スキル:──】


【種族スキル:『試行錯誤(トライアンドエラー)』『暗中模索(グロウプインザダーク)』】


【職業スキル:『火の眼』】


【共通スキル:『鉱石鑑定』『樹木鑑定』『水質鑑定』『的当て』『芯打ち』『木目切り』『高速採取』『気配察知』『望遠』『暗視』『剛力』『堅守』『速読』『地獄耳』『大跳躍』『猫足』……】


【体技アーツ:『背負い投げ』『巴投げ』『隅落とし』『小手返し』『水面蹴り』『椰子の実割り』『旋風脚』『飛双脚(ドロップキック)』『廻天式虎尾脚(ローリングソバット)』『物理的閃光魔術シャイニングウィザード』『鉄山靠(てつざんこう)』『真剣白刃取り』……】


【武技アーツ:『飛鳩落とし』『啄木鳥突き・波打ち』『啄木鳥突き・鬼打ち』『捩れ鴉突』『乱れ燕舞』『洋鵡返し』『雲雀流し』『葛折り鶴』……】



ルゥ「うーん、なんか読み取り遅いなぁ……あ、でももうちょっと待てば全部──」


フェルム「──ちょっと待ったぁぁぁ〜っ!!」


ルゥ「ひゃっ!? なっ、なんなの一体っ!?」


プラータ「いやネタバレしてるから」 


ルゥ「──ッ!? あ゙ぁっ! またやっちゃったぁ〜!」


フェル・プラ「はぁぁぁ……」


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