異世界人との邂逅の時が来ました。
「さあ行こう! 日が出ている内脱出だ」
『我をまたせておいてどの口がいっている』
「まあまあ。こう言う掛け声は冒険の始まりって感じがするじゃん」
『あまり調子に乗ると間違えて魔獣の群れの前に突き落とせば、さぞ面白いであろうな』
「じ、冗談だよね?」
『我の気分次第じゃあの』
「そう意地悪なこと言わないくださいよ」
『•••••はぁ。健二よ。いい加減、白々しい演技はせぬとも我は分かっておるぞ』
「うっ、すまん。なんだか余計な気遣いだったよな」
出会って間もないのにやり慣れた会話の受け流しを終えクロウの背に乗らせて貰う。
『準備はよいか?』
「いつでもどうぞ」
『では、出発する』
イヨマ大森林を抜ける為の獣道を走り出す。
「快適、快適〜」
『そうであろう』
クロウの走りは速度を抑え風圧による抵抗力が少なく涼しい向かい風が肌にすき通る。
段差を飛び超え、時折り木々を回避する際の動作が最小限の揺れですみ足腰の負担が軽減さらていると実感する。
クロウの走りが最高だなと穏やかで快適な乗り心地でだがしばらく『イヨマ大森林』の外へ向い走るのに違和感があった。
「気になったんだが、広大な森にいる割に魔獣と遭遇してないけど、何でだ?」
『我の魔力に当てられ怯えて出ないか、逃げ回ってあるであろうな』
「•••••、確かにクロウが言っているもの有り得そうだな」
『威厳が溢れる我のおかけ快適な旅路であると光栄に思え』
「ありがたや、ありがたや」
移動中で顔を見えないが声のトーンでなんとなく喜んでいるなと伝わてくる。
まあ。こちらとしても魔物に襲われずに済むのは個人的にありがたい。
それに数十年の間に生態系の変化で序列変わった魔物にいきなり弱肉強食の時代で最強クラスの存在が現れたと知れば本能で避けたがるのも頷ける。
このまま何事もなく森を抜けられたらいいな。
あ、なんかフラグぽっい台詞が思わず頭によぎり不安が現実にならないこと祈る。
『ゴオォ————ォ‼️』
「……っ!」
突如木々に反響する聞き覚えるある唸り声に思わずビクッと背筋が伸びクロウは急停止して周囲を警戒する。 いやいや、フラグ回収早過ぎだろう!
内心冷や汗が垂れらがすぐに方針は決まっていた。
『ふむ。どうやら、健二を襲った奴が向こう暴れてるの。そこに人の匂いが複数するのが•••••••』
「全速力で向かってくれ、頼む」
『•••••••ふっ。了解した。振り落とされるなよ』
感覚を研ぎ澄ませ状況を説明し行動を仰ぐ前にクロウの背にしがみつきと鼻を鳴らし臨界態勢に入る。
『ワウォ〜〜〜〜ン‼️』
「はぇ〜〜」
咆哮を合図に四肢に力を込め駆け出そうした瞬間、秒速で森を駆け抜け荒れ狂う風の壁に必死に堪えると獣道を抜けた先で魔獣が人を襲っていた。
「今助けに•••••••」
『ドゴォン‼️」
魔獣の側面へクロウが頭部からおもっきりぶつかり鈍い破壊音が響く。
その後衝突に少し遅れて衝撃が放たれ魔物が逆くの字でぶっ飛んで行く。
ビクビクと魔物が数本の木をへし折った先で横向きでノックダウンしていた。
『ふ、この程度か』
『•••••••••』
クロウが鼻を鳴らし相手が一瞬でダウンしたことに残念がる姿にあっけらかんとする。
「••••••はっ、いかんいかん! クロウ、負傷者をはこびたすのをてつだってくれ!」
『それをむりであろうな』
「え?」
『ごーーーーぉ』
『どうやら囲まれたようじゃあな』
状況が飲み込め無い中、周囲を見渡すと先程の魔獣が群れで現れる。
『ふっ、我を楽しませて見せろ』
クロウが四肢に力を込め溢れ出る蒼黒色の炎を纏い
体格差が苦としない魔獣の群れに挑む。
『ーーーー⁉️」
『あしらってくる』
柔軟な体の動きにより腕の振り下ろしや噛みちぎろうと言う殺意がこもった魔獣の動きを軽々と避ける。
時折りカウンターで蒼黒色の炎を集中させた前足で糸も容易く敵を薙ぎ払う。
(す、すげーっ)
圧倒的なまでに相手を蹂躙する光景はまるで舞台で華麗に舞う踊り子ような姿に思わず息をころし胸の鼓動が高鳴なり目が離せない。
『ヤツと比べると歯応えがないな』
『ゴォオ⁉️』
空中でくるりと体勢変えかかと落としの要領で尻尾で頭部を狙って強烈な一撃を放って失神させる。
『ゴオオォ——————っ‼️』
『少しは頭が回るようだが我には通じぬぞ』
攻撃直後の隙を狙った側面からの攻撃も相手を踏み台にして巧みに避けて相手の攻撃は、当たらずクロウの攻撃が一方的に戦いを有利に進める。
「い、今すぐに、にげろ? うぐぅ!」
「っ。すぐ手当をします」
クロウの戦いに意識してたら負傷者の1人の傷口が酷く倒れ込み失血が酷くこのまま放っておけば死ぬが向こう世界のアイテムでは致命傷の相手を即座に直す方法は無い。
くっ。どうして俺は大事な時に役立たずなんだ! せっかくチートじみたバックを持っているのに。俺は一体なにをやってるだよ!
不甲斐ない自分に嫌気して爪が食い込むと自分の体を覆う蒼白のオーラが自傷行為のキズを治癒する。
「っ! そうか! これならいける」
あの時自分が魔獣に襲われ吹き飛ばされたのに負傷した跡がないのが違和感だったが今ので納得した。
「必ず皆さんを治します! それまで生きてください」
魔獣の爪で項垂れる一人に触れバックの治癒性能を利用し相手の身をオーラで包み傷口が塞がり呼吸が安定したのを確認し次々と負傷者を治していく。
「ふぅ、これで一安心かな。そっちの方は••••••っ、マジかよ」
『これで終いよ」
『——————‼️』
尻尾ではたき落とし最後の魔獣は崩れる様に倒れ去った。
『終わったぞ。 ま、此奴ら相手では我の肩慣らしにもならかったがな」
「いやいや、強すぎるだろ」
魔獣の群れを下敷きしたクロウが頂点でツンと鼻を鳴らす姿は戦国の覇者がような威厳に唖然とする。
「お待ちください! まだ外は危険です」
「離して! みんなが戦っているのよ! 私も行かないと」
戦いが終局する頃後方に待機していた馬車から人が現れた。
「っ!」
「こ、これは一体」
「えーっと、 これはですね」
「っ、お嬢様ここは危険です。お下がりください」
「いや、貴方まで私を置いて先に逃げろっていうの、嫌よ」
一人は悲惨な光景に青ざめ、もう一人は絶句する様子に一歩間違えたらこちらに敵意が向けられややこしくなり冷や汗が垂れる。
ここは警戒心解く手段はあれしかない。
「と、とりあえずあの方達は無事ですから、一旦休憩とかしませんか?」
『••••••••はぃ?』
緊張感が高まる中でバック中からレジャーシートを取り出しティータイムの準備をする姿が予想外だったのか二人は首を傾げ何か話し合う様子に一抹の不安があった。




