第8話 お肉と今後と・・・
お久しぶりです!花粉症やら予防接種やらウマ娘やらでどたばたしておりました・・・(おい後者ぁ!)
第8話、楽しんで読んでいただけたら幸いです!
それからしばらくして、私とその子は少し進んで安全な場所で再度話し合った。
「あの、助けていただき、ありがとうございました。私はアルフィナっていいます」
泣き止んでもまだ目元を腫らして赤い少女・アルフィナがまた私にお礼をいってくれた。
「うん、どういたしましてアルフィナちゃん!私はリンっていうの。よろしくね♪」
名乗られたのならばこちらも名乗り返さなければならない。
アルフィナの頭をよすよすと撫でながら、背を合わせるようにして私も自己紹介をした。
「アルフィナちゃんはいくつなのかな?見た感じ12歳くらい?」
「・・・私、15歳ですよ」
「えっ!?・・・その、ごめんね?」
「いいですよ、言われ慣れてますので」
そこそこ背が低めだから12歳くらいだと思ったんだけど、私の2歳下だったとは・・・
なんか悪いこと聞いちゃったかな。
これは少し反省、と思っていると
グウゥゥゥゥ〜
アルフィナのお腹から大きな音が響いてきた。
「あ、その・・・ごめんなさい」
「・・・とりあえず、ご飯にしよっか」
少し恥ずかしげな顔をするアルフィナの顔を横目に、私はそう提案したのであった。
「さて、まずは下ごしらえからで、え〜っと・・・あ、あった」
メニュー画面の武器インベントリから、最高級包丁という武器を選択して出現させる。
包丁系武器は、一応武器扱いだけどほとんど攻撃力はない。しかし、これらを装備して料理を行うことで、自分の作った料理にある程度の補正をかけることができる。具体的には食べたら攻撃力や防御力の一時的な増加などである。
この包丁系武器の中でもランクが高いものほど、料理にかかる補正はより高くなる。料理にかかる補正は作った人の器用さや料理スキルの熟練度、そして使用している料理道具のランクで決められる。何に補正がかかるかはどんな料理を作ったかによるが。
そんな包丁系武器の中でも、この最高級包丁のランクは上から2番目くらいの高さである。一番上は究極包丁と言われる武器であるが、あれは料理スキルを取ってる人の中でも、料理ガチ勢の方達くらいしか持っていない。
話を戻すと、最高級包丁と料理スキルをセットし、目の前に大森林で狩って収納しておいたブラックウルフを取り出す。
「わわっ、いきなり目の前に・・・!」
いきなり目の前に出てきたブラックウルフの死体にアルフィナが驚くが、私は包丁片手にブラックウルフの前にしゃがみこんだ。
「えっと、まずは内臓を傷つけないようにお腹をゆっくり割いていって・・・」
サラハ村の人たちがやっていた方法を思い出しながらブラックウルフを捌いていく。
まずは内臓を傷つけないように腹を捌いて内臓を取り出し、全て取り終えたら今度は骨や肉を解体していく。
「あっ、血抜きとかした方がよかったかな?・・・ま、いっか」
後から気づいて血抜きも行なったが、これって最初にやっとくべきだったと反省しつつ、どんどん解体していく。
そして数十分後
「ふぅ〜・・・やっとできたぁ〜」
目の前には皮・骨・肉に分けられたブラックウルフ1匹があり、皮と骨は再びアイテムボックスへと収納した。
「サラハ村の人たちがやっていたのを見よう見まねでやったんだけど、案外うまく行くものなのね・・・これもステータスのおかげなのかな?」
関係するとしたら恐らくは器用さのステータスであるが、今だに確信はもてない。
「そもそも、包丁で解体できるのかってなったけど・・・細かいことは追求しない方がいいわね」
解体し終えて取り出した肉のブロックを今度は一口大に切っていく。
切り終えたら、今度はアイテム欄から肉焼き用の串を取り出して突き刺していき、事前に焚いておいた焚き火の近くに設置しておく!
肉がジュワっと焼けるような香ばしい匂いが辺りに漂い、思わず涎が出そうになる。
「・・・・・・」
アルフィナちゃんは目をキラキラさせて涎が口元から垂れそうになっている。
「さてと、もうそろそろ食べごろかな〜?」
お肉の串を2本取り出して、片方をアルフィナちゃんに手渡す。
肉汁がポトポトとこぼれ落ちる風景にゴクリと喉の奥が鳴った。
「では、いっただっきま〜す!はむっ」
口に含んだ瞬間、芳醇な肉の香りと旨味が爆発するかのように口いっぱいに広がり、レアな感じで焼いたためかしっかりと肉本来の噛み応えが感じられるが、そこまで硬くはなくむしろ柔らかい。
結論をいうと、めっっっっっちゃ美味い!
「うんまっ!何これ!」
私が感動を覚えながらふとアルフィナちゃんの方を見てみると
「・・・・・・」
肉を一口食べたアルフィナちゃんが、目から一筋の涙を流して呆然としていた。
「えぇっ!?どうしたの!口に合わなかったかな!?」
自分と味覚が合わなかったのかな、と少し不安に思っていたが
「はむっ!はふっ!!んむっ!!!」
アルフィナちゃんがものすごい勢いで串焼き肉を食べ始めて、すぐに1本なくなってしまった。
「ひっぐ、うえぇん・・・」
「ど、どうしたの?」
いきなり声を上げて泣き出したアルフィナちゃんに駆け寄り、背中をさすった。
「ごめんなさいっ、こんな美味しいの、生まれて初めて、で・・・!」
生まれて初めてこんな美味しいのを食べた、とアルフィナちゃんは泣きながら告げる。
その言葉を聞いて、こんなに小さな子が一体今までどんな地獄な生活を虐げられてきたのかを再確認することになった。
「焦らないでいいよ、まだお肉はいっぱいあるから、ゆっくり食べよ。ね?」
「うんっ・・・うんっ・・・!」
私の言葉にようやく落ち着きを取り戻したのを確認して、追加で一本、アルフィナちゃんに手渡した。
彼女は今度はゆっくりと、味わうかのように咀嚼し、美味しそうな笑みを浮かべて肉を平らげて行く。
「ほら、今度はこういうのもどうかな?」
アイテム欄から瓶に入った胡椒を取り出し、瓶のキャップを回すことで削られた胡椒の粉が肉に降りかかる。
「はい、どうぞ!」
「いただきますっ!・・・〜〜〜〜〜〜っ!!!?」
胡椒を振りかけたお肉をアルフィナちゃんが口にした結果、彼女はあまりの美味しさに感動してしまっているようだった。
「じゃあ私も・・・うわうっっっっまっ!!!」
先ほどの肉の旨味にプラスして、胡椒の程よいスパイスがアクセントになり、肉の旨味と同時に甘みも引き立たせている。控えめに言って絶品だ。
そんなこんなで二人でモリモリと肉を食べていき、気づけばブラックウルフ1匹分のお肉を平らげていたのであった。
「すー・・・すー・・・」
お腹も腹一杯に満たされて眠たくなったのか、アルフィナちゃんは私の太ももを枕にして眠ってしまった。
そんな彼女の頭を撫でながら、私は先ほどまでの情報を整理していた。
「さてと、やっぱりマッドネスタイガーの仕業だったのね・・・」
サラハ村で起こった魔物襲撃事件、あんなことが起こるとすればマッドネスタイガーが出現したとしか思えなかった。しかし、マッドネスタイガーは極めて出現率が低い。そうそうないと思っていたが、こうも予想が的中してしまうとは思ってもいなかった。
ブラッディグリズリーと遭遇した時に見えたあの異常なまでの凶暴性と怒りも恐らくマッドネスタイガーによるものだろう。
「でもこうやってマッドネスタイガーの素材を入手できたのは幸運というべきかなんというか・・・」
しかしそのマッドネスタイガーは少なくとも人間二人を殺している。その殺された二人は奴隷商であり人間としては大嫌いな分類ではあるが、やはり素直に喜べない。
そんな物憂げな気持ちから気分転換しようと、私は今後の行動を再確認することにした。
今から向かうのはこの道を真っ直ぐに進んだ先にある国、その名もベルセレーナ王国。
情報によると、あらゆる物品の物流の拠点国のようであり、そのおかげで様々な文化が入り混じっているのが特徴であるという。
行き方はどうしようか。【稲妻光】を使用すればかなり早く着けるのだが、もしアルフィナちゃんを抱っこして駆け抜けても、彼女がそのスピードに耐えれるか怪しい。
だとすると、このまま歩いて行くしかない訳だ。歩けば大体1週間かからないくらいで着くはず。
「まったく、前途多難ね」
そう言いながらも、自分の口角が上がっていることに気づき、やっぱり自分はこの世界を見て回ることを密やかに楽しんでるんだなと、そう感じた。
自身の膝上を枕にして寝ている少女の頭を優しく撫でながら、リンはまだ見ぬ世界にワクワクが止まらなかったのであった。
花粉症って辛いよね・・・涙と鼻水が延々とエンドレスで出てくるんだぜ・・・
「続きが読みたい!」
「面白い!」
と感じた方は、ブックマークや☆評価、いいね!を押していただけると嬉しい限りです!
感想や誤字脱字の方も受け付けてますので、気軽に書いていただいてもこちらとしてはとても嬉しいです!