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心世界  作者: rin極
第四章 ピラニア編
21/48

第21話 「5000マイル」



「君たちはどうしてあの島に?」


無人島の持ち主である年老いた男性が俺たちに尋ねる。


「船が沈んじゃって、運良くあの島に流れ着いたの」


ムガロが答える。

俺はただ黙って座るだけ。

今日の俺は役立たずと思ってもらって結構。


「へえ、ピラニアがいるのに、よく生き延びれたな」

「・・・・」


ムガロは老人には聞こえないように俺に話しかける。


『ねえ、どうする?』

『どうするって?』

『あのおじさんよ、素敵なあごひげ』

『え?』

『信用出来ない』

『今は様子を見るしかねえだろ?』

『そうね』


「あの、勝手に酒を飲んじゃって、ごめんなさい」

「ああ大丈夫大丈夫、気にしなくていいよ」

「あとできっちり代金を支払ってもらうからね」

「ええ・・・!?」


『やばいって、マジぱねえって』

『だな』

『どうする?私達に払えるものなんてこの私の魅惑のボディしか・・・』

『アホ』

『いいか?とにかく今は交渉するしか無い』


俺の言葉にムガロは頷き、老人と交渉を始めた。


「ええっとですね、私達、実は経済的に厳しい状況でして、とても支払えるとは・・・」

「ああ、なるほど、それなら、労働で支払ってもらおうか」

「そ、それは、困りますぅ」

「・・・・・」


俺とムガロは顔を見合わす。

この状況に、ムガロは冷や汗をかいていた。

俺は、別にどうもしない。

心底どうでも良かった。

どうせ、今回もなんとかなるだろうと無責任に思っている。


俺はこの時、ただ喋るのが面倒だった。

だからこんな状況でも何も言わない。


逆にムガロは、何かを言おうとしていたが中々言い出せないようだった。

結果、沈黙だけが答える。


それに痺れを切らしたのか、老人はイライラしていた。


「もおおおおお、いいいええええよ!」


「何か言えよ!!」

「黙ってちゃ何も分からねえだろ!」

「何か喋ったらどうだ!?」


ムガロがそれに応える。


「労働は嫌です!働きたくありません!」


ムガロの言葉に、老人はため息をつく。

俺は思わず笑いそうになったがなんとか堪える。


「ほう、労働は嫌かね」

「労働はいいぞ?ほどよい疲れと報酬までもたらしてくれるからな。くだらねえ妄想と悪事から離れられる」

「金は無理、労働も嫌、じゃあ小便くせえガキのお前らに、他に何が出来るってんだ!」

「せっかく俺等が高っけえ金払って苦労して手に入れた酒がどこの馬の骨かもわからねえ奴らに盗られたんだ!」

「おかげさまでこっちは大損害だ!この埋め合わせを、お前らにやってもらわなきゃ筋が通らねえ!」

「お前ら俺の酒で命拾いしたんだろ?じゃあそのお返しはしなきゃだよなあ!」

「うう…」


ムガロが泣き出した。


「泣くな!」

「泣いたって何も変わりゃしねえよ!」

「泣いて媚び売って許してもらおうなんざ、通らねえんだよそんなもんは!」

「チッ」


ムガロが舌打ちをうつ。

どうやら泣き真似だったようだ。


『演技は通用しないわね』

『みたいだな』


「返事はハイだ。それ以外許さん」

「え…」

「おおっと、待て、言ったはずだ」

「お前らに選択肢はないと」

「・・・・・」

「分かりました働きますので、どうかお許しを」

「よおし良いぞ、分かれば良いんだ」

「お前らにはきっちり働いてもらうからな」


俺たちは元気よく返事をした。


「「はい!よろしくお願いしますっ!」」



--



それから数時間後、港に到着した。

俺たちは船を降りた瞬間、逃亡を開始した。


「ついてるわ!ウェストポートよ!」

「てことはここがボストン市か!」


俺たちは元々、ノアの町のザン・ポートからここウェスト・ポートに行くためにオーロラ号に乗ったのだ。

つまりラッキー。


「待てえええええええ貴様らアアアア!!!!!!」


俺たちは複数人の大人たちに追いかけられている。

残念なことに、なかなか連携が取れている。

これは手強いぞ。


俺たちは路地を走り回った。

大通りに出ると、この国でのタクシー代わりである人力車にバイクをくっつけたような乗り物が通りかかる。


「へい!乗せてくれ!」


一言声をかけてから俺たちは走行中のタクシーに飛び乗った。

そして運転手はおっかなビックリ。


「うおお!危ねえぞ!」

「止まるまで待つだろ普通…!」


運転手がごもっともな意見を言う。


「そんなのいいから急いで!」

「行き先は?」

「カンダハル市」

「オーケイ了解」


グダグダしていると、追手がすぐそこまで来ていた。


「おお、やっべえぞ…」

「追手がすぐそこまで!」

「急いで!」

「何だお前ら、追われてんのか?」

「いいから!」

「ようし掴まれお前ら、ちいっとばかし飛ばすぜ」


運転手がそう呟いた瞬間、タクシーが急発進した。



--



2、3時間ほどが過ぎ、カンダハル市に入った。

もちろんしつこいストーカー共は地平線の向こうだ。


「よお、もうすぐだぜえ、こっから先はカンダハルだ」


ついさっきまでいたボストン市は、ライン鉄道があるカンダハル市の隣りにある。

闘技場があるローマ風の町並みのマルリンロンドンを抜けると、マケドニア町に入る。

因みに、ウェスト・ポートがあるのはバタフライ町だ。

言い忘れていたが、パナム王国では王都ラマと三大都市以外は市町村制を取っている。

ノアの町はパナム王国の中にあるが、ノアの町を含める5つの町は、王国の領土ではない。

統治しているのは教会であり、所領するのは弖ん醒様であるからだ。

イタリアの中にバチカン市国があるのと同じ様なものと考えれば想像しやすい事だろう。


そして、今いるカンダハル市は、石炭が多く取れる鉱山がある街だ。

フランクフルトに鉱山がありそこがカンダハル市で一番活気のある場所だ。

ライン鉄道が通っており、ジンギスカン駅から工業都市まで行ける。



運転手が突然大声を出す。


「ここがパナム王国の首都フランクフルト!なああんつってっ、たっはああ、はあ、はああっ!」

「はあ…悲しいかな、それはもう100年前の与太話に過ぎない」

「昔はカンダハルとボストンで栄えてたんだ」

「・・・・」

「ああ!!昔は良かったなああ!もっと賑わってたのになあ、今じゃすっかり寂れちまったなあ…」


運転手は目の前に広がる光景を、どことなく寂しそうに見ていた。


「なあお前ら、目的のカンダハルについたんだ、そろそろ降りるか?」


運転手の質問にムガロが答える。


「ええ、腰が痛くって今すぐ降りたいところだけど、ジンギスカンまで付き合ってもらうわ」

「ふうん、なるほどねえジンギスに用が…てことは、駅まで送ってやるよ」

「あら、気がきくのね、あなたの胸毛、とっても素敵だわ」

「ライン鉄道に乗りてえんだろ?」

「ええそうよ、胸毛だけじゃなくて眉毛も素敵ね」

「へへ、嬢ちゃん、煽てても運賃は安くならんよ」


ムガロの作戦は失敗に終わった。


どんどん目的地に近づいているのだが。

俺たちに残された問題は解消されていない。

そう、運賃を払う金がないのだ。


さあて、どうしたものか。

また逃げるしかねえのかな。


それから数十分ほど進み、カンダハル市ジンギスカン町に入った。

駅の近くは賑わっているようで、多くの店や屋台が集まっていた。


目的地に到着した。


さあて、ここからが勝負だ。

名付けて、便所大作戦。


「ようしついたぞ、金を払ってもらおうか」

「え、え〜と、その前にトイレに行かせてくれ、漏れそうなんだ」

「私もです、どうやら限界が近いようでして」


ムガロも加勢に入る。


「トイレぇ?」

「ええ、大きい方に用がありまして」

「行かなくていいよ」

「「え"っ!」」

「金、持ってないんだろ?」

「はい、恥ずかしながら、へへっ、文無しです」

「乗せたときから分かってたさ」

「・・・・・」

「おら、行け」

「金はいらねえ」

「あ、ありがとうございます」


優しい人で良かったああ。

俺とムガロはその場を後にしようとした。


「ちょっと待て」

「はい」

「お前ら、大変なんだろ?」

「まあ」

「食うのにも困ってんだろ?」

「ほら、やるよ、持ってけ」


運転手は俺たちに弁当をよこしてくれた。


「一つしかねえが、仲良く食べろ」

「おう、ありがてえ」


助かるよ本当に。

ムガロは不満そうな顔だが。



--



俺たちは、駅の中に入った。

駅の中は意外と広かった。


列車に乗る方法は一つだ。

まず、チケット売り場で乗車券を購入し、後は列車が来るのを待つだけ。


チケットの料金はムガロが出した。


「お前、どっからそんな金が…」

「持ってたの」

「あるんなら最初っから言えよ」

「忘れてたわ」

「てか、さっきのタクシー代も払えたじゃねえか」

「払わなくても良かったでしょ?」

「そりゃそうだけどさ」

「それに、手持ちは2万ポンドしか無かったから、あの時船代と運賃ケチって無かったら切符買えなかったし」

「そっか、じゃあ仕方ねえな」

「にしても師匠、もうちょっと俺たちに小遣いくれても良かったんじゃねえのか?」

「しょうがないでしょ?あの人そんなに裕福じゃないから」

「いや〜、でもよお、もうちょっとくれても良かったんじゃね?」

「文句言わない」

「あんた何様のつもり?」

「・・・・・」

「お子様ね」


因みに切符は8000ポンドだった。

料金は時期によって変動するらしい。

一年間の平均料金で一万ぐらいするので、今は比較的安い時期だ。


二人で1万6000ポンド、ムガロの所持金が二万ポンド。


ザン・ポートからウェスト・ポートまでの船代が二人で6000ポンド、そして、タクシー代が8000ポンドか、確かに真面目に払ってたら列車には乗れねえな。


ライン鉄道は、切符がないと列車に乗れないので俺たちは金を払わざるを得ない。

船とかと違って、警備がしっかりしてるからだ。

バレずに乗るのは少し難しいだろう。


もっと金に余裕があれば、こんなに苦労しなかったのになあ。

最初にパーっと使いすぎたせいか。


「なあムガロ、何でお前はそんなに…」

「学校なんかに行きてえんだ?俺は不思議でならねえ」「この世界は近い将来滅んじまうって話じゃねえか、こんな時によお、今更何を学ぶってんだ?」

「死ぬまでに一度でいいから魔法を使ってみたい、ただそれだけ」

「へえ〜、魔法の方に興味があるとは思わなかったよ」

「あらそう…」


ふむ、どうやら真っ赤な嘘という事ではないないらしい。

でもなあ、何かなあ、引っかかるんだよなあ。


『ヒバナ、お前はどう思う?』


《知るか、ほっとけ》


『ハッ』


おいおい、適当だなおい。


「・・・・・」


まあ、いっか。


それから俺たちは列車が来るのをただひたすら待った。

その間にお腹が空いたので弁当を食べることにした。


「お前は食べなくてもいいのか?」

「人間の飯は食わない」

「なんでだよ、うめえのに」

「だって美味しくないし」

「へえ、ゾンビだと、味覚まで腐っちまうのか」

「・・・・・」

「私の体、人の血と肉しか吸収しないの」

「ふ〜ん、そうなんだ」

「だからお腹空いたからさ、あなたのその腕ちょっと頂戴?」

「ヤだよ」

「てか俺、人間じゃねえから多分美味しくねえぞ?」

「そうね」


俺は食事をしながらムガロと話した。


「人間以外に食える物はあるのか?」

「あるよ」

「へ〜、それは例えばどんな?」

「りんごとか」

「りんご?」

「うん、あと飲み物はいける」

「それなら、スムージーとか飲んだら良いんじゃね?」

「最初に言ったでしょ?血と肉以外吸収しないって」

「ああそっか、それじゃあ意味ねえな」

「まあ、りんごは何故か吸収するみたいだけど」


弁当を食べ終わってからしばらくして、列車が到着した。

俺たちは列車に乗った。

行き先は工業都市リオネルだ。

リオネルについたらマーシャル鉄道経由で学校がある魔法都市ベレッタに行けるのだが、金が無いので徒歩で行くしか無い。

もしくはヒッチハイクか。

成功するとは思えんがね。


列車の入り口に作業員がいるので、その人に切符を見せると乗せてもらえる仕組みだ。

中は結構広く、しかも二階もあるらしい。


俺たちは普通の切符なので、満員電車みたいな感じのスペースにいなければならない。

ワンランク上のチケットを買えば、快適な個室もついてくる。

できればそっちの方が良かった。


移動時間は一日半ぐらいあるので、こんな人間箱詰めパックの中にいちゃ、ストレスでハゲてしまうかもしれない。


なので俺とムガロは個室を譲ってもらった。

どんな方法を使ったかは、あえて説明しないでおこう、俺自身もよく分かっていない。


個室と言っても、仕切りがあるだけで質素なものだ。

ハリーポッターとかに出てくる列車を想像すると分かりやすいかもしれない。


窓から景色を除けば、外国にいる気分を味わえる。

まあここ外国どころか別世界なんだけどね。


どこか地球の文明の面影があるように感じるので、今でも俺はたまーに思う。

ひょとしたら俺はまだ気付いてないだけで、元いた世界のちょっとファンタジーな世界観ってだけの外国にいるんじゃないかって。

考えてみればその可能性だってゼロじゃない。

ただ、知らないだけだ。


俺とムガロは向かい合って座った。

テーブルがないのでそこも不便なポイントだ。


頑張れば6人ぐらいは座れるかな。

一応、寝転がれるほどのスペースがあるので、睡眠にはさほど困りはしないだろう。


「良い報酬が手に入ったわ」

「ああ、6万ポンドぐらいだったっけか?」

「なあ、その金もそうだけど、どうやってこの個室を手に入れたんだ?」

「お前の言う通りにやってみたはいいけどよ、一体何がどうなってんだ?」

「秘密」


俺はムガロから貰った小遣いを握りしめ、車内を歩いてみた。

実はこの列車、車内に売店が3箇所設置されているらしく、それを目指してみた。

俺自身、売店に興味があったのもそうだし、ムガロからおつかいを頼まれているのもある。


売店に入ると、まずその独特の雰囲気に圧倒された。

俺の目に写ったのは、迷える羊の燻製肉、コカトリスの砂肝、妖精の剥製、トカゲの干物などだ。

変わったものばかり売られているようだ。


俺は便通が良くなるというナツメヤシを干した何かと、りんごを干してバラバラにしたようなやつを買った。

やたらと干物が多いように感じた。


金をぶつに交換した俺はさっさとずらかることにした。

自分の個室に戻ると、ムガロが爆睡していた。


まあ無理もない、昼間もずっと起きていたからな。


俺は窓から見える風景を観察しながら、ナツメヤシをつまむ。


何だか最近、俺は一日中ボーッとしているように感じる。

いつもより冷静で、頭も冴えているのに、何だか思考が鈍い気がする。

疲れが原因かもしれないが、どうもそれだけが原因というわけではない。

恐らくこれは、俺の精神状態に関係するのだろう。


それにしても、短い間に色んなことがあったな。

流石に疲れた。


そんなふうに考え込んでいたら、いつの間にか日が沈んでいた。

それから数十分ほどの時間が過ぎ、ムガロが目を覚ました。

彼女は目を覚ましてからしばらくの間、俺の顔を静かに見ていた。


「後どのくらい?」

「まだまだだよ、大体30時間ぐらいかな」

「そう」


ムガロはりんごのドライフルーツを少しずつ食べた。

美味しくなさそうに食べる彼女の姿を見ると、少し不憫に思う。


「・・・・・」


暫くの間、列車の騒音とムガロの咀嚼音だけがその場を支配した。


窓からは真っ暗で何も見えない。


「なあ、何でお前は陽の光に弱いんだ?」

「さあ」

「じゃあ、陽の光を浴びるとどうなるんだ?」

「眠くなる」

「それだけか?」

「あと日焼けする」

「日焼け?」


ムガロは袖をめくって自分の腕を見せた。

それは、日焼けというよりも火傷という方が相応しかった。

かなり痛そうだ。


それからムガロは自分の腕に包帯を巻いて応急処置をした。


「ねえ、あなたの力は生まれつきの物なの?」

「いや、貰いもんだぜ?」

「誰から貰ったの?」

「ヒバナからさ」

「・・・・・」

「へえ、そうなんだ」

「他に聞きたいことは無いのか?」

「ええ、もういいわ」

「本当にそれだけでいいのか?」

「うん」

「でもその代わり、あなたも私の事聞かないでね」

「ああ、分かったよ」

「あ…名字が分かったら私に教えて…?」

「何でだよ」

「知りたいから」


「まあ、良いけど?」

「ありがとう」

「でもなあムガロ、俺の名前は本名じゃないから多分意味ねえぞ?」

「じゃあ、本名が分かったら教えて…?」

「分かったら、な」


「ありがとう」

「なあ、お前にとってそんなに大事か?人の名前は」


その問いに、ムガロは答えなかった。



--



「ねえ、ショウはさ、何もかも終わってしまえばいいって、願った事はある?」

「私はそう願う夜がある」


「そうか、そりゃ大変だな」

「私達は、どこへ向かうべきだと思う?」

「ムガロ、そりゃ、どういう意味だ?」

「私、分からないの」

「何を支えにして、誰を信じればいいのか」


「何も分からないまま時は流れて、それで、これで満足?って」

「そんな物の為に私は!魂を差し出して!全てを犠牲にして!!」

「分からない!」

「いつだってそう、何も分からない!!」

「どうすればいいのかも!何をすべきなのかも!!」

「はあ〜うっせえな…」

「ゴチャゴチャうるせえんだよ!」

「まあ、取り敢えず落ち着こうぜ」

「ムガロ、てめえは何が言いてえ」

「・・・・・」


俺の質問に、ムガロは沈黙で答える。


「はあ…」

「お前の人生はいつも夜よな」

「・・・・・」


俺は少し考える。


「信仰と睡眠、どっちか選べ」

「え、何で?」

「何か凄えでけえ事考えてんだろ?」

「・・・・・」


俺は深呼吸をする。


「俺の肺は火ィ噴いてるよ」

「プライドなんてもはやない」

「俺の肌は叫ぶだろうよ」

「なんで?」

「思い出させるんだ」

「俺が夢の中で殺した奴らが」


「さて、ここに信仰と睡眠がある」

「そして、俺たちは選ばなければならない時が来た」

「なぜなら、信仰とは目を覚ます事だからだ!」

「考えるために目を覚ますんだ!」

「生きるために考えるんだ!」

「ムガロ、お前はどっちなんだ!!」

「何を選ぶ!」

「何を望む!」

「お前はこの先の未来に、何を願う!」

「・・・・・」

「分からない!」

「正直あなたの言ってる事の意味が分からないわ!」

「なあ、お前は誰を信じればいいのか、分からないんだろ!?」

「うん」

「それは、今までに一度だって、信じられるような奴が現れなかったからだろ?」

「そうだよ、こんな世界、こんな世の中じゃろくな奴はいねえ!」

「誰も信用ならねえよな!?誰もお前の事見やしねえよな!?」

「てめえが人間不信だってのは言うまでもねえ!」

「なあ、今お前の目の前にいる奴はどうだ!?」

「え?」

「そいつは今ここにいるんだ!」

「答えはもう出てんだよ!!」

「ムガロ、俺を信じろ!」


俺がそういった瞬間、ムガロが少し笑った。


「ふふっ、あははっ」

「バカなの?」


俺はムガロの顔を真剣に見つめる。


「本気・・?」


「なあムガロ、本当に、学校に行くつもりなのか?」

「・・・・・」

「うん」

「それはどうしても、か?」

「うん」

「そんなに行きたいのか?」

「・・・・・」

「迷ってんだろ?」

「・・・・・」

「…うん」

「本当の理由は何なんだ?」


「ごめん、それはどうしても言えないの」


ムガロは少し、悲しそうに言った。


「なあムガロ、これは提案なんだが…」

「何?」

「俺と一緒に逃げちゃわね?」


ムガロは驚いたような顔をして、俺を見る。

彼女は少し迷っていた。

そして、答えた。


「・・・・・」

「うん」


その一言で、全ては始まった。




My memoris you don't khow

あなたが知らない私の記憶

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