友へ相談
「おいおい、なんて顔してやがるんだよ……まあ、入れよ」
結局、雪に蹴り飛ばされて悶絶していたタイムロスのおかげで、あやかさんを呼び止めることが叶わなかった。
そんな俺は虚無感に支配されながら、まさに迷える子羊がごとく、冬の街を彷徨い、気が付けば恭介の家のインターホンを押していた。
「すまない……」
誘われるがままに恭介の部屋に上がらせてもらった。
部屋に入るのは十数年ぶりではあるが、覚えているのは恭介はあまり物を置かないタイプの人間だということ。
シンプルな机に、これまたシンプルなベッドが置いてあるだけで、飾りっ気なんかは一切無い部屋。
の筈だったんだけど……。
今の恭介の部屋の壁には、無数の彼女との思い出の写真が散りばめられ、部屋の角には思い出の品がフィギアかのようにショーケースに入れられて飾られている。
ベッドには確実に彼女の趣味であろう、可愛らしいぬいぐるみが設置され、極めつけは女性用の部屋着が棚に詰まれていた。
お着換えセットも完備されてるとは……。なんだこのリア充な部屋は。ハートが可視化出来るぞ? ちょっと呼吸するのが難しくなってきたんだが?
「まあ座れよ。おい、あんまり見んなよ、恥ずかしいじゃねえか♪」
嬉しそうにまあ……。こちとら酸欠一歩手前だぞ?
「ふっ、だが……やはりここに来て正解だったようだ。恭介ならこの問題を解決してくれると信じていいよな?」
「そんなもん内容によるぞ? 俺は神様でもなんでもねえんだからよ」
そこは即答してくれよ……。
「実はだな……このクリスマスに手違いで三条先輩とあやかさんの約束をブッキングさせてしまったんだ。どうしたらいい? 俺的にはこうなったらいっそのこと、三人で仲良くクリスマスパーティでもしたらいいとは思ってるんだが……」
「おま……どうして日々を無頓着に過ごしてるのにそういう結果になるんだ?」
そんなこと言われましても……。三条先輩には圧をかけられて言わされた感が強いし、あやかさんに至ってはもう勝手な解釈で約束を取り付けられたんだよ?
俺が悪いのか? そしてこの件、どこかで聞いたような気が……。あ、親父の武勇伝だわ。
俺も親父同様クソ野郎という事は理解しました。
「はぁ……三人でクリスマスパーティなんかしたら、どんな修羅場が待ってると思う? 普段ならまだしも、聖なる夜だぞ? 下手したら……千切られるんじゃねえか?」
縮こまった。何がとは言わないが。
千切られるのは嫌だ。まだこいつは真の性能を発揮していないんだぞ?
「な、なんとかならねえのか? 頼む、恭介。リア充であるお前だけが頼りなんだ……」
「まあ、リア充であることは認めるが……。仕方ねえな、任せておけ。いい案がある」
流石は恭介殿! 今も昔も頼れる存在! あざっす! 圧倒的あざっす!! 感謝ッ!!
この時、目の前の問題が解決したと完全に浮かれ倒していたが、俺は未だかつてない波乱が巻き起こる事を微塵も感じていなかった。




