恭介サイド~あの唐変木に花を持たせよう~
恭介サイド
クレープ屋の前でいつもの天然ぶりを発揮して、三条先輩に制裁を受ける姿を確認した。
にしても、素人から見てもとても美しいフォームだった……。三条先輩、武術の心得あるんですか?
「何やってんだよ……あいつは。余計な事は言わずにそこは素直にパクっと一口食べればいいだけの話じゃねえか……」
「荻野君らしいといえばそうなんだけど……なんだろう、残念極まりないね」
燕尾服とメイド服を着た追尾班、俺こと恭介と愛する彼女、咲が現場からお届けしてるのだが、相も変わらず修の恋愛脳がお花畑なことに愕然としているところだ。
「心配になって後を付けてみたが……案の定だな。やっぱ俺達がフォローしてやらないと前に進むどころか、ムーンウォークで後ずさりしていきかねんぞ、あれ」
「はは……確かにあの調子じゃ先が思いやられるかも。ところで恭介? なんか二人がクレープ食べてるところ見てたらなんだか私もクレープ食べたくなっちゃった。ちょっと買いに行ってきてもいい?」
「ん、ああ、そうだな。確かに旨そうだしな」
甘い匂いに誘われて、スキップで咲がクレープを買いに行った。店員が俺のデケぇをチラチラ見ているのが気に食わないが、今はよそ見している場合ではない。修と三条先輩の行方を追わねば。
「俺は修を追いかける。咲は食べ終わってからでいいから後から追いかけてきてくれ」
「あ、待って? はい恭介、あ~ん♪」
「あ~ん♪ うん、咲に食べさせてもらうとどんなもの三倍は旨くなるな!」
「ふふ、それは大げさだよぉ。ここのクレープが美味しいからだよ。あ、口にホイップクリームついてるよ? はい、取れた、あむ♪」
俺の口の角に付いたホイップを指ですくあ、そのまま口に運んだ……。おいおい、俺の彼女最強に可愛くね? ちょっと照れた顔とかマジで天使なんですけど?
「君たちぃぃぃ!? それ以上周囲に砂糖をばら撒かれると、地面も空気も甘くなってクレープが売れなくなるのでとっととどっかに行って下さいませんかねぇ!? じゃないと営業妨害で生徒会に訴えますよぉぉお!? でも美味しいって言ってくれてありがとねぇぇ!!」
「「ご、ごめんなさいっ! どういたしましてぇ!!」」
俺達のイチャつきっぷりに、クレープ屋さんの店員さんがキレてしまった。血の涙を流してるのが見える……。どうらや彼は非リア充であったようだ。
なんか見せつけてしまって悪いことしたな……。
そんなこんなでクレープ屋でひと悶着起こしてしまったおかげで、見事に二人を見失ってしまうという初歩的なミスをやらかしてしまった。俺としたことが何たる不覚……。
「しまった……あのバカタレを見守っていないと、また得意の天然でアプローチをスルーしやがるに決まってる! もういい加減、あの二人にはくっついてもらわねえと困るんだよ。あいつが起こしたモヤモヤは何故か俺にクレームが回って来るからな!」
「……ご馳走さまでした! はぁ、美味しかった♪ それにしても修君って、本当に暖簾に腕押しを地で行く人だからねぇ……。あの遊園地のWデートから三条先輩との関係性全く変わってないもん」
クレープを食べ終え、ご満足な様子の咲。いいぞ、そのカロリーは血となり肉となりデケぇになるからな。
「ああ、だが今こそあの時の恩を返すチャンスだ! 咲、急いであの二人を探そう!」
修を探す為に颯爽と踵を返し、咲はメイド服のスカートを揺らした。今回、あの二人を是が非でもくっつけてやるんだ!
その為には俺達の力が必要不可欠だ。早く探さねば!! でもその前に……。
「執事喫茶やってまぁ~す! いかがっすかぁ~。癒しを求める淑女の皆様~♪」
「メイドカフェ絶賛営業中で~す♪ お待ちしております、ご主人様~♪」
プラカードを持って宣伝しておかねばならない。クラスの仕事もちゃんとやらないとな。




