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心世界  作者: rin極
第一章 子供編
6/48

第6話 「この先」


 晴れの日が怖い。

 曇りの日が怖い。

 風の日が怖い。

 

ったく、ホント…。

ハゲ・ズラになっちゃうよ。


俺は今、独り…ベットで寝ている。


俺はきっとスターにもヒーローにもなれやしない。

この3日間、ずっと布団から出ていない。


怖いからだ。


毎日白い天井眺めて、

それで一日が終わって。

人生が一ミリも進んでいない気がする。

きっとそれは自分のせい…。


世界は甘くない… 世界は甘くない…。


俺は、窓から外の景色を見た。

いつまでも続く、青い空。

これまで狭かった俺の世界が広がっていく気がした。


そうだ、そうだよな。

こんなに広い世界なのに何で俺は気づかないうちに狭い世界で終わってんだよ……。


大雨に打たれても、上だけを見てろ。

流した涙も気のせいになるだろ。


さてと、そろそろ起きないとな…。

いつまでもメソメソしてられん。


何を思ったって仲間はもう戻ってこない。


 俺は、布団から出て、部屋を出た。


「よお少年、やっとご飯を食べる気になったか?」

「ああ、何かもう、あれこれ考えるのもバカらしくなっちゃって」

「・・・来な、夕飯、もう出来てるぜ。」

「悪いな、迷惑かけて」


すると、ステファの父さんは微笑んだ。


「どうって事ねえよ」


美味しいご飯の匂いが漂う部屋に入る。

そこには、もう食卓が並んでいた。


「あ! 君もう大丈夫なの?」

「まぁなんとか」

「さ、早く食べましょ! ご飯が冷めちゃう」


多分この人はステファの母さんだろう。

ステファの面影が無くもない。


「いただきます」


「ん? あれ?」


美味いぞこれ。


「マジで美味い」


「あら、嬉しいね」

「どんどん食べてよ」


3日ぶりのご飯。

うわ~、生き返るわ。


でっかいベーコンみたいな料理と、肉団子のスープ。

それとフランスパン。


実に美味だ。


「なあ、ステファの父さん、なんて名前?」

「俺の名前はガルムだ」


「へえ〜意外とカッコいい名前じゃん」

「じゃあ、ガルムおじさんって呼んでいいか?」


「好きに呼んで構わん」

「そうか、ありがとな」


「あ、わたしの事はマキさんって呼んで」


どうやらステファの母さんは、マキさんって名前らしい。


「分かりました」

「マキさん」


食べ終わった後、俺は部屋に戻った。


多分、これからガルムおじさんとマキさんの世話になるだろう

もし、ガルムおじさんがいなかったら俺は、とっくにくたばってただろう。

感謝しなきゃ。


それから俺は、家の手伝いをするようになった。


「マキさん、何か手伝えることある?」

「それじゃあ洗濯干して来てくれる?」

「はい、分かりました」


哀しい…


「あの、食器洗うの手伝いましょうか?」

「あら、お願いね」

「水はちゃんと節約してね」

「はい」


寂しい…


「君、布団干すの手伝ってくれる?」

「あ、はい」


会いたい…


「えっとね、ここはちゃんと叩いてゴミを落とすの」

「あんまり叩くとホコリまみれになるから、気をつけてね」

「分かりました」


辛い…


「君、あんまり無理しなくていいのよ?」

「はい、大丈夫です」

「じゃあ次お花のお水替えてきて」

「分かりました」


しんどい…


「あの、料理手伝いますよ?」

「ホントに?助かるわ、じゃあ人参切ってくれる?」

「はい」

「手を切らないように気をつけてね?」

「はは、大丈夫ですよマキさん。このくらい俺でも出来ます」


醜い…


「君、床の掃除手伝ってくれる?」

「はい、分かりました」

「ぞうきん、そこにあるから」


苦しい…


「あの、洗濯物、畳みましょうか?」

「あら、お願いね」


虚しい…


「ねえ君、お花の水やりしてくれる?」

「はい、分かりました」


 寂しい… 哀しい… 辛い… 苦しい… しんどい… 


「あ、ちょっとお客さん来たから」

「お菓子持って来てくれる?」

「はい、分かりました」


苦しい… 辛い辛い辛い辛い


「はい、どうぞ」

「ありがとう、あんたも座りな」

「あ、俺はいいです」


何だこれ、苦しい…

辛い、しんどい・・


無理 無理 無理 無理 無理 無理


しんどい…しんどい…しんどい…しんどい…しんどい…しんどい…しんどい‥しんどい…しんどい‥しんどい…しんどい…しんどい‥


吐き気がする・・・


気持ち悪い・・・


ガシャン


お盆を落とした。


口を抑える……。

少し後ずさりした後


俺は廊下を走り出した。


「ちょっと君?」

「待って、どしたの?」


マキさんの声が聞こえた。


俺は外に出て、家の裏にまわった。


「・・・オ”  お”ぇぇぇええええええええええ」


・・・吐いた。


ホント、気持ち悪いったらありゃしない。


少したって、落ち着いた後。

その場に座り込んだ。


「ごめん、やっぱ無理だよ… 」

「 …もう一度一緒に居たいよ」

「俺、みんなが居なきゃダメだよ」


「情けないな、俺… 」


 ザッ


足音がした。


「あ、居た居た」

「どうしたの?大丈夫?」


「・・・・・」


「え?」


俺はマキさんに抱かれた。


「ごめんね、辛かったね、気づいてあげられなくてごめんね、そうだよね。大切な仲間が死んじゃったもんね」

「大丈夫なわけ無いよね」

「弱音を吐いたっていいんだよ」

「まだ子供なんだから」

「1人で抱え込まなくてもいいんだよ」

「私がいるから、ね?」


「いや、マキさん、大丈夫だよ」

「俺、大丈夫だから」


「いいから、話しなさい」

「1人で抱え込まないで」


俺は、マキさんの優しさを感じた。


これまで1人で抱え込んでた物がスルスル出て来た。

負の感情。


俺は泣きながら弱音を吐いた。


「俺、毎日頑張ったんだよ… 毎日毎日、薬草採って金稼いでご飯食べて」

「毎日大変だったんだよ」

「この世界で唯一の俺の居場所だったのに」

「勝ってに死にやがって・・・!!」

「何で俺なんだよ」

「何で、何で何で何で・・・!!」

「何で何時も俺なんだよ。何で俺だけ生きてんだよ」

「何でアイツら死んでんだよ」

「俺、アイツら死んでから毎日毎日」

「辛いんだよ・・・!苦しいんだよ・・・!!」

「俺、あれからも頑張った」

「もう大丈夫だって、もう1人でも生きていけるって」

「そうやって自分に言い聞かせて・・・」

「でも結局、胸の奥が苦しくて・・・!!」


「無理なんだよ・・・」


マキさんは優しく頭を撫でてくれた。


「辛かったんだね… 苦しかったんだね… 」

「でも」


「もう、大丈夫だよ」


 白い天井


どうやら俺はあのまま眠ってしまったようだ。

なんか、ホントに楽になった気がする。


今度こそ、大丈夫だ。


「少年、ちょっと来い」


ガルムおじさんが話しかけてきた。


「なんか用」


外に出る。夜空には星が光っている。

そして、月がとても大きかった。


「ん?何だあれ?」


月の端っこら辺に何か浮かんでいる。


「何だろうな。何かの惑星みたいな見た目るけど」

「惑星じゃ無いだろ。雲より少し上に浮かんでる」

「でも、悪いものでは無いと信じた方が良い」

「まあ、そだな」


ガルムおじさんは再び俺の方に視線を向けた。


「俺はお前に少し、アドバイスをする」

「なんで?」

「俺の判断だ」

「今のままじゃお前は大事な人を恨むことになる」

「どういうことっスか?」


「上を見ているだけでは、何も出来ねえ」

「は?」

「どんなに辛い事があっても、それを気のせいにしない」

「お前は今、逃げてんだよ」

「逃げて無い」

「いいや、逃げてる」

「お前は今13歳の子供だが、後2年で大人になる」

「ここは、15歳で成人だ」

「何が言いたいんだよ」

「みんな、気づかないうちに大人になることが多い」

「時間は本当にあっという間に過ぎていく」

「俺も、少し前までガキだった」

「お前も、もうすぐ大人にならなくてはいけない時期が来るんだぞ」

「不安でも悲しくても前に進め」

「これからを作るのはお前らの世代だ」

「何度も何度も、後ろを振り返ったって良い」

「だけどな、逃げたって、誰も責任取ってくれねえよ」

「いつか、今を思い出して笑えると信じて励め」


「だから、何が言いたいんだよ・・・!!」


「お前も、大人になれ」

「今すぐにとは言わねえ」

「せめて、15歳になるまでにな」


「いつまでも周りに頼って居たら、いざ1人になった時」

「死ぬぞ」


「分かってんだよ」

「それぐらい分かってんだよ。確かに俺は1人じゃ生きていけない」

「でも良いじゃん。周りに迷惑かけてなにが悪いんだよ」


「ガルムおじさんは何歳だよ」

「42歳です」


「俺はまだ13歳なんだよ・・・!!」

「子供が1人で生きていけるわけ無いじゃん・・・!!」

「なに無理言ってんだよ」

「俺、家族に会えなくて辛かったけど。頑張ったんだよ・・・!!」

「なのに、唯一の俺の居場所だった仲間たちまで死んで」

「マジで辛いのに頑張ってんだよ・・・!?」

「俺ってマジ不幸だよな・・・!!」


「お前より辛い思いをしている人だって居る」

「そんなの分かってんだよ・・・!!」

「分かってんだよ」

「でもさ、辛いんだよ・・・!!」

「何がお前より辛い奴がいるだ、そんなの当たり前だろ!」

「分かったように言いやがって… どうせ俺の気持ちなんて誰も分から無いくせに・・・!!」

「いっつも俺なんだよ。俺だけつらい思いして、他の奴らなんて知らん顔しやがって」

「どうせあんただって、周りの助けがなきゃ生きていけないくせに・・・!!」

「お前はどうなんだよ!!一人で生きていけんのかよ!」


「まあ、確かにそうだな」

「でも、俺はお前ぐらいの年で、独りで生きて来たよ」


「それが何だよ、他人と自分を勝手に比較すんじゃねえよムカつくんだよ」


「いい加減にしろ・・・!!」


その時、俺は狐につつまれたような気分になった。

さながら親に叱られて縮こまった幼児のように。

ちょっと喝を入れられたぐらいでビビった自分が情けなかった。


ああああ、クソッ、何なんだよもう・・・!!


子供みたいにギャーギャー叫びやがって。

そうだよな。もう決めてただろ。

ちゃんと重いもん背負って、そして、ここから。

人生って奴を始めるんだろ。


大人になろう。


そう強く決心した。


「ごめん… 」

「いや、俺もやりすぎた」


「俺はまだ子供です」

「でも、大人になるって決めました」

「ちゃんと、1人でも生きていけるようになります」

「それまで」

「お世話になります」


「分かった。大人になるまで俺の家に居な」

「頑張れよ、少年」


「はい!」


「俺、頑張るよ。ごめんごめんありがとうごめんくらいの割合になるだろうけど、何回だって謝るし感謝の言葉もきっと忘れないから」

「良いさ」

「なあ、俺、これからガルムおじさんとマキさんの役にたてるかな?」

「それは、お前の今後の頑張り次第だな」

「そうだな、でも取り敢えずは、ありがとな」

「おう、あと、まだアドバイスが残ってる」

「え、まだあんの?」


「まずは、強くなれる理由を知れ、その小さな手には、掴みたいものがあるはずだ」

「そして、負ける意味を知れ。優しいだけじゃ守れないものがある。透けて見える偽善に天罰が下るぜ」

「それから、幸福の意味を知れ。本当の幸せは目に映らず、案外傍にあって気づかないものだ。お前の求める幸せは、その見慣れた手のひらの上にある」

「お前はいつか、不幸の意味を知ることになるだろう。肝心な時に役に立たない。目の前の人ですら助けられない。どこか遠く、お前の知らない街で、お前の大切な人が泣いている」


「なんで、そんな、あたかも俺のことを知っているみたいに」

「まあ、俺の能力の一つとでも言っておこうか」


「アドバイスありがとな」

「あと、お前は敬語を覚えた方が良い。時々やるお前のそれには毎度毎度笑わせるぜ」

「俺には必要ね~よ、俺は誰とでも平等に接するんで」

「もう絶対に敬語なんて使うもんか」


俺は、本当に感謝しいた。


ガルムおじさん。

マキさん。


感謝します。



To tha unseen tomorrow

先の見えない明日へ

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