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心世界  作者: rin極
第九章 ソルジャー試験編
44/48

第44話 「ううん…  っこ!」



 






























 俺達は不死身だ。





 神でさえ殺すことはできない。

 

 




 道など無くともまるで関係ない。

 



 誰一人として、俺達の行手を阻むことはできないだろう。

 











「ねえ申し訳ないけどどいてくれる?」


「君の苦痛はよく分かるよ」


「でもそれが楽しいんだよね」


「死んでから色々変わったんだ、僕は」


 最後のラストパート、俺達は余力を残していた。

 ソーマが挑発とも取れる言葉を先行していたチームに投げかける。

 

「一途に迎え、余力は残すな止まるんじゃねえ」


 俺達はトップに躍り出た。

 最後はムガロにも走らせた。

 こういうのは皆でゴールをしなきゃ意味がないんだ。


「最前線で飛ばすぜ俺達は!」

「はっ!はっ!はっ!はっ!笑いが止まりやしねえよな!」

 

 俺達が最速到達者だ。

 

「俺が…!?」

「「「いやっ……!!俺達(私達)がっ!!!ぶっちぎり!!!!」」」


 

 ゴオオオオオオオオウウウウルルル!!!!


 

 ゴールした瞬間の気持ちよさ、

 1位であることの喜びが、

 

 俺達を受精させた。

 

 心拍数は限界突破、心臓ポンプがフル稼働、血の巡りが良くなるね!

 

 最っ高だ。

 

 俺はその場に座り込んで、右手でデコを抑えた。

 口角を上げて、チャーミングな白い歯を見せながら俺はカッコよく微笑った。

 

「どうかしたの?ショウ」


 俺はゆっくりと立ち上がる。

 仲間に背中を見せて俺はこう言ったんだ。

 

「…伝説と書いて俺達と読む」





         伝説(オレ達)





「え……?」


 空を見上げ、少し黄昏れながら格好付ける。

 

「傍観者よ語り継げ、俺達の伝説は始まったばかりだ」



--



「あ〜い!あーい!あーい!あーい!」

 

 意外と余裕で一位通過できたから一安心した俺達一同は、 現在喜びの共鳴をしていた。

 俺達三人でジャンピングハイタッチをやった。


「うぇーい!俺達ウェーイ!」


 そして、ソーマと一緒に乳首と乳首をぶつけ合い喜び合う。

 ムガロとも一緒にやろうとしたが拒否された。

 

「あなた達のテンションには付いてけないわ」


 

 そして、手の甲には無事に勝ち点1500が入っていた。


 ショウ「2011」

 ムガロ「1966」

 ソーマ「2371」



--



 この地獄のマラソンは、夜が明けるまでにゴールをしなければならなかったが、日が昇るどころか、日が沈む前に辿り着いてしまった。

 

 優越感にどっぷりと肩まで浸りながら、のぼせた俺たちはゴールに走ってくる選別者を眺める。

 暇で暇でしょうがなかった。


「ああ疲れた・・・」


 ムガロは寝転がって死体の真似事のようにびくともしない。

 それに対してソーマは何ともないように飄々(ひょうひょう)としていた。


 

 

「遅えな、2位の奴ら …1時間は経ったぞ」


 俺たちが到着してか、それぐらいの時間がたって、ようやくゴールした。

 

 それから、奴らを軽く労い、しばらく寛いでいた。

 そろそろ、ちゃんとした休憩場所に連れってってくれるだろうと、そう思っていたが、俺達はいつまでもそこに居た。


「ずっとここで待ってなきゃ行けねえのか?」

「だぶん、そんな感じだろうね」

「まじかよ、ダリいな」


 結局、完全に日が沈み、夜が明けるまで俺達はその場で待たされたのだった。




 

【オーガの捕虜となった少女】

 

 17歳の少女は、オーガ討伐隊に入った。

 この日は、メンフィルにとって初めての討伐遠征だった。

 

 「メンフィル、行ってらっしゃい」


 心配そうな顔をした母が、優しい愛情の籠もった声で娘を送る言葉を投げかける。


「気をつけてな」


 母に対し、父はそれほど心配していなかった。

 自分の娘なら上手くやれると心の底から思っていたからだ。


 「行ってきます!」


 メンフィルは元気よく出て行った。

 その勇姿に両親は誇りに思う。


 

 

 メンフィル含む15名の討伐隊がオーガの里があるとされる山中に入る。

 

 その隊は出発の前に整列して点呼する。

 隊長が皆の前に立ち、指揮を上げるため鼓舞する。

 全員が力いっぱいの声量で雄叫びを上げる。

 これで死の不安は打ち消された。

 

 さあ行くぞ。

 移動を開始する。


 バキッ!

 小枝を踏む音が聞こえる。


 キキキキキキキッ!

 動物の鳴き声が聞こえる。


 獰猛な気配があちこちから感じ取りながら、それでも隊は果敢に進む。

 地元の狩人に案内されながら険しい獣道を進み、もはや道とは呼べぬ道を更に進んでいく。

 

「・・・・っ!」

 

 誰もが思わず鼻を押さえ、しかめっ面をしていた。

 鼻腔に纏わりつくような嫌な匂いが辺りの空気中に漂い始めていたのだ。

 

 隊長が止まれの合図を出して、一同が静止する。

 息を潜め、草木に身を隠す。

 静粛の時が彼らに迫るだろう。

 

「行くぞ」

 

 確実に近づいていると彼らは確信する。

 そう、確かに彼らは感じ取っていた。


 あ、いた。居ました。会ってしまった!

 どうしよう!我々はまだ準備ができていない!

 

 だが彼らの行進は止まらない。止められない。誰か止めてくれ~!

 

 わお!

 森の迷宮の更に奥へ突き進む。

 

 おお!うおっ!

 

 一体の小柄なオーガが私たちを見ています!

 私達は動きを止めた。


 しばらく見つめ合って、なんとも不思議で奇妙な時間を過ごす。5秒ほどそれが続いて、そのオーガはいきなり逃げた。

 そいつはもの凄い敏捷性を発揮して私たちの視界から即座に消えた。

 

 オーガという生物はとても危険な種族である。

 獰猛(どうもう)残虐、それでいて人と同程度の知能を持つとされている。

 まさに人類の天敵とも呼べる存在、それがオーガである。

 

「隊長、見つけました」

「・・・・・」

「…よくやった」

 

 隊長は探し物を見つけた隊員の頭をしばいて褒める。

 それから、歩くこと数刻もしない内にオーガの里が私達の視界に現れた。

 

「間違いない、オーガの里だ」

 

 ああ、オーガの里が広がっている。

 里といっても、その集団のほとんどがあの巨大な洞窟に住み着いているそうだ。

 

 それを視界に入れた隊は、総督オスグットのようにいきなり攻める、ということはせずに、まずは様子を盗み見た。

 里の立地条件、内部構造を8割方把握し、オーガ達の総数および戦力を計り終えたことを確認した隊は、いよいよ突撃作戦を練った。

 オーガが一番油断するであろう日の出の時刻に奇襲攻撃をしかける運びになったが、その日の夕方から晩にかけてオーガ達が宴会のようなものを始めたことにより、急遽(きゅうきょ)(ふくろう)の鳴き声が聞こえてくる頃に彼らは仕掛けることに……。

 

 それが、彼の隊にとって不幸をもたらしたのかは定かではないが、

 

 結果として隊は全滅した。


 その巨大な洞窟に侵入してまず一番最初にやられたのはいつも私を虐めてくる先輩隊員だった。

 ナタで一発胴体ズバッと私の心はスカッと、は流石にしなかったけど、それはそれはものの見事な両断であった。

 それからはもう……討伐隊は成す術もなく、侵略しにきたはずの私達が逆に一方的に蹂躙されてしまった。


 「大変でしたね…」としか言えない人は嫌われる。頭のいい人はどうかしてる。



 あちこちで悲鳴が聞こえた。

 とてもこの世の光景とは思えない景色が、眼前(そこ)には広がっていた。


嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚(あああああああああ)!!!!やめてくれええ!!!頼むからさあああ!!何でもするから!ぎゃあああ!!ああああ!!!」

 

 ああ、なんてこった。

 ねえ、神様。

 これは現実なのですか?

 世界ってこんなにも残酷なんですね。

 

 私知らなかったです。


 メンフィルの幼馴染が彼女の顔を見て、助けを乞う。

 魂が削られていた。


 初めて見た。

 

 いつも彼女を守ってくれた彼が、最後に激痛に叫んで、あんな絶望に染まった顔をするなんて。

 メンフィルはその時の彼のことが頭から離れなかった。

 

 メンフィルは何度も叫んだ。

 彼女の中にあった思考など、彼女自身の叫び声でかき消されていた。


 ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ。


 ああ、ああ、ああ…。


 あああああああああああああああああああああああああああああああああああああ。


 ああ……あんなに強かった隊長があんな風に赤子の手を捻るように、見事無惨に殺された。

 


 あ、前に私達をじっと見つめていた小柄なオーガが、メンフィルを見ていた。

 その時、メンフィルは尻もちついて倒れ込んでいた。


 そいつと視線を合わせた。

 メンフィルは思考せずに、それを感じ取っていた。

 それは言語化できないものであったが、その時初めてメンフィルは己の動物性を認識した。

 

 メンフィルは立ち上がった。

 逃げるのを辞めた。

 そこに論理的な判断はなかった。


 周囲を確認するように、あちこちを見出す。

 その時の彼女は酷く落ち着いていた。


 そんな所で突っ立ていたら、当たり前のように彼女は襲われた。

 野獣に襲われる姫様は、されるがままに地面に転がる。


 野獣が彼女の身体の上に覆いかぶさる。

 獣の唾液が顔に垂れ落ちてくる。


 どうぞ、召し上がってください。


 このとき、この瞬間だけ、メンフィルはオーガ達に屈服し、服従していた。私という人間はこの生物には絶対に勝てないと、身体で理解したからだ。


 そしたら何故かそのオーガは突然私から離れた。

 どうやらオーガ達は私を襲うのを辞めたらしい。

 オーガ達の敵意、害意、嗜虐心、狩りの本能が沈んだからだ。

 

 気づけばオーガ達の野獣的な雰囲気が収まっており、理性的な顔つきになっていた。

 随分な落ち着きようである。

 

 だんだん私の意識は人間的なものに戻ってきていた。

 すっと目が覚めるように、止まっていた思考が動き出す。

 

「へっ…?」

「あ、え?」


 逃げなきゃ。

 早くこの化物から逃げなくちゃ。


 逃げようとしたのが感づかれ、近くにいたオーガが唸り声を上げてメンフィルを一瞬で萎縮させた。


「はあああああ!!!!」


 メンフィルは全力で逃げようとした。

 ほんで、そして、どうする。


 本当に、その様は無様だった。

 醜かった。

 人間の尊厳など微塵もなかった。


 まあ、当然、すぐに逃げられなくなった。

 右腕を捕まれ、宙に上げられる。

 

 メンフィルは暴れて、体全部使って全力でもがいて暴れて、オーガの手から脱しようとしていた。

 気分はまさに尻尾を掴まれたトカゲだ。

 すぐに両手両足を掴まれて身動きが取れなくなり、己の力の無さに絶望する。


 縄で身体を縛られ、狩人がイノシシの死体を運ぶように、メンフィルは持っていかれた。

 メンフィルは、オーガ達にとって生け捕りにした獲物に過ぎなかった。


 メンフィルはオーガ達に運ばれながらも、抵抗し暴れていたが、次第に体力が無くなってきたのと、心理的に疲れたことにより諦念(ていねん)に至る。

 彼女は抵抗するのを辞めて大人しくなった。

 

 どんなに暴れても、嫌がっても、絶望しても、オーガたちには何も通じないし通用しない。

 言葉は通じない、心は通じない。

 そこに私達の常識など何の意味も持たない。

 

 道徳、それ自体に価値はない。

 

 こうなったら、人間は本当に無力だ。

 本当は、人間ってこんなに弱い生き物だったんだな。

 人間は、生物としてオーガに劣っている。

 その時のメンフィルはそう思った。

 

 

 このようにして、討伐隊は全滅した。

 生き残ったのはメンフィルだけだった。

 彼女だけが、殺されずに済んだのだ。

 自分は生き残って安堵した、そして絶望した。

 

 洞窟の更に奥の奥の奥、連れいていかれたメンフィルは次第に恐怖心が体を蝕んでいた。

 メンフィルは言いしれぬ奇妙な悪寒を感じ取って身体を小さく震わせていた。


 洞窟の中はひどい匂いだった。

 

 5分ほど洞窟の中を移動した後、メンフィルは柱のようなものに縄をかけられ、その場所から離れられないようにされた。

 少女はオーガの里に捕まり奴隷となったのだ。


 少し乱暴に扱われたメンフィルは憤る。


「いたっ…ちょっとっ!」

「グワアア!!!」

「ひっ!ごめんなさい!」


 ちょっと文句言おうとしたら黙らされた。


「はあ…」


 メンフィルは地べたに腰を落ち着け、一息ため息する。


「あ、あの、大丈夫ですか?」


 近くに居た女性から声をかけられた。

 メンフィルの他にも囚われた人間がいた。

 

「あ、えっと、あなたは…?」

「マフィンです」

「私はメンフィル、よろしくね」

「はい!」


 それが、私とマフィンの初めての出会いだった。

 ここまで来て、さっそうと現れた人間がいて、それでいて私は、何もできなかった。

 まさか、あんなことになるなんて、夢にも思わなかった。



 

 何だ、あの目…生きてんの?

 あの人、お腹が膨れんでいる。

 

 そっか、孕んでいるんだね。

 

 それでも生まれてくる子は愛せるのかな。


 今、私が居るこの暗くて臭くて狭い部屋には、私やマフィンを含め4人ほどの人間の女性がいた。

 いずれも生気を感じさせない死んだ目をしており、ああはなりたくないと願った。

 唯一、マフィンだけが正気を保っていた。

 なによりもこの部屋の異臭が凄い。

 一体何の匂い?

 

 最後まで抗って、人として死んでやる。

 その時、私はそう決意したのだ。


 五時間後…。


「あ、あの、トイレはどうしたら…」

「あ、そっちの隅っこ済ましてください」

「え……?」

 

 歯磨きできないし、水浴びもできない。そもそも着替えがない。

 つまり、地獄の日々の始まりだった。

 

 一人のオーガが私達の居場所に入り込んできた。

 私がそのオーガを一人と数えたのは、とても人間的な知性を感じさせたからだ。


 当然私は警戒心を顕にして、そのオーガを睨んだ。


 そいつは私の敵意をもろともせず、睨んだ挙げ句無視される。奴は当たり前のように振る舞っていた。

 そいつは静かに、何かを地面に置いた。


「これが食事?」


 え?これ何?豚の餌だ。私達は豚じゃない。けど似たようなもんだ。

 

 そやつは飯だけ置いて静かに消えた。

 

 2日後…。

 マフィンがどこかに連れてかれてどこかに行った。

 数時間後に戻ってきたマフィンは、壊れていた。

 話しかけても、反応がなかった。

 前日からその前兆はあった。いや、最初からマフィンは壊れかけていたのだ。


 ねえ、

 マフィン。


 何をされたの?


 ここに来て初めての友達を失った私は、一人になった。

 孤独感に(さいな)まれ、これから私はどんな目に合うのだろうかと想像し恐怖する。

 一人ですすり泣き、されど慰めてくれる母はいない。

 父は助けに来てくれない。

 

 ああ、戻りたいな。

 母の言う通り、討伐隊なんて入らなきゃ良かった。

 

 

 2週間後…。



 そいつが初めて言葉を発した。

 みんながその言葉に反応した。


 オーガ達の言語で、私にはその言葉を理解することはできなかったが、他のみんなには伝わっていた。

 

 そのオーガは小さな小瓶を地面に置いてから、ゆっくりと去った。

 それは、その行動は、彼の慈悲だった。


 次の日、目が覚めると、


 私以外の奴隷が死んでいた。


「な…んで」


 マフィン…。

 

「結末なんて、こんなもんか」

 

 それが最後の希望だったのだろう。


 やっぱりまだ、この匂いには慣れないな。



 今日を(しのげ)ば明日は終わる。

 今日も今日とて、とりあえず生きる。



--



 ある日、とある日ってどんな日、いつの日か、私は洞窟内のゴブリンに犯されかけた。

 これはオーガの驚くべき生態であるが、オーガはまずゴブリンとして生まれるらしい。

 ゴブリンが進化しまくって、最終的にオーガになるそうだ。

 

「ぎゃあああああああああ!!!!!」

「ぐわああああああ!!!!」


 うわああ、チンポでっか!

 緑のチビのくせにチンポでか!彼氏のよりデカいんだけど!!!

 いやいや!今そんな事よりヤバい!犯されちゃううう!!!


 私のお股に緑色の先っぽが入りそうになったとき、何者かが私を襲う獣をぶっ飛ばしてくれた。

 そいつはそのゴブリンに向かってドチャクソ怒鳴りだした。

 その様にはものすごく野性味を感じた。

 群れの世界。

 

 おそらく部下が馬鹿やったのを厳しく叱っているのだろう。

 いや、違うか。

 私達奴隷はボスの所有物で、ボス以外のものが勝手に触れてはいけない。死刑だ死刑。案の体、そいつの上司は部下を懸命に庇おうとしたが、やはりオーガの世界は厳しかったようで、殺されてしまった。

 

 ゴブリンの知能はやはり低すぎるせいで、こういったトラブルと制裁は日常茶飯事なのだ。

 ゴブリンはあまり学習しないから、さっさと殺っちまうのが一番良い。

 すぐに増えるしね。

 

 「・・・・・・」


 結果的に私を助けてくれたのは…彼、ネイム・ディゴラドであった。

 私の女達を薬飲ませて死なせたオーガ。

 私は彼を憎んでいて、それでいて感謝していた。

 彼女達を楽にさせてくれた。


「ありがとう」


 どうせ伝わんないだろうな。

 私はネイムにお礼を言う。

 

「ドウイタシマシテ」

「え?」


 私がオーガ達の言語を少しづつ覚えているように、彼もまた、私達人間の言葉を学習し始めていたのだ。


 その日から、メンフィルとネイムは、互いに自分達の言葉を教えあった。

 それから、メンフィルはオーガの言葉を喋れるようになるのに、さして時間は必要なかった。



--



 あれからしばらく経ったあと、どうやらネイムはこの群れのボスになったらしい。

 私は外に連れ出された。

 無論、解放されたわけではなく、ネイムの気分で出してくれただけだ。


 この里で人間が歩いているのはとても珍しいことなので皆が注目するし、騒がれた。

 

 その日から、私はときどき外に出される機会が増え、いつの間にか私は普通にオーガやゴブリン達と普通に生活をし始めていた。

 もちろん私は捕虜といか奴隷のような存在なので、彼らと対等に扱ってくれる訳では無いが、それでもメンフィルはこの里にだいぶ馴染んでいた。

 私は毎日のようにゴブリン達に虐められた。

 ネイムはただ傍観するだけで干渉しない。


「ネイム!助けてよ!」


 半年で言葉を覚えた。

 

「・・・・」

 

 彼は助けてくれなかった。

 ネイム・ディゴラドは言った。

 弱気ものが虐げられるのは自然なことだ。

 解決したければ自分でなんとかしろ。


 だからメンフィルは強くなって、やり返すようになった。

 彼女を虐めるものは居なくなった。

 ただ一人を除いて……。


 

 

 ネイムの愛人として毎晩一緒に寝ている。

 奴隷の一番の利用価値はセックスの道具だ。

 私のこの里での価値はそれだ。


 そろそろ、それ以外に価値を見出さなければ、私は処分されていしまう。


 

 1年後…。

 何の変哲もない日だった。

 それはあくまで唐突だった。

 

「俺は、お前を解放する。帰っていいぞ」

 

 私がいつも通り剣の素振りをしていたら、突然ネイムにそう言われたのだ。

 

「え?今なんて?」

「だから、お前を解放すると言ったんだ」

 

 なんと、私は解放された。


「いや何で急に?」

「メンフィルは、俺はお前を愛している」

「知ってる」


 私も愛している。


「いつまでもお前をこんな所に置いてやるのは可愛そうだと思ってな」

「元いた場所に戻りたいのだろう?」

「それは、そうだけど」


「私、ここに居ちゃ駄目なの?」

「人間の世界に戻ったほうが、お前のためになる」

「私、あなたが好きだもん、居場所なんてここしかないよ!」

「もっと強くなって、あなたの役に立ちたい」

「だから…!」


 メンフィルはこの地に留まると決めた。



 5年後…。


 メンフィルは22歳になった。

 この頃にはもう立派にオーガの里の一員になっていた。

 捕虜のエルフ達や新しく入ってきた人間の奴隷とも仲良くなった。


 子どもが生まれた。

 ネイムの子どもだ。

 人間の赤ちゃんだった。

 私の血を濃く受け継いだのだ。


 メンフィルは考えた。

 もし人の子が生まれたら、この里で育てることはできるのだろうか。


 人間の世界に戻ったほうが、この子のためになると思った。

 

 里の長に気に入られオーガの習慣や知恵などを教わったメンフィルは、もはや親とも呼べるほと親しくなったが、しかし少女には人間の世界に戻らねばらならない理由ができた。


「ネイム、今までありがとう」

「ああ、行って来い」


 メンフィルはまず実家に帰った。

 それから数週間ほど滞在しながら、メンフィルは子どもを守るために人間社会での地位を獲得することにした。

 その手段とは、ソルジャーになることであった。

 


 メンフィルはソルジャー試験へと向かった。


 

--


 

【スカイホーク】

 


 十数人の武闘集団がヘラジカの毛皮を持って、森の中を行進していた。

 いきなり何者かが弓矢で襲ってきた。

 殺られた。

 姿が見えない。

 どこから撃ってきた。

 


 短髪で金髪の肥満に満ちた男の死骸が微妙に動いた。

 内臓脂肪で風船のように膨らんだお腹のから、人間の手が出てきた!

 現れたのは小さな少女だった。

 この子がやったの?

 

 神は与え、神は奪う。



 

 彼女の名前はゴードン・リトル・スカイホーク。

 兄はゴードン・リトル・バーニー。

 

 スカイホークが幼き頃、父に弓を教わった。

 彼女が父の狩りに初めて着いて行った時だった。

  

「私()てない」


 彼女は弓を構え、狐に向けていた。

 父に腕を支えられているお陰で、狙いは確かである。

 

 彼女は、生まれて初めて殺生をすることで、この指を離すのに躊躇(ためら )っていた。

 

「腕は動くか?」

「そんなの、動くに決まってるじゃん」

「指は?」

「普通に動くよ」

「なら討てるさ」


 彼女の指は動く。腕だって動く。だから射てた。

 

 弓を射つっていうのはね、ただの動作なんだよ。

 まず胸を張って、思いっきり引いて、あとは手を離すだけ。


 そしたら狐は苦しんでた。

 苦しませるのは余計可哀想なので首にナイフを当ててトドメを刺す。


 それ以外にない、他に類を見ないほどの素晴らしいもの。


 

 弓の達人で、足技が得意。柔軟な体を活かした戦いをするこの女の名はスカイホーク。

 動きやすいという理由で、邪魔なモノを省いた全身タイツのような格好がセクシー。


 偉大な父の元に生まれたスカイホークは、幼少期の頃、父に構ってもらえなかった影響で素行不良の言うこと聞かずに成り果て、学校で問題児だった。

 そんな中、村がクリーチャー襲われた時、父に見捨てられてしまう。父に失望した娘は何も信じられなくなり、人間を嫌うようになる。そして。人語を操るクリーチャー側に着いてしまった。

 魔王に合うという目的で不毛の大地に渡るため、ソルジャーを目指す。



 



--



【破壊の目を持つ女】

 

 目がバッキバキの彼女は、視界に写ったものすべて、破壊できる。

 皮膚が老化する病気持つ。しかし、細胞が壊死した箇所を他人の皮膚で張り替えると一時的に治る。

 定期的に自分の見栄えのため、殺人を犯す。

 愛人のスカホークに捨てられ、彼女を追いかけるためにソルジャーへ志願。


  



以上!





 

 

Me, me, me

僕、俺、私

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