wデート開幕
「あ、きょ、恭介君……お、おはよう……」
「や、やあ。佐川さん。おはよう、い、いい天気だね!」
見ている方が照れてしまいそうな初心な挨拶をしているのは、恭介と本日の主役である佐川咲さん。とりま、恭介が天気の話題を振ったので空を仰いでみたのだが、そこに広がるのは梅雨空の灰色の雲だった。
思わずツッコんでやりたかったのだが、先程から冷汗を全開で流しているので、からかうのはやめておこうと思う。
そんな生憎の空模様ではあるが、辛うじて雨は降らないとの予報でWデートの決行に至った。だが、空模様とは打って変わって待ち合わせ場所に並んで待つJK二人は眩しかった。
通行人は必ず二度見しているし、なんなら三度見している奴だっている。
なにせ巨乳JKがおめかしして並んでいるんだ、無理もない話である。それに二度見しているのは何も男性だけではない、女性も『嘘でしょ……何食べたらそんな風になるのよ……』的な目で見てる。
そんな佐川さんの服装はTシャツ姿にハーフパンツ。制服姿しか見たことがなかったので知らなかったが、私服はカジュアルかつ元気っ子路線のようである。
尚、ポーチを斜めがけした通称、パイスラッシュという大技を繰り出しており、見るなと言われても見てしまう業を背負っている。
それに対し、三条先輩は大人びたシャツ姿にロングスカート姿だった。あまりファッションの事には詳しくないが、ふわっとしたスカートでとてもよく似合ってる。
一見すると大人びていてJKには見えない。まあJDの領域ではあるが。そしてやはりデケぇ。突き上げられてるシャツの悲鳴が今にも聞こえてきそうだわ。
佐川さんは大きいが、三条先輩はデケぇなのだ。そりゃこんな二人が揃ってたら二度見、三度見されるわな。でも元気一杯な佐川さんとは対照的に、肌露出自体は控えめなところが三条先輩らしい。
「ふふ、来たわね、修」
「あれ? 三条先輩? 今日は後輩君とか貴方って呼ばないんですか?」
ファーストネーム呼びに戸惑ってると、小さく耳打ちしてきた。てか横からみた肉厚、半端じゃないんですけど?
「いい? このWデートの目的は恭介君と佐川さんをくっつけるのが目的よ? その為にも、まずはお互いが気軽に呼び合えるように仕向けるの。だ・か・ら、私のことも名前で呼びなさい。いいわね?」
なるほど、流石は恋のキューピッド。策士ですね。
そこまで細かに考えられていたとは。正直、三条先輩が佐川さんをお誘いする時点で不安しかなかったのですが、こうして見事に舞台をセッティングした以上、彼女の実力を認めるしかない。
それに比べて俺の実力なんて皆無に等しい。ならば今日は三条先輩に従って恭介を後押ししてやろうではないか。
「分かりました……。それではみくさん、そろそろ中には入りましょうか?」
「ひゃ、ひゃい! あ、で、でも、さんは要らない感じかな……はい、もう一度……」
「え? はい、それじゃあ失礼してみくって呼ばせていただきますね……。ほら、みく、恭介も佐川さんも待ってますから早くしましょう。どうしたんですか? みく? ねえ、みく? みく~?」
「やっぱ無理ぃ……普通にいつものように三条先輩っ呼んでぇ……」
名前を連呼したら顔を両手で覆い、しゃがみこんでしまった。
呼び捨てにしろと言ったり、先輩と呼べと言ったりややこしい。ほら見て? 恭介と佐川さんが不審者を見るような目つきでこっちを見てますよ?
……はっ!? さっきまでガッチガチだった二人が同じリアクションをとっているだと!? あんなに硬い挨拶しか出来てなかったのに、いつの間に距離が縮まっているじゃないか!?
そうか、このショートコントみたいなのも作戦のひとつだったのか……。そこまで考えられていたとは。おそるべし、デケぇ持ちの黒髪清楚JK!
「流石ですね、三条先輩っ!」
サムズアップを向けておいた。だが、当の本人は何故か顔を真っ赤にしながら、疑問符を頭上に浮かばせていたのが気にはなったが……。




