第9話 「アブソリュート」
これは、ガルムが死ぬ前の話。
少年がゼロゲインと戦っている時、少年が全ての寿命と引き換えに大きな力を得ることで、ゼロゲインを倒すことが出来た。
ここのままでは少年が命を落とすことを悟ったガルムは、自分の寿命を少年に与えた。
ほとんどの寿命を無くしたガルムは、少年にまだ教えたいことが合ったがそれを伝えたほうが良いのか迷っていた。
そして、ガルムが死ぬ直前。深夜に少年が寝ている部屋に入って、そこで少年にあることを伝えた。
「少年、最後に花言葉を教えてやろう」
「全ての花には、それぞれの意味がある」
「その中でお前に一つだけ覚えといて欲しい花がある」
「彼岸花って知ってるか?」
「花言葉は、再開」
「これはお前が大切な人と別れる時に使ってくれ」
「それから、夢はあるか? 少年」
「何でも良い」
「小さな夢でも良い」
「どんな夢でも、最初は小さかった夢は、いつか大きな夢になる」
「だから少年、夢を持て」
「そんだけだ」
ガルムは、それだけ伝えると、部屋を出た。
寝てるお前に伝わるかどうかは分からない。
でもせめて、伝わってくれ。
お前への最後のアドバイスは手紙で書いておく。
ガルムは手紙を書き終わった後、聖暦634年、8月19日。午前2時35分。ガルム=ハンネス=ディラゴ。死亡
--
その二日後、少年は家を出た。
マキさんは少年が残した置き手紙を読んだ後。
机にある花が置いてあることに気づいた。
その花は、少年が家を出ていく際に置いていった物。
花言葉は、再開。
少年は彼岸花を置いて行った。
その日、少年は初めて嘘を着いた。
少年がここに戻ってくる事は無い。
ただ、記憶の奥底には常にこの家があった。
そして現在、少年は歩いていた。
南南東の方角に進み続けている。
伝説の龍に会いに。
「ああ、しんど」
「後どれぐらい進めばいい・・・」
少年がしばらく歩いていると、ある民家が見えてきた。
ん? 人が居る。
集中して見てみる。
え? 食われてる。
人が食われてるぞ、ヤバい。
更に近づいて見てみると。
二人居ることに気づく。
1人は大人の女性と、もう1人は子供の女の子。
俺より年下だ。
おそらく親子だろう。
そして、ツノがある大きな人の形した化け物が母親の方を食べていた。
母親はまだ生きている様子だがこれじゃあ助からん。
子供の方はただ呆然と母親が食べられている様子を見てるだけ。
その小さな少女は、絶望した表情をしていた。
どうする、どうすれば良い?
俺はあの子供だけでも助けるべきか?
いや、俺が行った所で殺されるだけだ。
悔しいけど。ここは見て見ぬふりをするしか・・・
いや、俺でも出来ることがある。
助けを呼べば。
いや無理か、どのみち俺は今走れない。
間に合うはずが無い。
クソッ
胸糞悪いぜ、クソッタレが・・・!!
分かってるだろ、俺じゃ無理だ。
行ったて無駄死にするだけ。
お前じゃヒーローなんかなれやし無いんだよ。
分かってるだろ…
「お前さんは今すぐ逃げておけ」
「え?」
声がした。
振り向くと年老いた男性が立っていた。
するとその男性はあの化け物の方に歩き始めた。
「オイ!やめとけって。殺されるぞ!!」
「心配無用だ」
「ちょっ 待てって!」
ザンッ!!
「う、嘘だろ」
あの爺さんクソ速ぇえ
何者なんだあの人。
あの爺さんはあの化け物と戦い始めた。
苦戦している様子だったが。
あの親子を助けようとしていた様子が、クソかっこいい
くそ!情けない。
そうだ、ヒーローはどんな不利な状況でも、即座に飛び込んで行くものだ。
考えるより先に体が動いていたって。
はは、何か考えるのが馬鹿らしくなってきた。
もうどうでもいいや。
そういえばガルムが言ってたな。
最後まで諦めるなよって。
じゃあ、諦めちゃダメだな。
そうだ、諦めるな… 諦めるな!!
ここで見過ごしたらもう二度と憧れたヒーローになんかなれやしない。
俺はステファやみんな、ガルムさんみたいに強くなりたい!!
なら、ここで諦めてどうするよ。本当に何も出来ない人間になっちまうじゃねえかよ・・・!!
走れ! 走れ! 走れ走れ 走れ!
俺は杖を捨てて全力で少女の方に走った。
「君、早く逃げるぞ」
「・・・」
「何で逃げるの?」
「あ〜もういいから早く逃げるぞ」
あの爺さんは戦いながら俺に言った。
「ナイスだ少年」
俺は少女の手を掴み、走り出した。
俺は片足を使って全力で走っている。
右足は使い物にならん
「母さんまだ居るよ?」
「何言ってんだバカ!!」
「お前も死ぬぞ!」
俺は少女を連れて走り続けた。
ヤバい、もう体力が付きてきた。
クソ!
だいぶ離れてきたな、良し。
「おいお前、俺はもう体力の限界だ」
「お前1人で町まで行け」
「え、でも兄ちゃんは?」
「いいか?よく聞け」
「夢はあるか?」
「・・・」
「…うん」
「じゃあ大丈夫だな」
「最後まで諦めるなよ」
「それから」
「明日の希望は持とうぜ」
「じゃあな」
「え。でもこれから私どうすれば…」
「・・・・・」
「まあ頑張りや、二度と戻って来るなよ」
俺がそれだけ言うと、少女は走り出した。
もしも、あの子はもう二度と笑わないのなら、それは俺にも責任があるのかも知れない。
見過ごそうとしていた俺は、あの子の笑顔を守れないのだろうか。
いや、考えるな。仕方ない… 仕方ないんだ。
どうせ俺には赤の他人だ。
やっぱ俺は、憧れたヒーローにはなれやしないんだ。
その後少年は、再び歩き始めた。
街を出て3日後、タイガの森を出た。
あちこちに岩があり、木はちょくちょく見かけるくらいだ。
辺り一面、河原のようだった。
山のふもとを目指し、更に2日。
遂に神社を見つけた。
やった、やっとだ。
やっと着いた。
長かった。ここまで来るのにどんなに時間が掛かったか。
やれやれ、危うく食量が尽きる所だったぜ。
ふう。
一息ついて、疲れきった足で最後の力を振り絞るように歩いた。
中に入ると、洞窟のようなものがあり、更に進み続けた。
一様、整備されており、左右に木で出来た壁があった。
もうすぐだ、もうちょっと歩けば龍に会える。
ドラゴンにもケツの穴があるんかな。
もし会ったら聞いてみよ。
「え?」
いつの間にかドラゴンが目の前に居た、
い、何時からそこに居た。
「あ”あっがあ!!」
一瞬だった。
俺はドラゴンのしっぽで跳ね飛ばされた。
「痛ってえ」
「挨拶ぐらいしろよ」
「グルルル」
「小僧、何しに此処へ来た?」
「俺様の縄張りに入るとは、どうやら蛮勇の方だな」
「俺の…呪いを。何とかする方法…が、伝説の龍なら知ってるか?」
「貴様、勝手に此処へ来て俺様に願いを聞こうだ?」
「はっ?笑えんぞ貴様」
「・・・・」
「たが丁度良い」
「良し、契約だ。お前の願いを聞いてやる。貴様の体を俺様に譲れ」
「は、やだね。何でお前なんかに俺の体やらなきゃならないんだ」
「お前のケツに爆弾を仕込んでやろうか?」
「小僧、お前に拒否権は無いぞ。」
どぐうああああ”あ”あ”
しっぽでの攻撃。
俺は刻印を使ってそれを避けた。
くそっ 後何回コイツを使える?
「小僧、諦めろ。お前に勝ち目は無い」
もう、嫌だ。今すぐ逃げ出したい。
でもさ、まだ限界だなんて認めちゃいないさ。
生きるためのレシピなんて無い。
息を切らせ!
「俺はまだ、諦めちゃいないぞ」
「ふんっ!小賢しい」
諦めちゃいないけど。
諦めてなんかないけど。
ちきしょう。
体が動かないんだよなあ
ドス!!!
ああちきしょう痛ぇえ
少年は、腹部に穴が空いた。
ドクッ! ドクッ! ドクッ!
何だあ、気持ち悪い。
何か温かいものが入ってくる。
血管一本一本に侵食されていることに気付いた。
ドクン! ドクン! ドクン!
体の組織が造り替えられている。
そして、別の意識が俺の脳みそに侵食され始めた。
《いい体だ》
ドラゴンの言葉が直接脳内で響いた。
こん野郎、俺の体に何しやがる!!。
《お前の体をのっとったのだ》
は?舐めやがって。羽つきトカゲ風情が。
《時期にお前の意識は完全にこの俺様に支配される》
ああそうかよ。
クソ、意識がもうろうとし始めた。
マジかよ、俺、このままコイツに支配されるのか?
あ〜あ、もうちょっとマシな人生 生きてみたかった。
ホント、運悪いい。
なあ、神様よ。俺、何か悪い事したか?
俺ちゃん いい子のはずなんだけど。
神様も意地悪だよなあ。
三年後に世界終わらすとか、ふざけるのも大概にしろよ。
あれ?ここ何処?
俺は1人、暗闇の中に居た。
この感じ、前にもあった。
神の気配。
「そなたは、諦めるのか?」
「え?」
あ、戻ってる。
クソッ、まだあのドラゴン、支配を続けている。
これで良いって。良くねえよ。
でもさ、どうすりゃいいのさ。
どうすることも出来ないだろ。
てか、あんたのせいだろ神様よお。
こんなのもう諦め…
少年は、この時。ガルムが言っていた言葉を思い出した。
最後まで諦めるなよ…
「…あ”あ”あああああああああああああ!!!!」
《こ、小僧、何をした!?》
諦めるな!!諦めるな諦めるな諦めるな諦めるな諦めるな諦めるな諦めるな諦めるな諦めるな諦めるな諦めるな諦めるな諦めるな諦めるな諦めるな…あ 諦めるな …諦めるな… 諦めるな・・・ あきら…
「…め」
「る… 」
「・・・・・」
「・・」
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ん? 何だ、あれ?
俺、ちゃんと意識ある。
取り敢えず俺は体を起こした。
…軽い。
すごく体が軽いぞ。
何これ、ヤバ。
《起きたか小僧》
「あ!お前まだ居たのかよ」
「気持ち悪いんだよ俺の頭ん中でしゃべんな」
「ていうかさっさと出ていけ」
《俺様は貴様を許さんからな》
「お前が勝手に俺の体ん中に入って来たんだろ」
「さっさと俺の体から出やがれ」
《それは無理な話だな、俺様の体は蒸発したんだ。それに貴様の血液の9割が俺様の血だ》
「うわマジかよ」
《良かったな、これでお前は神様から貰った刻印{呪い}で死ぬ事は無い》
「何で?」
《その刻印は物凄い力がある。故に貴様ら人間には絶えきれず四肢がもげるはめになる》
「あ〜、なるほどね。この呪いでメチャクチャ強くなれるが、強すぎて体が持たない訳か」
「だからこの力使う度、毎回体中が痛くなる訳だ」
つまり、俺が神様に呪われて首に刻印が刻まれることで。
寿命が減るのも、刻印の力を使った時体が痛くなるのも。
この刻印に存在する力が大き過ぎて、体が耐えられなくなって死ぬって訳か。
悪魔の差し金か。
ま、取り敢えずは良かったかな?
コイツがまた俺を支配しようとしたらまずいけど。
《貴様は嫌いだが気に入った》
《その執念、只者では無い》
「執念って…(汗)」
《その尋常では無い精神力に敬意を払おう》
「え、要らないんですけど… 」
「ていうか喋んな、頭ん中響いて気持ち悪いいんだよ」
《俺様の名はヒバナだ、これから共に過ごすのだから名前ぐらい教えてやろう》
悪夢だ…
様々な生物が居る中で生態系の頂点に君臨する最強の生物っだったよな確か。
世界に8体しか居ないんだよな。
《いや、ドラゴンなら沢山居る。その中でも真の龍と呼ばれる存在が八柱ってところか。俺様も真の龍だ》
ん?ちょっと待て。
俺は改めて自分の手のひらを見てみた。
こうしてみると赤ん坊のケツみたいにきれいな肌だ。
しかも、右腕が戻っている。
左足も動く。
てか腕ほっそ〜。半年間で鍛えた筋肉がごっそり。
ちょっとショック。
そして自分の髪もとても伸びていた。
《今貴様の体は俺様の血液を取り込み、再構築を始めている》
「マジかよ」
ごゴゴゴッゴゴゴ
ん?
突然 洞窟が崩壊を開始した。
「やべえ」
早くここから出ないと生き埋めにされる。
急がないと。
少年は立ち上がり、ここから出る為に走り出した。
「え?」
想像以上のスピードが出たため。
少年はとても驚いていた。
おお速い、メチャクチャ速く走れる!
これならウサイン・ボルトを超えれるぜ!
《小僧、名前を言え》
「何だよこんな時に!」
《俺様の名を教えたのだ、貴様も名を名乗れ》
「え?お前いつ名前教えた?」
《ヒバナだ!!!》
「冗談だよ」
「それから、俺に名前は無いんだよ!」
《ほう、それなら貴様に名をやろう》
「え?」
って、危!
やべえ 死ぬ所だった。
少年は目の前に落ちてきた瓦礫を避けた。
「え〜と、何だっけ。あ…」
「お前こんな時に何言ってんだ!名前をやるだ?え?」
《お前に ショウ の名をやる》
「・・・・」
《どうだ、気に入ったか?》
「・・・」
何か、懐かし気がする。俺は、この名前を知っているのかも知れない
「ああ、ありがとな。ヒバナ」
少年は、神社を出た。
ふう、やっと出たあ。
ハハッ、マジやばかった。
おいヒバナ、何で急に崩れ始めたんだ?
《さあな》
《だが俺様はやっとホコリ臭いあの洞窟を出られた》
「あ、そういやお前封印されてたな」
「何やらかしたんだよ」
《ちょと町一つ灰にしたら、うっかり捕まったのさ》
「さすがドラゴンだな」
「ぐおおおおおお!!!」
突然 大きな動物の鳴き声がした。
な、何だコイツ。
でっかい熊か?
少年が命からがら神社から脱出した後、突如現れた大きさ9メートル級のでっかい熊に一瞬でやられた。
・・・何だ 今の。
攻撃を喰らった?今の一瞬で?
クソッ 洒落にならん。
「あぐうっ…」
俺は首を掴まれた。
動けねえ、ヤバい、コイツ化けもんだ。
意識が、今にも途切れそう…
その瞬間、少年は熊に投げ飛ばされた。
痛ええ
そしてあの熊さんがゆっくりと近づいてきた。
は・・・ 動け… うご…け
ちく…しょう・・・
動け・・・!!クソッ
「ぎゃああああああ」
少年は足を食べられる。
ヤバい、今度こそマジでヤバい・・
ヒバナ…何とかしろ・・・
《じゃあ俺様に貴様の体を貸せ》
分かった…
どおおおん!!
その瞬間、少年は熊を吹き飛ばした。
この時、少年はヒバナと入れ替わっていた。
ヒバナは華麗な動きで地面に着地した。
熊に喰われた少年の足は、既に再生をしていた。
「グルルルr… 」
熊は警戒を始めた。
「小僧、見せてやろう。俺様の戦い方を… 」
そういうとヒバナは両手を前に突き出し、腰を落とした姿勢に入る。
「呪力回路再構築」
「魔光路を展開」
「貫通式特殊火吼」
「紅月」
その瞬間、少年の手から炎が出た。
それは、ドラゴンが吐き出す炎そのもの。
言ってみればドラゴンブレスが手から出たバージョン。
す、スゲー。
手からビームでた。
うちのママから中二病って言われたらどうしよう。
《ビームでは無い、ブレスだ》
あ、なんかごめん。
てか、すんなり戻るんだな、お前。
そのまま俺の体を支配するのかと思ったよ。
《無論だ、こうなったら流石の俺様でもどうにも出来ないからな》
「え?」
ドサッ
全身に力が入らなくなり、俺はその場で倒れた。
その瞬間、少年に激痛が走った。
「ああああああああああ」
「ぐあああああ」
「グっ! あああああああああああああああああ」
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ・・・」
「あ”あ”ああぁぁ……」
「・・・・・・」
「・・・」
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あれから数時間して、正気に戻った。
《小僧、やっと落ちついたか》
おいヒバナ、これはどういう事だ。
体中がクソ痛ぇえぞ
《強大な俺様の力にお前じゃ耐えきれなかったんだろ》
《構築中の不完全な体じゃ、俺様が本気を出したら四肢が爆散するだろし、一様手加減はしたんだがな》
どゆこと?
《つまり貴様は今、筋肉痛だ》
マジかよ。
てか構築中ってどういう事だ?
《貴様の体は今、俺様の細胞に造り替えられているのだ。まっ 貴様の細胞は再構築を始めたという訳だ》
で、後どのくらいで終わるんだよ。
《2年だ》
結構長いんだな。
クソッ、体が動けねえ。
痛って!!
《無理だな、諦めろ。後3週間はまともに動けんだろうな》
「はあ?」
あれから1週間後、俺はまだ動けずに居た。
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい・・・
少年の心の中は、既に限界を迎えていた。
《小僧、しっかりしろ》
《さっきからうるさいぞ貴様》
誰か、助けてくれ…
誰でもいい、俺を助けてくれ・・・
悪魔でも良いから… 誰か俺を助けてくれ・・・
《この期に及んで助けを求めるか》
「だってしょうが無いだろ」
「動けないんだよ」
「空気読めよ!」
ああちきしょう体が痛くて動かん。
人生初の筋肉痛がこんなにも苦痛だったとは。
少年は空を見上げる。
空が青いぜ…
「なあヒバナ、お前伝説の何とかなんだろ?何とかしろ・・・!!」
《無理な話だ》
それから少したって、少年はヒバナに聞いた。
「なあヒバナ、魔獣って何だ?」
《まあ俺様も暇だから答えてやろう。普通の動物に悪魔が取り憑いて魔獣になる。あれは真っ赤な嘘だ》
「そうなのか?」
《昔は悪魔も魔獣も居なかった。だがある日、世界中であるウイルスが広まった。そのウイルスはこう呼ばれている。悪魔そいつは何故か動物にだけ感染した。感染するとその動物は死ぬまで成長を続ける用になり、おまけに凶暴になる》
《その存在の事を人々はこう呼んだ、魔獣ってな。魔獣には寿命が無く、長く生きれば生きる程強くなり続ける。どうだ、厄介だろ?》
「よく分かったよ。ヒバナ、ありがとな」
「て言うことはお前、元はホントにトカゲだった訳ね?」
《魔獣は魔獣を産む。ドラゴンからはドラゴンが産まれる》
「ごめんって」
はあ、ヤバい。腹減った。
死にそうだ。
それから少し時間が立った後。少年の元に、年を取った男性が歩みよった。
「小僧、一つ聞こう。お主は化け物であるか?」
「ん?人違いだろ」
「問おう… お主は人か?」
「多分羽つきトカゲ」
「では、お前を切る!」
お爺さんがそう言うと背中に背負っていた刀を抜いた。
「待て!俺を切るな、ヒバナは暴れたりしない」
「・・・・・」
「聞こう」
ふう、全くせっかちな野郎だぜ。
「俺は今動けない、そこのご老人に助けを求めたい」
「ほう、お主から感じる不穏な気配、おそらく龍を取り込んでおるな?」
「だが、お主が悪党では無いのは分かる。」
「じゃあ! 俺を助けてくれても良いんだぜ」
「そうだな、わしもお主には ちと興味が有る」
「名を聞こう」
「俺の名前はショウだ。靴でも舐めますよご老人」
「ハハハッ、わしの名はアブソリュートだ」
「肩を貸そうか?」
「はい、お願いします」
「あの、何処かで会ったよな?」
「忘れ去んな、あの時一緒に少女を助けたであろう?」
「ああ!あん時の。俺!アンタを尊敬してるよ」
「強いんだな、あんた。にしても良く俺って気付いたな。見た目とか結構変わってるだろ俺」
「わしは目が見えないのでな、気配を感じて状況を判断しておるわ」
「お主にはまだあの時の気配が残っておる」
俺は、この爺さんに結局おんぶしてもらった。
数時間歩いて爺さんの家に着いた。
「悪いな爺さん、オーバーヒートが治るまで世話んなる」
「大丈夫じゃよ」
「それから、わしの事はリュートと呼んでもらいたい」
「分かりましてよ」
それから、1週間がたった。
俺はやっと動けるようになった。
まだクソ痛いけどな。
その日、2週間ぶりにご飯を食べた。
「リュート、飯美味かったぜ」
「それは わしも喜ばしい」
「へへっ」
ホントに、俺はこの世界に来てから辛いことや哀しいことが山程あったけど。
同時に、俺は沢山の事を学んだ。
仲間の大切さ、この世界での命の軽さや。
自分が何に憧れているのか。
自分はどんな人物に尊敬をするのか。
あの日、ヒバナが俺に聞いてきた。
貴様はどう在りたい?
俺は答えた。
強く在りたい。
俺は、アブソリュートが少女を助けようとしていた姿を見た時こう思った。
すごい。
俺もこんなふうに強くなりたい。
じゃあどうする?
俺がスゲーと思った奴が今、目の前に居る。
俺がこうなりたいって思った人が目の前に居る。
こんな事、もう二度と無い。
ステファが言っていた。
人生はたった一つのチャンスだ。
ガルムが言っていた。
胸張って生きろ。
自分が胸張って生きるにはどうすれば良い?
俺はまず最初に思った事は、強くなきゃ話にならんって事。
じゃあ俺が強くなるにはどうすれば良い?
答えは簡単だ。
「リュートさん、俺を弟子にしてください!」
Well,haw do you want to be ?
さて、あなたはどう在りたいですか?




