序章
街頭がない夜道を車のライトの光が照らす田舎道に一面に広がる田園の中にポツンと一軒の小売店がありそこで働くのが冴木 健二。
学力・運動そこそこでゲームや読書が趣味の割といそうなタイプの人間である。 まあ、自分で言うのもあれだけど。
すまん。 話は変わるが、高校卒業を控えた十七才の俺はバイトで稼いだ金や地域住民から貰った多額の小遣いで資金も貯まり都会の大学に入るために上京する予定である。
•••••その筈だった。
「あ、あの? い、今なんて、言ったんですか?」
「あれ? 聞き取れなかったか? ならもう一度」
ゴホンと軽い咳払いして喉の調子を整え彼は再度こう言い放つ。
「僕の代わりに異世界に行ってみない?」
買い物を頼むようなノリでかたる相手は健二が働く小売店の店長。
刈り上げヘアーでフレームメガネが似合う知的でイケメン顔の三十代前半の男。
気さくで口上手な人でご婦人達に親しみまれ、自分もお世話になっていて尊敬している。
が、時折冗談もよく口にして飽きる時もあるが今後ばかりは限度が違う。
「え•••••っと。 今、異世界がどうとか言いましたか? 俺の聞き間違いですよね」
「うん。ちゃんと言ったぞ。今度はしっかり聞こえるように」
「もしかして変な物でも食べましたか?」
「うーん? そうだな•••••っ、消費期限の牛乳を飲むだり弁当とか食ったぐらいかな」
「それは体には余り良くですね。 ••••••って!そんな話じゃあないですよ!」
顎に手を当て視線を上に向け考える素振りを見せ、嫌味を見事にスルーする店長に思わず突っ込む。
「おおー、そうだったな。話を戻そう」
店長が一息入れて事の詳細を語る。
「とある理由でこっちにやってから来た僕は、向こうの世界になかった文明に感動してさ。余りにも居心地の良さに向こうに帰るのが面倒になったのよ。
けどね、向こう世界では今前代未聞の大危機が迫りつつあってそこで僕が見てきた人の中一番信頼をおける君にこの文明の凄さを広め危機的状況を変えて欲しんだよ」
そう。あっさりと身の上話をされてこっちとしては「はぁ••••」と置いてきぼりされてポカンとする。
「ど、どうしたんですか。今日の店長いつもにましで変ですよ」
手を合わせお頼みまれても未だ困惑するばかりで改めて話されても、結局意味不明である。
けど、店長が異世界人って突拍子もない話に今の店長が見せる誠実な言い方で良いのか分からない真剣な表情。思わずこの人が本当のこと言っているか気になっていく。
「店長が本当に異世界人なら魔法とか使えたりするのですか?」
恐る恐る聞くとニカッと笑顔をみせ軽くストレッチを始め意識を集中させ両手の平を表に向けの集中する様子に固唾を飲んで見守る。
「さあ、僕の魔法を見せあげよう」
「••••••っ⁉️」
店長の右手からサファイア色の炎が立ち登り、左手には紺碧色の水の球体が現れ目を見開き一歩足を引く。
「どうだい。ビックリしただろ」
「•••っ!は、はい」
「そう怯えなるよ健二。怪我をしないよう注意してるから近くで見なよ」
店長の忠告に固唾を飲みそおっと接近して手に近付くと炎から熱気が水は内部が渦巻き荒れる海底を見てるようである。
凄腕の手品師が見せるマジックとは明らかに違う次元の異質な現象に驚き以上の畏怖な感覚に固唾を飲んでいる。
「ふふーん♪ すごいだろ」
「そ、そうですね」
俺の顔を見て満足した店長が両手あった異質な物を宙に浮かせたのち指を鳴らした途端にスッと消えた。
「これで僕がこの世界の人ではないことは証明出来たね」
「•••••はい。分かりました。です」
「おいおい。急に畏まるなって寂しいじゃあないか。トホホ〜ン」
ビビってしまった俺の反応にどんよりと落ち込む。
そんなリアクションされたら怯えているがアホらしくなっていく。
テンションの落差に頬を掻くとシーンと静寂なった空気の中で店長のキリッとした表情を見せる。
「改めて君に是非とも異世界で店長をやってくれ」
再度、店長からの真面目な申し出。
流石に冗談に思えなく普段からお世話になっている者としては理由が気になった。
「なぜ俺を誘ったのですか?」
「うーん? ••••••僕が、みてきた中で健二が一番真面目で謙虚で優しい人だからかな」
腹の底を見透かし本質を見抜く視線。この人と関わったのはせいぜい二、三年程度の関係なのに信頼を寄せる店長。こちらとして戸惑いが隠せないので最後に一つ尋ねる。
「もし、それが理由なら別に俺なんかを誘わなくても、向こうの世界から来て戻ることも可能なのら店長自ら行けばいいのでは」
ありきたりな返しに「うーん」と気まずい顔を見せる
「そこはあれよ。僕が元の世界に戻ると色々と厄介事が増えてそれに対処するが疲れる」
「ふーん、••••••本音は」
「今の日常生活が大好きでねわざわざ向こうに帰るのが面倒なったから」
満面の笑みで正直に語る店長が話を続ける。
「まぁ、我ながら個人的な理由でだけども引き受けて欲しい。
健二なら成し遂げられるって信じているからさ」
この人はまた出鱈目な信頼するの一点張りにこの人とやり取りする内に俺の中で結論が出た。
「は•••••っ、仕方がないですね。分かりましたよ。その話引き受けます」
「おおー!健二なら了解してくれると信じていたよ」
俺の承諾にニカっと笑った店長が「ちょっと待ってろよ」と言い残しレジ裏の倉庫に向かう。
数分後。
ゴホォ、ゴホォと咳き込んでむせている店長が現れ手には大きく物体を持ってやって来た。
「すまん、すまん。倉庫の奥から引っ張り出するのに苦戦してね。さあ、これを受け取ってくれ」
店長から渡されたのは誇りを被った大きなバック。グレー色のチャックが一つで模様がないシンプルなデザインで中を覗く何も入っていない。
「え———っと。これ、ただのバックですよね」
「ああ。ぱっと見は、普通のバックだよ。ただ安心してくれ。コレさえあれば異世界に行ってもなんとかなる」
「だ、大丈夫•••って、楽観的すぎませすよ」
胸を張って自慢げに語る店長に一抹の不安が過ぎる。
(本当にこれ一つで異世界に行くとか、勢いに流されてそうなったけど、冷静に考えたら怪しい勧誘話じゃあないか。やっぱり断ろ)
「あの、やっぱりことはり••••••」
「それじゃあ健二。異世界ライフ楽しんでいきなよ」
声を遮るように突如現れた魔法陣の上に立たされた身動きが取れなくなっていた。
「ちょっ⁉️い、いきなり何するですか‼️」
緊張感て泡ふためく俺に「大丈夫だ」とグッと親指を上げる。
「お前ならきっと立派に文明の素晴らしさを伝えると信じているぞ」
店長の遺言に合わせて次第に魔法陣からの眩しい光線が体を飲み込み始め、
「達者でな健二」
満面の笑みで手を振る店長の姿にムカっとして文句の一つを言えることはなく光に飲み込まれたのであった。
ど素人の作家もどきですので生暖かい目で読んでいただけると私が嬉しいです。




