ジングルベール♪
時は流れ、あっという間にクリスマスイブがやってきた。
今俺の目の前には、所せましと豪華絢爛な料理が立食形式のテーブルに並べられ、BGMには音楽隊による生演奏が実施されている。
そんな漫画の貴族の社交場のような光景を目の当たりにして、足がすくんでいる人物が俺を含めて四人居る。
恭介とその彼女、佐川さん。それにあやかさんである。みんな普段とは違い、スーツやドレスコーデで挑み、精いっぱいのおしゃれをした格好で立ちすくんでいる。
そう、ここは三条家が主催のクリスマスパーティ会場。もちろん、ご実家開催である。
俺がダブルブッキングさせてしまった約束の打開案として、恭介は『三人じゃなくてもっと人数を増やせばいい。みんなで楽しむクリスマスパーティってことにしてしまえば、多少は角も丸くなるだろう』との案であった。故に第三者である恭介達を誘う事で炎上を押さえようという作戦だった。
もちろん内容をお伝えした時にふたりには怒られはしたが、辛うじて千切られるような惨状にはならなかった。それだけで十分だった。
ただ問題となったのは、もともとパーティ自体は俺の家で集まって実施する予定であったという所だ。流石に恭介カップルも入るとなると少々手狭となるなと考えていたところ、三条先輩がご自宅で開く事を提案してくれたのだ。
くれぐれも派手になり過ぎず、高校生らしいパーティにしようと話をしたのだが……案の定だった。皆に保険の為に一応ドレスコーデで行こうと伝えておいて良かった……。
「ふふ、今日は楽しんで行ってね」
そんな問題の主催者、ドレスアップされた三条先輩が現れた。
その身にまとわれた煌びやかな淡い青色のドレスは、美しさと気高さを兼ね備えた印象を受ける。そしていつもとは打って変わって肌の露出が多い。
特に胸部のはだけ具合なんて……。少し背伸びしてると感じたのは俺だけではない筈。
普段は肌色を出すことが少ない三条先輩なのだが、胸元の空いたドレスを着用しているとは。いやはやクリスマスの魔力ですな。
そして俺はいろいろと認識を改めなければならないようだ。今までずっとデケぇなんて比喩してきたが……はは、思わず笑っちゃったよ。
あれはそんな生易しいものじゃない。化物だ。
「化物か……」
隣で同じくドレスコーデをした恭介が呟いた。なんと今この瞬間、こいつの脳内とリンクしていたようだ。
「ふんっ!」
「おぽんっ!? くはっ……」
なんか生々しい声が聞こえたんだが……。な~んだ、佐川さんが恭介の脇腹に肘鉄をめり込ましただけか。てか、何気に佐川さんのデケぇも成長してるような——
「修君? 何処見てるのかなぁ?」
「後輩君? その目線はいただけないなぁ~?」
ひえっ……。
美少女&美女に詰め寄られた。三条先輩に関しては構えてる。やめましょう。そんなドレス姿になってまで力に頼るのは。
「いらっしゃいませ、皆さま。本日はごゆるりとお過ごしくださいませ」
鬼気迫る状況の中、助け船が出された。紳士を絵に書いたような立花さんが声をかけてくれたのだ。
尚、お隣には言葉が悪いが、二人のデケぇを更に超えたクソデケぇをお持ちのみさきさんもいる。口の端によだれらしきものを光らせて。
お料理、一緒に食べてもいいと思いますよ? このままじゃ絶対に余ると思いますから。




