恭介サイド~文化祭名物、お化け屋敷~
恭介サイド
プラカードを持ちながら自身のクラスの宣伝も兼ね、校舎を練り歩いているのだが、歩けど歩けど一向にあの二人を見つける事が出来ない。
一体どこに行ったのやら……。各模擬店やまさかと思って実験室も覗いたのだけども見つける事が出来なかった。
「ねえねえ、恭介。もしかして……ここに行ってるじゃない?」
文化祭の案内図を持った咲が指差すの場所。そこは二年校舎棟の【お化け屋敷】の文字だった。
非常に考えずらい。遊園地の時もあのざまだったし、修に関しては夜の学校で足の骨を折っているぐらいだ。
いくらヌクモリティー全開の文化祭のお化け屋敷とはいえ、わざわざ沼地に飛び込むようなことはしないと思うのだが……。
「まあ一応見に行くか。もうそこ以外の模擬店は全部当たったしな」
入れ違いになっている可能性はあるが、ダメ元でも情報収集も兼ねて行ってみるとするか。
≪
「ん? 三年生と一年生のカップル?」
「もしかして少し前に来た方達じゃない? 男の子の方はよく思い出せないけど、胸が尋常じゃなく大きい先輩がいたのはしっかり覚えてるもん」
その先輩の特徴が全てです。修は見た目は良くも悪くも量産型高校生だから記憶に残らないのは仕方がない。てか本当にお化け屋敷に入ったのかよ……。苦手苦手と言いながら懲りないな二人だなぁ。嫌よ嫌よも好きのうちってか?
「あのぉ、何か変わった様子ありませんでしたか?」
「う~ん、最初は怖がっていた様子だったけど、出てきた時には何故か放心状態だったかな? 呼びかけても二人とも心ここにあらずって感じ?」
高校の文化祭に遊園地のお化け屋敷以上のクオリティがあるとは思えない。とはいえ、子供だましでも十分あのノミのハートは潰されるか……。
「ねえ、恭介、物は試しで入ってみない?」
「そうだな、どれくらいショックを受けたか推し量れるしな」
「は~い、新規二名様、入場で~す!」
それではいざ、実地調査と行きますか!
教室に入ると真っ暗な空間が広がっていた。光が漏れない工夫は完璧である。夜目がきいていない状況だと、正直全くといっていい程に先が見えない。
間隔が開いて足元に光があるが、どうやらこれが道順になっているようだ。たかが文化祭と侮っていたな。やりますね、先輩方。このクオリティーならば十分にあの二人を轟沈させられると思います。
「咲? 大丈夫か? ほれ、手を繋ぐか?」
「うん、ありがと……」
手を繋ごうと後ろに手を差し伸べた時だった。柔らかくて丸い、デケぇに触れた。
やっちまったぜ、まさかのラッキースケベ……否、違う。これは咲のデケぇの感触じゃない。視覚が閉ざされている分、触覚が普段よりも敏感になっている俺には分かる。
確かに丸くて柔らかくてデケぇんだが、妙な張りと指の沈み具合が異なる……。分かった。これ、ビーチボールだ。俺が本物のデケぇを触り間違える筈がない。
「ふぇ!? なにか顔に当たった? なんだろう、濡れたスポンジ……かな?」
どうやら咲にも仕掛けが仕向けられたようだ。安価な材料で思った以上の恐怖演出……。このお化け屋敷、結構マジで作られてるな。あの二人にとってはただただ惨状になっただろうに。
そのあともモップみたいなもので撫でられたり、扇風機で風を当てられたり、と多種多様なギミックが仕掛けられていた。
室内を真っ暗にしたおかげで仕掛け自体は子供だましなのだが、思いのほか臨場感があった。これならあの二人が放心状態になってもおかしくない。
それにしてもどうしてあの二人はわざわざ二人っきりの文化祭デートで茨の道をあえて進むんだ? 二人ともドM気質なのか?




