表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
心世界  作者: rin極
第九章 ソルジャー試験編
46/48

第46話 「ぽきゅっ、きゅぱぱか」



「日星の木星制圧が完了したって?」

「うん、そうだよ」

「リョジュンが確かめてきた」



 まず、ゾンビパウダーを作る。


 材料

 ・人骨をすり潰したもの。

 ・腐肉、バジリスクの心臓、コカトリスの砂肝、トカゲ・ヒキガエルの干物、フグの肝臓と卵巣。


 これらを混ぜ合わせ、粉末状にしたらゾンビパウダーの完成!


 それから、媒体となる人間にゾンビパウダーを飲ませ、あとはその肉体を燃やせばゾンビの出来上がり。


「ふう…」

 

 ムガロはゾンビを作っていた。

 今さっき、燃やし終わったところだ。


「ままゾンビか」


 ショウがいつの間にか来ていた。

 ショウ、来たなら言って。

 

「・・・・・」

「何で裸なんだ?」

 

 ムガロは、ゾンビに服を着せた。

 

「あと10体…」

 

 ため息をついた後、ムガロが面倒くさそうな顔をして疲労を交えた声で言う。

 

「俺も手伝うよ」


 ショウの顔を見る。

 準備ができてやることがないって顔だ。


「はい…」

 

 ムガロはゾンビパウダーの入った小瓶をショウに手渡す。

 

「そいつを飲ませてね」


 言いながら、ムガロは一つの死体の下処理を終えた。

 ショウは少しの間、その小瓶を観察し、作業を開始する。

 

 数十分後、彼らのせっせたくまにより全てのゾンビが完成した。

 

 途中で邪魔者が入ったが、難なく事なきを得た。

 最後に奴の叫び声が聞こえて、それが次第に遠ざかっていく頃には、城の外に出ていた。


 外は夜だ。


「ゾンビは日の目を見ない生き物だから、夜行性なのよ」



--



 木星城。

 この刻、夜明け前であたりは闇に包まれていた。

 城の者のほとんどが深いところまで眠っていた。

 起きているのはのは、少数の見張り役だけだ。

 ゾンビの活動できる時間帯かつ、奇襲を仕掛けるのにもうってつけのタイミングだ。

 木星城が1日の内でもっとも気が抜けている時、それが夜明け前だった。


 木星国を植民国とした日星は、木星城の防衛軍の主戦力に、ドピンらを立てた。

 現在彼らはその権威を惰眠を貪ることに使った。



 

 木星城の城壁の外、つまり、メアリーの結界の外で、怪しい集団がいた。

 その集団は酔っ払いのようにフラフラしており、妙なうめき声を上げていた。

 その正体は、ゾンビとそれを操る女。

 ゾンビの群れの中、一体だけ素っ裸な女性のゾンビがいた。


「地獄が満員で」

「一杯になったら、死人が地上を歩き始める」


「死者は、生への渇望を求めて生者を喰らう」

「死から遠ざかるために」


 女性が、多くのゾンビに囲まれ、生きたまま貪り食われる。


 その女は、城の排水路を見つけた。

 それはメアリーの結界の穴の1つ。

 排水路はその機能を停止させないために、結界の効果が及ばない箇所であった。

 ゾンビ自身がその狭い隙間に入れる知能と器用さを持ち合わせていなかったため、女は自身の手でゾンビをその隙間に押し込む。

 やがて、一体を残し全てのゾンビを移動させ終えた。

 残った一体のゾンビは、女が作ったゾンビの中で唯一、生前の理性を繋いでおり、狭い穴に入れる知能と器用さを持っていた。

 彼女の従順な下僕となった。

 試験が終わっても、このゾンビはそのまま下僕にするつもりである。


 女は自身が人糞の混ざった排水路を通り抜けるのを嫌がったため、自分の心臓を最後に残ったゾンビの一体に渡した。


 最後のゾンビが排水路を抜け、結界の内側(城壁の中)に入った。

 木星城の見張り役はここで初めて、侵入者を発見する。


 見張り共は、早速弓で迎撃を始めるが、ほとんどのゾンビが脳以外では死なないため、たまたま頭部に直撃を食らった個体以外はその数を減らすことがなかった。

 ゾンビの習性により、人が多く集まる場所や、音が大きい場所に全力ダッシュで突撃を開始する。

 

 ゾンビは、生来人間が持つ肉体運動の制限から解放された生き物である。

 獣のごとくなだれ込んでくるゾンビの群れに、敵側は恐れおののく。

 弓は効かない。剣を持ってこれを迎え撃つ警備隊も、そのゾンビの凄まじい勢いに押され城内への侵入を許してしまった。

 まだ木星城で戦いの準備ができているものが少数だったことにも起因する。

 敵を迎え撃つ準備が出来た頃には、城内の侵略が始まっていた。


「留意しろ、傾国(けいこく)だ。こちらに婀娜(あだ)なす存在だ。直ちに臨戦態勢をとれ」

「だめだ!間に合わない!!」

「隊長!起きてください!」

 

ゾンビがわらわらと入ってくる。

 

「へええ!まずい!止めらんない!」


 止めらんない鼓動響かせて、畜生が如き偶像が。


 ゾンビが城内に侵入できた時、一体のゾンビが自身の胸部からドス黒い心臓を取り出す。

 ぽきゅっ、きゅぱぱか。


「胸に手を入れた…」

「何かを取り出そうとしている」

「黒い…心臓?」


 そのゾンビは、天に捧げるように、その黒い心臓を差し出す。

 ドス黒い血を垂れ流しながら、細かなチリが散る。

 心臓の脈打ちに合わせて、中心からニョキニョキと肉塊が生える。

 それは、最終的に女体へと成長した。


「人…」


 女はゆっくりと目を開ける。


 もう何度目の生き返りか分からない。

 頭がおかしくなりそうだった。

 吐きそうになるのを堪え、我慢する。

 気分が悪い。

 これも全部仲間のため。


 この身体はほとんど全部新品の肉体だけど、私はゾンビなので体は腐っている。

 一度肉体を失って、すべてを新しくするのは、気味が悪い。

 それは自然に背くことだからだ。


 気を取り直して、眼の前の状況を確認する。


 深夜に起きているものが数十人、こんな時間にご苦労さんね。

 

 ムガロはゾンビ達に突撃を続行させる。

 その間に、下僕から服を受け取りそれを着る。

 木星城にいるものは優秀な者が多かった。

 ゾンビの首がどんどん飛ばされているのを見て、ムガロは少し焦る。


 頭部をやられてピクリともしないゾンビに注視する。


「爆ぜろ」


 ばあん!


 その瞬間、ゾンビが破裂する。

 それに応じてあちこちで悲鳴が聞こえる。


「爆ぜろっ!爆ぜろっ!爆ぜろっ!」

 

 心臓爆破。


「そんなに騒いじゃって、みんななんかの祭りだと思ってるのかな」


 今宵、特別なプレゼントをあなたにお届け。

 それは目の前で破裂するゾンビ。

 

「ぎゃっ!」


 ムガロが恍惚した表情で存外なセリフを喋っていたら、一体のゾンビが急に噛みついてきた。

 

「痛っ」

「うぇっ!?なんで?」


「自分で作ったゾンビに噛まれるなんて世話ないね」


一人の飄々とした女が私の目の前に立っていた。


「躾がなってないんじゃない?はははっ」


ムガロは相手を睨む。


「あんた、私のゾンビを操ったわね?」

「そうそう!支配者の上書き容易いね、あなたよりあたしのが飼い主に適任らしい」

「自分のゾンビに囲まれて死になさい」


その女がそう言うと、ムガロのゾンビが一斉に飛びかかる。



ムガロは自分のゾンビに体を貪り食われる。


「痛い!痛い、痛い!」


ムガロは涙目になりながら、必死に手をその女に向けた。


「殺せ!」



動物を操る能力者の女は1つ見落としていた。

一体だけ、操れていなかったのだ。


そのゾンビは唯一自我を保っていた。

彼は、能力者を遅い、頸動脈を噛み切り、殺した。


自分のゾンビから解放されたゾンビは、しばらく痛みで動けなかったが、周りの敵兵はムガロを撃退するため襲う。


これをゾンビで迎え撃つ。


「爆ぜろ…」


爆発させた。

ゾンビ自体の戦闘能力はないので、爆弾として利用し、敵の無力化を目指すほうが有効な戦術であった。


ムガロは力の入らない体を気合で立たせ、走り始めた。


一人、その辺で寝そべっていた敵兵を叩き起こす。


「捕虜は何処にいるの!」

「い、言えるもんか!」


ムガロは敵の男の口元に噛みつき、食いちぎった。


「ああああ!!」


ごくり。

ムガロは喉を鳴らす。

怪我が少し癒えた。


「答えないなら、次は鼻」

「分かった!教える!教えるから!だから食べないでくれ!食われるなら僕が好きな女の子に!僕はまだその子とセックスをしていないんだ!」

「い、良いわよ、はやく捕虜の居場所を言ってくれないかしら」

「地下だ!そこの階段を下ってすぐだ!」

「ありがとう。食べ残しはあなたの好きな子にあげるわ」


「そこのゾンビ!ちょっとこっち来い!」

「私を運んで!」


 ムガロはゾンビに運んでもらい、捕虜が居る場所へと向かう。


 

--


 

 開け焦がれたその景色にはもう、我々の居場所などなかった。


 ここは、日星にやられた奴らのたまり場だ。

 捕虜として捕まった俺達には、もはや未来などなかった。

 俺達は、ソルジャーにはなれないのだと、強く、強く嘆いた。

 悔しい意外の感情など、この身から出てくるはずもない。

 我が人生において屈辱的だ。


 心が折られなければ、我らの魂はこの星にあるのだと、願った。


 なんだ?

 外が騒がしいな。


 牢屋の外に、見慣れぬ女が我らを見つめていた。


「ごきげんよう」


 その女はこの状況に似合わぬ声色で、我々に挨拶をした。


「ごきげんようだと?何がごきげんだ。最悪だ」

 

「ねえ、あなた達は捕虜?」

「・・・・」

「そのようね、ここから出してあげようか?」

「なぜ?」

「あなた達、日星のクソ野郎度もに一矢報いようとか思わないわけ?」

「小娘にはわからぬだろうが、この刻印があるかぎり、我々は奴らに逆らえぬのだ」

「じゃあ、私が判子をおして、上書きすれば、いいわよね」

「ふんっ、それじゃあ何も変わらぬではないか。我々を縛るものがとって変わるだけだ」

「でも、あいつらに憂さ晴らしができるじゃない」

「それが何だというのだ」


 確かにそれで憂さは晴らせるかも知れない。

 それでも、我々が奴隷のままであるという意味は変わらない。

 

「私たちのところに来てくれたら、こんなカビ臭い所に閉じ込めたりしないで、ちゃんとした仕事を与えるのにね」


 魅力的に思える。

 こんなところで放置されるよりかは遥かにマシだ。

 

「いいから!私の言う通りにしろよ!」


 その女がキレた。

 口調が一気に打って変わった。

 語気を強め、その言葉に熱がこもる。

 急に態度が豹変した。ちょっとヒステリックな婆さんだ。

 

「戦えよ!玉無しキング!てめえが王様だろ!?」

「なぜ戦おうとしないの!」

「まだそんな王冠かぶってんなら!私に従うべきだろ!」

「にいいいっ…!」


 煮え湯を飲まされる思いだった。

 だとしたら、何を期待した。

 

「くそ!畜生!」


 我は自分の頭にある王冠を手にとり、捨てようとした。

 否、出来なかった。

 

 我は、ソルジャーを諦めたくない。

 夢は今も昔も変わらぬソルジャーキング、この手の王冠を手放せば、もう二度とこの夢を目指すことなど出来ないかもしれない。

 道があるというのなら、歩くべきなのだ。

 たとえ行き着いた先が、地獄だとしても。


「皆のもの、話がある」

「この小娘の助力を得よう」

「なんだと!こんな奴の言う事を聞くのか!」


 ああ五月蝿い、五月蝿いなあ。

 ワーワー言うな。

 

「シャラアアアップ!!!」

「戦えるなら、戦うのだ」

「助け合おう」

「決して油断するな」

「戦いは始まったばかりだ!」

「うおおおおおおおおおおお!」


 その熱量をそのままに、我々はその手に剣を持った。

 

「刃物をもって幸せにできる奴は、コックさんぐらいだ」

「でも、俺達が持つ刃は、己に降りかかる理不尽を切り裂くことだってできるんだ!」


 木星国の捕虜を奪う事に成功したムガロは、その戦力を用いて木星城攻略を本格始動させた。


 木星城にいた日星国の兵は混乱の極みへと至りえり。

 突如として城内にゾンビが出現し、呼吸をする暇も与えずに重症者がネズミ算式に増える。

 そこへ更に追加戦力を投入されたら溜まったもんじゃない。


 しかし、日星側には優秀な人材が多い。

 すぐにゾンビの弱点に気づき、駆除を開始するもの。

 火で追い払うもの。

 中には、動物を操る能力で逆にゾンビを操るものまで現れた。


 

 --



 木星城の正門の前で、二人の怪しい影が身を隠していた。

 彼らは機会を伺っていた。

 そのタイミングを逃せば、作戦遂行に少しばかり支障をきたすためだ。


 隠れる二人の木の葉に月明かりすら照らさず、されど星が見えず。

 ひそかに身を潜め、合図を待つ。

 合図、それは、ムガロから送られてくるはずの号令。

 しかし、中々来ない。

 ショウは少し苛立ち始める。

 彼は待つのが得意ではない。

 待てをさせたら犬に負ける。つまり犬以下。

 なら彼は猫か狐だろうか。おそらく狐だ。


 門番の姿を注視する。


 城壁の門の前に立ちふさがるように、二人の門番がそこを警戒していた。

 もっとも、彼らの警戒心はあくびで消し飛んだ。

 その仕草がこちらからでもはっきりと目視できる。


 もうそろそろ辺りが明るくなってもおかしくない頃には、ムガロが捕虜の解放を成し遂げていた。

 今回は、ムガロが作戦の根幹を担っていた。彼女が失敗すれば、ショウとソーマが滅茶苦茶頑張る羽目になるのだ。

 ムガロの肩にのしかかる重圧はそれなりに重い。かもしれない。


 でもな、仲間の期待に応えてこそだ。

 もしムガロが失敗したら、そんときはケツをおもいっきりしばいた後、拭ってやるのさ。

 それでこそ仲間ってもんさ。


 期待しているぞムガロ、てめえのケツをしばけるのなら別に失敗しても良いかもな。



 がんばってくれや。


 城内から爆発音とともに悲鳴が聞こえてきた。

 なかなか派手にやってくれている。


 ムガロ、本来の目的を忘れていないだろうな。


 なんという城々しい情景か。

 あの城の一番とんがっている所に立ちたい。

 そのためには、この城を制圧しなければ。


 城攻めにたった三人で攻めるのは、無謀としか言われないだろうが、俺達には勝算があった。

 それは実にシンプル。

 俺達は個人で異常なほどの戦力を保持しているからである。

 まさに百人力、俺等を一人倒すのに、百人は必要だ。

 いや、違う。

 千人はいる。


 それほどまでの能力を俺達は持っている。


 ジジッ、電磁音に近しいノイズが脳神経を逆撫でる。

 一瞬身の毛がよだつような感覚が脊椎を通って、産毛が反り立つ。


 ソーマの黒煙が俺の脳内に混入している証拠である。

 何度経験しても気持ちが悪いが。これは念話の兆候なのでこれから転送されてくる音声情報に集中する。


『あー、あー、あー、これ聞こえてるの?』

「はいもしもし、聞こえてるよ」

「念話でもしもしはおかしいだろ、てか受け手はもしもし言わねえよ」

『どうぞ』

「誰イズオーバー」

『はいはい、こちらムガロ、準備出来たわ』

「了解、我々もすぐに向かう」

『我々って変なの』

「余計なことは喋るな、頭ん中で声が響いてガンガンする」

『じゃ、念話止めるよ』

「おう」


 ショウ、ソーマは門を見る。次に、門兵を見る。

 状況を確認し終えたら、最後にお互いの顔を見て、頷きあう。


「よおし、行くぞお」


 俺とソーマは拳を交わし、さあ行くぞと気合を入れる。

 ソーマは銃を生成して、俺に手渡す。

 銃を少し触り、確かめてから、改めて敵の姿を見る。


 ソーマがかけっこの前の構えをとる。


 俺は銃を相手の肩に撃つ。

 ソーマは黒煙で槍を生成する。


「黒煙槍!」


 黒い槍を相手の足元に射つ。

 

 俺は銃を発泡させた後、しゃがんだ。両手を軽く地面につけ、ケツを上げる。

 それから、俺達は全力でダッシュし、俺は飛び蹴り、ソーマは鈍器で殴打、門兵を可及的速やかに無力化。


 門は出入りする場所のため、結界の効果が及ばない箇所であった。

 なので、門兵を片付けたショウ、ソーマの突撃組は正面から堂々と門から城内へと失礼する。


「へえ、なかなかいい城だな、俺らの城がまるでクソみたいだ。城壁も結界も立派だったし、ここでは安心安全で豊かな暮らしができただろうな」

「だが!俺達が来たからにはもう安心できねえぞ!」


 さすがに木星城に駐在する兵は皆目を覚ましたか。

 戦う準備は出来ていると見える。

 しかし、まだ気持ちが入ってないのが見え見えだ。

 士気の低さは奴らの覇気のない顔を見れば分かる。


「おはよう!いい朝だな!」

「いいわけあるか!」


 あちこちから野次が飛び出る。


 うんうん、みんなやる気出てきたね。


「相手が二人だからって、油断するなよ」

「奴ら、相当腕が立つと見える」

「お前ら、気を引き締めろ」


 捕虜も奪われた。間違いなく、情報が露呈している!


 両者の勢力がお見合いをする。

 お互いの印象を確かめ合い、自分らの相手と適合できるかを見極めるかのように、ジリジリと少しづつ距離を縮める。

 漢通しでの、お見合いだ。


 ショウと、ソーマは静かに腰を落とした。

 これといった合図のようなものはなかった。

 だが、彼らにはその必要がない。

 まるで意思の疎通を行っているかのように同じタイミングで二人は別方向に走り始めたのだ。


 いきなり分裂した敵勢力を目の前に、日星側は一瞬判断が送れる。

 その隙が大きな仇となった。


 敵側の困惑は、ショウ達は計画通り。

 彼らの目的は木星城のマーカー、あわよくば日星のマーカーの奪取を狙っていた。

 そのための前座にすぎない。

 ショウが別の通路に渡ったのを確認したソーマは、黒煙を霧状に散布させた。


 それは結界内に充満し、空気中の酸素を喰らう。

 急速に酸素がなくなったことで、人間である彼らは一瞬で気絶をし、大脳にダメージを直で与える。

 必要事項であった捕虜の確保はムガロの手で終えた。あとは心置きなくやれる。


 ソーマがおかしな霧を発現させたというのに、普通なら見るからに危険そうな黒い霧を吸い込まないために息をとめるだろうが、二人の突飛な行動のお陰で、それに気を取られていた敵兵の多くがそれを吸ってしまった。


 ソーマの反則的な能力によって、もはや戦うことすらなく敵の殲滅完了させる。

 戦いなど起こらなかった。

 戦うことすら出来ずに、彼らは負けた。



 強い、強すぎる。


 結界によって空間が閉ざされているおかげで、城内の酸素を喰らい尽くすのは容易であった。

 ショウには根性で耐えてもらい。ムガロには敵と一緒に気絶してもらう。


 一応、ムガロに念話でこれから窒息させることを伝えている。息をしなければ気絶しないですむが、たぶん無理だろう。


 ソーマ自身は呼吸を必要としないので、なんのこっちゃ、へっちゃらさ。


 空気をなくしたのは数十秒ほどであったが、ほとんどの敵を気絶させたことを確認した。


 なんとか意識を保っているやつもいたが、そんなのはお構い無しに全ての敵を拘束した。

 意識を手放せないでいる者もいたが、ソーマから見れば同じだ。


 敵の拘束も、ソーマの能力により一瞬で完了した。

 なんて便利な力なんだ。



 次、俺とソーマは特に示し合わせたわけでもなく合流。

 それから二人で木星のマーカーを探す。


 廊下を歩きながら、部屋があったら入る。

 これは見つかりっこないな。


 結局、マーカーはなかった。

 やはり日星城の方か。


 しかし、成果としては十分だろう。



Beast-like idol

畜生が如き偶像

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ