第8話 「感謝」
「・・・・・・」
「・・・・」
「・・おキ…ろ」
「起きろ… 」
・・・。
「おい、起きろ・・・!!」
・・・ん。
「起きろ・・・!! 少年・・・!」
何だよ…
はっ 起きろ…
「敵襲か!?」
俺は勢い良く上半身を起こした。
「違え〜よ」
「何だよもう・・・」
「ビックリするだろ」
「すまん」
「おい少年、悪いニュースだ」
「敵に監視されてる」
-----敵視点---
「後はヨロシク、エルザ」
「うん、ありがとう。」
「助かったよ」
「バスキアス」
「僕1人じゃ見失う所だったよ」
「じゃあ私帰るから」
「え、もう帰るの?」
「んじゃバイバイ」
少女の名は、ゼロゲイン=エルザディアン
その少女に捜索を手伝った人物が居た。
仮にその人の名は、バスキアス=カーナ
いづれ俺達と会うかもしれない人だ。
ー視点が戻り、少年へー
「いいか、少年。生き残るのは運のいい奴か 強い奴か 頭のネジがぶっ飛んだ奴だけだ。お前がどうか知らんが」
「俺がお前に伝えたい事はこれだけだ。生き残れ、最後まで諦めずにな。諦めたら明日の飯が不味いかどうかも分からん」
「取り敢えず、作戦行動に移るぞ」
「了解」
「震えてきたぜ」
実際に体が小刻みに震えていた。
「怖気づいたか?」
「いや」
「なあ、ガルムおじさん。もっと豆知識無いの?」
「あ、言い忘れていたが、合図は。」
「おい、どうした」
「いや、何で俺ばっかり酷い目遭わなくちゃいけないのかなって」
「お前が何で嬢ちゃんに命狙われているかは知らんが」
「俺、神様に嫌われてるんだ。だから俺ばっかりこんな目に」
「はあ?お前が神様に嫌われた証拠無いだろ。急に何言い出すんだ少年」
「いいさ、お前に引導を渡してやりゃあ」
俺はこの時、冷静じゃなかった。
ネックウォーマーを外し、首に刻まれた刻印を見せた。
するとガルムおじさんは驚いたような顔をした。
「ああ、そっか。お前、呪われたんだな」
「その刻印、俺の大剣にも同じ物が刻まれている。」
「少年、ずっと不安だったんだろ?」
「怖かったんだろ?」
「うん」
するとガルムおじさんは優しく微笑み。俺の頭に手を置いた。
「フッ、上等。全部俺が背負ってやる。不安、疑問、悩み事、全部まとめて俺におっかぶせろ」
「だから」
「大丈夫だ少年・・・」
「何故なら」
「俺が居る」
「泣く子の腕さえひねる狩人といやあ 神楽の番犬」
「俺のことだ」
「お前の右腕が食われたのは、もうどうすることもできん」
その時、ゼロゲインが俺達を襲ってきた。
瞬時に俺達は避けて木から降りた。
「危ねえ、」
「寿命が縮んだぜ、あ?ほんのちょっとだけな。2秒だ2秒」
「いいか、少年。作戦に移るぞ」
「了解」
俺達は別々に別れた。
当然、俺の方にあの少女は追いかけてくる。
「へい人間くん。また会ったね」
「君の心臓を頂戴する」
「お前なんかに俺のハートやらねえよ」
「え〜そりゃ残念」
クソッ、アイツ速いな
もう少しだ。
俺はある一本の木を目指して走った。
その木の幹にぎりぎりまで近づき。
そしてその木を避けるように走る方向を替えた。
グシャッ
あらかじめ木の幹の横に棒を刺しておいた。
かかったな。
コイツは俺にばかり集中して追いかけていたから。
突然目の前に現れた木の幹に反応できなかったのだろう。
その少女は、見事に罠にかかった。
棒が少女の頭に貫通した。
「どうだ、やられたろ」
「悲鳴をあげたって良いんだぜ。にしても、あんたの悲鳴なんてゾッとするけどな」
俺が余裕ぶっていると。
少女は無言で頭に刺さった棒を引き退けて、頭蓋骨に貫通していた穴が。再生を始めた。
マジかよ。
俺は再び逃げ出した。
「君は僕を怒らせた。君たちの未来はもう無いよ?」
「俺達の未来より、5秒後の自分の心配するんだな」
「ん?どゆこと?」
「がっかりさせるなよ、ガルム・・・!!」
俺がナイフを引き抜けば、それが合図
俺は向かい来る少女の攻撃を避け、ナイフを刺した。
「痛!」
「じいちゃんが残した置き土産、火縄式爆弾{ひなわしきばくだん}」
「そのきれいな目にしっかり焼き付けるんだな」
ガルムの姿が見えた。
その手には、爆弾に火を付けていた。
「ホイ解除」
「へい人間くん。なにか企んでいるみたいだね」
ヤバい、もうすぐドカンだ。3秒で離れなければ
熱くなりすぎて自爆する所だった。
ヘマしたらお掃除されちゃう。
「3,2,1 レッツ爆裂{ばくれつ}」
その時、辺りが真っ白に輝いた。
それと同時に物凄い爆音と熱が追いかけてきた。
ドッ かあーん!!!
空気が揺れている。
物凄い衝撃だ。
これなら…
「おいガルム、爆発が派手過ぎねえか?」
「いつの間に呼び捨てになったんだ。まあ良い、ちゃんとレシピどうり作ったんだがな」
「うわっ、けっむ 新鮮な空気カモン」
数秒すると、煙が晴れた。
そして人影が見える。
少女は、生きていた。
「嘘だろ???」
「よし、一斉攻撃だ」
「行くぞ少年」
「生きてかえんぞ」
「当然」
さすがのあのゼロゲインの名を持つ少女でも、瀕死の状態だった。
今のうちに攻撃を仕掛ければ、勝てる見込みがある。
ガルムは背中に背負っていた大剣を引き抜き、ゼロゲインに攻撃を仕掛けた。
ガギイイイン!!!
何と少女は片手でその剣を受け止めた。
「オラああ」
俺は背後に周り、ガルムから貰ったナイフで攻撃を仕掛けた。
「うグッ」
俺は見事に蹴り飛ばされた。
そして少女は物凄いスピードで蹴り飛ばされた俺に追いつき再び蹴られた。
「クソ痛ええ」
「おい! 嬢ちゃん待ちやがれ!!」
ガルムは俺に近づこうと走っている。
少女は気にせず俺に蹴り続けた。
「うがッ、この…ヤロがあああ、ぐはっ、やめっ ろ… ガハッ」
俺が気絶しても少女は蹴り続けた。
「おい!いい加減にしろクソガキ!」
ガルムが少女に大剣を向けた。
--
目が覚めると狭い一室に閉じ込められていた。
石造りで牢獄の中に居る気分だ。
俺は縄で縛られていた。
ポケットから何とかナイフを取り出し、縄を切った。
「ガルム・・・!!」
どうやらガルムも俺と同じ部屋に閉じ込められていたようだ。
酷い怪我だ。
ガルムは重症だった。
「おい、ガルム・・・!、しっかりしろ・・・!!」
「・・・少年、無事だったか… 」
「ああ、俺は無事だ」
「それよりお前、傷が…」
「ゴホッゴホッ」
「ガルム・・・!! ホントに大丈夫か!?」
すると、足音がした。
そこには、少女が居た
「あれれれ、縄ほどかれちゃった」
ゼロゲインの声だった。
「お前、マジでヤバいな」
「え 酷っ…!」
「どうやってガルムに傷を負わせたか知らないけど。いいさあ、やってやらあ」
「お前が俺達の命狙ってんなら。お前が殺される覚悟は出来てるんだろうな」
「命かけろよ…」
俺を本気で怒らせたんだ。
後悔させてやるよ。
「君は僕に勝てない」
「はあ?証拠あんのか? 責任とってくれるんだろうなあ・・・?」
俺は、覚悟を決めた。
「寿命… 全部やるよ」
その時、俺の身体に物凄い衝撃が走った。
そして、手の平を壁に向けた。
ごぎゃああ
壁に触れず。壁を壊した。
その瓦礫を宙に浮かせ、俺の周りに集めた。
「なにそれ」
ゼロゲインは驚いたような顔をしていた。
「え?ずるくない?」
少女は手のひらから黒い霧のようなもの出し始めた。
それを体の周りにまとわせている。
「これでノーベル賞は俺のもんだぜ」
俺は少女に向けて、瓦礫を飛ばした。
瓦礫いっさい触れずに
超能力みたいに。俺は、ものに触れずとも動かす力があった。
寿命全部と引き換えに。
あの少女も、不死身では無かった。
死んだのだ。
俺は、殺したのだ。この手で。
不思議と俺は冷静だった。
「あれ?俺、生きてる」
悪魔の差し金か、それとも天使の慈悲か。
ヤバい、体が重い。
俺はその場で倒れた。
「少年、よく頑張った」
ガルムは俺に肩を貸し、歩き出した。
「ガルム・・・ 大丈夫なのか? その怪我」
「いや、結構まずい」
「でも、こうして生きてる」
「俺達は勝ったんだよ」
太陽はもう真上にあった。
もう昼だ。
体中が痛い
そういえば。
「あ、そうだ。アイツに勝ったらほっぺにキスする約束だったな」
俺がそう言うとガルムは変な顔をした。
「お、お前なあ、」
「なんでこの期に及んで俺のファーストキスが男となんだよ」
「大丈夫、俺、○○○○○だから」
小声で言った。
「ん?なんか言った?」
ガルムが俺に聞いてきた。
「別に、何も」
「うっ、なんか吐きそう」
「それは、体調が悪いんだな。帰ったら休んどけよ 少年」
ガルムおじさんは困ったような顔をした。
「こりゃファーストキスはゲロの味だな」
「お断りするぜ」
「ガルム・・・ キスは冗談だぜ」
「だろうな」
ガルムは突然、暗い顔をした。
「俺の命… 無駄にするなよ・・・」
「え?」
--
次の日、ガルムは死んでいた。
もう既にお墓に埋めた。
「君、あの人から手紙だよ」
「ありがとうございます… 」
俺はベットに横になったまま手紙を受け取った。
それは、手紙ではなく。俺宛への遺書だった。
ガルムさんからだ。
内容はこうだった。
少年、お前に最後のアドバイスだ。
お前は十分 イカれてる。
だから、お前は死なない。
俺は天国か地獄か、どっちに行くかは分からんが。いつまでもお前を見守ってやる
お前は1人になるが、大丈夫だ。お前は強い、だから、お前、胸張って生きろ
そんだけだ。
お前はこの後家を出ろ、そしてもう二度と帰るな。まずは南南東の方角に進め、そしたらタイガの森を抜ける。
近くに山のふもとがあるだろ。そこ居らに古い神社がある。
それは、ある伝説の龍が封印されている。
お前は首にある刻印のせいで後数週間で死ぬだろう。
人間は刻印をどうすることも出来ないが、龍ならお前が助かる方法を知っているかもしれん。
その後はお前の判断に任せる。
それから。
少年よ、おそらく俺の墓に大剣が刺さっているのだろう?
その剣、お前にくれてやる。
お前は案外可愛い顔してるから、代償なしで使わしてくれるだろ。
その剣の名は、アバタ ケタブラ
死の呪いが込められている。
最後にもう一言。
お前、最後まで諦めるなよ。
頑張れよ、少年。
ガルムより
ーーーーーーーーーーー
ここまで読んで、俺は号泣した。
ガルムさん、俺、もう大丈夫だよ。
強くなったんだ。
みんなのおかげで、もう1人でも生きていけるからさ。
ガルムさん、42年間お疲れ様。
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二日後、俺は朝早くに家を出た。
マキさんが起きた後。
机の上に置き手紙があった。
マキさんはその手紙を読んで、涙を流し始めた。
その手紙に書いていた内容は、
俺がこの家出るということ。
絶対に生きて帰ってくるということだった。
一方 俺はというと。
俺は体の一部が機能しなくなっていた。
左足が動かないのと。右腕は失ったまま。
そして左腕は中指と薬指に力が入らない。
それに嗅覚と味覚が失っていた。
未だに体中が痛い
おまけに寿命が後 数週間
一刻も早く何とかしないといけない。
俺は取り敢えず ガルムの墓場に行っていた。
俺はお墓に刺さっている大剣を掴み引き抜いた。
と思ったが…
「あ、あれ?抜けない。くそっ、選ばれしものにしか抜けないってか?」
「エクスカリバーじゃあるまいし」
「はあ、やっぱ無理」
「諦めよ」
俺は、ノアの町を出た。
俺の本当の物語はここから始まったのだ。
「よし、行くか!」
杖を使ってゆっくり進んだ。
伝説の龍に会いに行くよ。
ごめんなさい、マキさん
I'm sorry
ごめんなさい




