ビバ、夏休み
ここ暫くずっとぐずついた天気が続いていたが、今日はからっとした夏らしい陽気が降り注いでいる。天気予報によるとこの先しばらく晴れ間が続くらしい。
そんな梅雨の終わりと同時に、期末テストも終わった。
プレッシャーから解放され、自然と身も心も解放感に満たされた気分になった。
テストの方は自分で言うのもなんだが、過去一で出来た。人生二度目のテストのアドはほぼ無かったが、あやかさんに勉強を見てもらった成果が十二分に発揮されたものとなった。
「来た……遂に夏が! 花火に、祭りにプールに……彼女と一緒に過ごす夏がっ! ふぉおぉぉ!!」
んでもって雄たけびというか、咆哮を発し、クラスで一番浮かれているのは恭介だ。ちなみに今、奴が述べたイベント達は、過去にみんな俺と一緒にこなした記憶がある。
一度目の人生はそれはそれで楽しかった思い出があるのだが、今回は味わえそうになさそうだ。そう考えると少し寂しいものがある。かといって彼女持ちの恭介にくっついてもみじめなだけだ。
とりまこの夏はボッチ確定か……。
いやいや! 俺だっていつかは彼女が出来るかもしれねえし!! 諦めたらそこでゲームセットだかんな! そう簡単に折れやしないよ? 見た目はともかく精神年齢はおっさんだからな。
「彼女とは順調そうでなによりだな」
「ああ! もう咲しか見えねえ! 咲LOVEだぜ!」
おうおう、あてつけがましく名前呼びか……。このリア充め、爆ぜてしまえ。にしても随分と仲を深めたみたいだな、こんにゃろう。
「羨ましい限りだぜ……はぁ~あ、彼女のいない俺はこの夏は勉強漬けかなぁ……」
「ん? 料サーの方は夏休みは活動しないのか? 俺はてっきりこの夏は三条先輩三昧と思っていたんだけど?」
「いやいや夏休みだぞ? 流石に毎日の活動は……え? 毎日は無いよな? 学校休みだし?」
この夏の入り口に立っているにも関わらず、急に寒気を感じたような気がした。
約二か月弱の休みを運動部でもあるまいし、毎日学校に来ないといけないなんて事は無いよな? ほら、三条先輩も受験を控えた夏な訳だしそんな余裕無いよね?
「俺に聞かずに三条先輩に直接聞けよ……。で、折角の夏休みだってのに勉強漬けってか……もしかして例の家庭教師か?」
「ああ。夏休みは特に集中して教えてもらう予定だ。泊りでの夏期講習なんてのもある」
「マジかよ……どこで人生間違えたんだ、あの修がガリ勉になっちまった……。泊まりでマンツーマンで勉強なんて俺には無理……。待て、一応確認だが、家庭教師の先生って男だよな?」
ただでさえ暑いのに至近距離に近づいてきた。非常にうざい。
「女性だよ、大学生の。離れろ、暑苦しい」
「おま……マジか……。女子大生のお姉さんと泊まりで夏期講習? どこまで自由奔放に我が道を突き進むんだよ……。それ、三条先輩知ってるのか?」
「いや? 知らせてないけど?」
逐一勉強の内容を報告するのもおかしな話だし、夏期講習なんて別段珍しくもないだろう。
「あ~、そう。俺は知らんからな。で、ちなみに……デケぇのか?」
「おまっ……」
相変わらずふざけた事を聞いてくるのだが、目がマジだった。こいつの頭の中は胸の事しか詰まってないのだろうか?
「普通だ普通。はいはい、じゃあ俺は明日から夏期講習で三日間は音信不通になるからな。まあ、彼女との用事が無い時は声をかけてくれ。そん時は仕方ないからに遊んでやるよ」
「何言ってんだ。それはそれ、これはこれだ。修とは丸一日ぶっ通しで遊ぶ予定も俺はしてるぞ? 修こそ勉強ばっかしてないで合わせてくれよ?」
こいつ……若くてもやっぱ恭介だな。思わずぐっときちまったじゃねえか。なんて友達思いな奴なんだ。今も昔もその辺りは変わってないな……。外観はかなり変わっちまうけど。
「はは、それはありがたい話だ。それじゃあ俺が息抜きしたい時は頼んだぜ? じゃあ、俺は先に帰るわ。佐川さんにもよろしくな。お互い、良い夏休みを」
拳と拳をぶつけた後、教室を後にした。




