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心世界  作者: rin極
第八章 目指せ!ソルジャー編
38/48

第38話 「隣国」



この日、ムシカゴ市にリンゴクとその付き添いが訪れていた。


「相変わらず辛気臭い匂いがするなあ、この街は…」

「んん~ん?」


くんくん。


「なにやらあっちの方から、面白そうな匂いがするぞ」

「んふっ、ン〜〜…イイ…!イイぞお!!」

「何がいいんですか?」

「聞くな!面倒くせえ」


それからリンゴクは進行方向を変えた。

彼にはこれからきわめて重要な仕事の予定が入っていたが、それらをいっさい切り捨てて、面白い方を選んだ。

付き人は、もはや恒例行事と化したこの行動にうんざりした。


「腹が減った…!」


リンゴクは唐突にそう呟くと路地裏に落ちていたネズミを拾って食べた。


「美味しいんですか?それ」

「不味い!」



--



一方その頃コロシアムでは、観客席の最上席で、妙に熱を持った民衆に挟まれながら、ムガロとソーマはショウの試合を観戦していた。

それからしばらくしてリンゴクはコロシアムに到着した。

リンゴクは懐かしい気配を感じてムガロがいる観客席に向かった。


「おお、なかなか生きの良い奴がいるな!」

「ナチュラルにいかしてるぜぇ、こりゃあ」


「リン…ゴク…?」

「来ちゃった☆」

「うそ、どうして此処に?」

「なにやら面白そう気配がしてな、だから来た」


「元気だったか?ソラ」

「あら、人違い?私はムガロよ」


リンゴクはムガロとの再開に満足し、舞台に視線を移した。


「おうおう稀に見る強者、久々だ」

「ああ、一度あいつの剣を味わってみたい」


「駄目!ショウは私達のものよ!」

「あなたになんか渡さないわ!」

「俺は若人(わこうど)に欲情するおっさんか!?」


観客席の方から、ショウの事を上からの立場で感想を言うものがいた。

リンゴク。その男は人類最強であった。

そんなことなどちっとも意識のかけらもないショウは、目の前の戦いに明け暮れていた。


「あ!待ちなさい!こらっ!リンゴクっ!」


その男に待ては通用しなかった。


「リンゴクって?」

「ただの変態よ」


彼にムガロの言葉は入らない。


リンゴクは観客席から跳んだ。

一瞬、青い空に影を作ると、落下に移った。

そして着地する。

その衝撃で、ステージは振動する。


「俺氏、降〜臨!!!」


血と声援、名誉と知、大空に吹雪、太鼓の昔。

舞台の九回裏に、その男は立っていた。


我が目の前に大男がいきなり現れた。

その男は空から降ってきた。

その男はただならぬオーラを発していた。


知と名誉に明け暮れ、財に強さを溺れた。

最強、それに準ずる男。それがリンゴクであった。


「この土壇場に、周りの目を気にせずすかさず参上!さすが俺!神々しい!」

「やあ下々の皆さん!こんにちは!リンゴクだよ〜!!」


すると観衆はどよめいた。

「え?リンゴク?マジじゃん、すげえ!」みたいな声が聞こえてくる。


何者だ、コイツ。


「実際に対峙してみると、うむ、なかなか()いな!お前!」

「う〜ん、久々に興奮してきたぞ!」

「ほら、俺の股間を見ろ!勃起しているぞ!」

「五月蝿え!いちいち言わんでええわ!」

「お前も勃起しろ!それでお前の男気が分かる!だがしかし!俺にでかさで優ると思うなよ!」


「だから何の用だ?、おっさん」

「ハハハッ、キザな男だな、なあに、大した事じゃない、用件はただ一つ」


「俺、お前と試合たい」

「はっ?」


いきなりそいつは俺に向かって剣を振るった。


やべえ!なんだ!やばすぎる!

避けきれねえ。


俺は仕方なく剣で受けた。

捌ききれねえ。

かといって受けきれそうもねえ。


ギュイイいいいいいいいいいいん!!!!!


鉄と鉄がぶつかり合う。


「グッ、グギいいっ!!」


まず最初に、俺の奥歯が砕け散った。

歯を強く食いしばったからだ。


踏ん張りすぎてウンコ出そう。


真正面から剣を受けた俺は、地面に押しつぶされそうだった。


俺の肛門、耐えきれるか?


「い゙い゙い゙いいいいいい!!!!!!」


重い!おもすぎる!!!


「ったはあ、はあ…」


やっと、静かになった。

リンゴクは剣を下げた。


ようやく呼吸ができる。

一瞬の出来事であったが、肺の中の空気は圧力ですべて押し出されていた。


「いきなり何すんだよ!危ねえなあ!!」


リンゴクは驚いた様子を見せた。


「おいおいマジかよ、割と本気だったんだけどなあ、よくぞ俺の剣を受け止めた!」

「俺の()()ち、受け取ってくれて、あ゙りがとう!」


その男はたいそう真面目にそう言った。

どうりで剣が重いと思ったぜ。

思いの強さは質量を生む。

師匠の持論は正しかった。


「次は、お前の精一杯を受けてみたい!」

「はあ?なんでお前と戦わなきゃいけないんだ!」

「ええ?嫌なの?」

「疲れてんだ、後にしてくれ!」

「・・・・・」

「お前の事情などどうでもいい!さあ!来い!」


その男は、俺の言葉など聞いちゃいなかった。


そもそもなんでこんな事やんなきゃならないんだ。

っていったら、「ええいクドい!さっさと来い」と返されそうで、諦めるしか無いと(たか)(くく)って腹を括った。


仕方ない、やるか。あまり気乗りしないが。


正直この男とは戦いたくない。

なぜなら俺のモットーに反するからだ。俺は勝てる奴としか戦わない主義だ。


それにしても、最近よく化け物に遭遇するなあ…


「お前、リンゴクって名前らしいな」

「俺の名前は…」

「ああ、待て、言うな言うな、この俺に名前を覚えて欲しければ、この俺とイイコトする事だな」

「意地でもてめえに名前を覚えさせてやるよ」


心は休めることなく。


俺はヒバナを媒介して〝編集〟の力を行使し、自分の体重を増やした。

深く息を吐いた。

俺はゾーンに入る。


すべての景色が明細にかつ緩やかに見える。

俺は思いっきり剣を振るった。


アバラの力も借りた。

今の俺にできるに最大限の斬撃をイメージした。


隣国は抵抗もせずに、ただ己の肉体のみで俺の剣を受けた。

俺の全力は彼の肉体を切断することが出来なかった。


「ううん!!イイッ!善きかな善きかな」

「ただあ…それ故に少し残念だ」


(さて、そろそろ()きますかな?)


リンゴクが剣を構えた。


「いや、ちょっと待て、もう十分だろ?」

「覚悟の方は宜しいかな?」


駄目だコイツ聞いちゃいねえ。

ヤバいヤバイヤバイヤバイヤバイ。


最初は闘技場の真ん中ら辺にいたのに、どんどん端っこへと追いやられていいく。

しまいには俺は気絶した。


それでも善戦したほうだと思う。

なにせ相手は人類最強の男だ。


1秒ほど気を失っていたが、体中に電気が走ったような感覚がして、目がビカッとかっ(ぴら)いた。

全身を巡って、ソリューシが流れる。

ソリューシが〝循転〟する。ソリュージョン!

そして、覚醒への道へと到り。


俺は〝循転〟の真髄を見た。

こんなにも違うのか。

俺は、〝循転〟を軽く見ていた。

ずっと適当にやっていた。


きっかけ一つで十分だった。

俺は普通なら絶対に立ち直れない体制から、復帰した。

しっかり地面に両足で立つ。


もう、今までの俺じゃない。

今日で戦闘ド素人お終いだ。


「・・・・!」



リンゴクは何かを悟ったのか、笑みをころべた。


俺とリンゴクとの試合はさらに激化した。

俺はだんだんと楽しくなっていた。


「おいおい、まさか、その程度で満足しているのか?おい、弱えってのは罪なんだぜ?」


(もっと強くなれよ)


リンゴクは少しだけ、本気をだした。


「罪な男だ」


俺は闘技場の壁にふっ飛ばされた。

そのまま貫通して場外へと出る。



--



辺りは静まり返っていた。

誰もがこの戦いぶりに圧巻だった。


気をたしかにすると、俺はムガロとソーマにタンカーにようなもので運ばれていた。

ここはどこか、コロシアムの近くだ。


リンゴクが身の丈ほどの長い剣を肩に乗せ、俺達の前に立ちはだかった。


ハッ!


「起きたの?」


「ここは何処?私は誰?ひゃあっ!」


ムガロが俺の肩に触れる。


「ってなんだよ、お前らか、ビックリしたじゃねえか」

「・・・・・」

「寝起きのショウは乙女でショウ」

「うるせえ黙れ殺すぞソーマ」

「あなた、生死を彷徨った顔しているわ」

「そりゃあ、生死を彷徨ったからな」


「でも心配したよ、中々目を覚まさないもんだからさ」


「リンゴクが、あなたに推薦書を書いてくれるって、ショウ、良かったわね」

「え?ああ」

「もういい、自分で歩く」


俺はタンカーから降りた。


「驚いた、もう治ったのか、毎度まいど、龍人の身体能力には度肝を抜かれるなあ」

「あんたが言うのかよ」


「ああ、そうだ」


リンゴクが突然横に向いた。

それと同時に、肩に乗せていた剣も動く。

ムガロの後頭部にぶち当たった。

ムガロはそのまま膝から崩れ落ちた。


「ムガロおおおお!大丈夫か!」


俺とソーマが駆けつけるが、ムガロは当然のごとく気絶していた。

本日二人目のノックダウンだった。


「悪い、当たっちゃった☆」

「おい!気いつけろや!」


ムガロは俺が背負った。


「いやあスマン!我が不注意で、ああお恥ずかしお恥ずかし」

「穴があったら、入りたい!!!!」


「ああやかまし…」

「おいソーマ、どっか美味しい飯でも食べに行こうぜ!こうなったらやけ食いだ!」

「ごめん。実はショウ、リンゴクとの戦いでお前に全財産かけたから、今僕ら無一文なんだ」

「え?」


ソーマの愚行に文句を言いたい所であったが、負けたのは俺だから、何も言えなかった。


「どぅぬぅああっ!ふあは!ふあは!は!」


リンゴクが大爆笑した。


「帰ろうぜ」

「うん」


去り際に、リンゴクは俺を止めた。


「ちょっと待て、何か掴んだかよ」

「ああ…」

「そうか」


(それは良かった。)


「若き少年よ、強く在れ」


その言葉を皮切りに、俺はコロシアムを後にした。


俺達が去った後、リンゴクは独り呟いた。


「人類は英雄を欲している」

「彼が、その英雄にたる人材か」

「ふっ、ようやく、その時代が来そうだぞ、マクスウェルよ」


ソーマ達の方から声が聞こえてきた。


「あ…首の骨折れてる」

「え?」



Mugaro's neck was broken

ムガロの首が折れていた

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