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短編集  作者: 岡倉桜紅
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戦場にて

「うう、もはやここまで。友よ今までありがとう」

「後のことは任せろ。何か言い残したいことはあるか?」

「じゃあ、俺が死んだら死体は故郷に持ち帰ってくれないか」

「ええ、嫌だ。重いし」

「なんでも聞くって言ったじゃないか」

「言ってない」

「そうか。なら首だけでもいい」

「俺がサイコパスみたいじゃないか」

「違う、それは頼んだ俺のほうだ」

「間違いない」

「じゃあ頼んだぞ」

「死体がしゃべった!」

「すまんがまだ生きてる。おい、まだ鋸出す場面じゃないだろ」

「まだ駄目か」

「亡骸を抱いて泣けよ」

「腰が痛くてしゃがみたくない」

「歳かよ」

「だって俺ら来年百だぜ」

「そこは死んどけよ」

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