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第3話 vs ブラックウルフの群れ

戦闘パートって、書くの難しいですね・・・


 魔剣ネフリティスを構えた私と、私を取り囲むブラックウルフの戦い。

横目でちらりと見ると、ブラックウルフに襲われていた男の人たちは皆後方へと引いて、止血をしながら遠くで私のことを心配そうに見ている。


 さてとブラックウルフ達のレベルを再度確認する。

 ブラックウルフの群れの平均レベルは大体65くらい。そしてさっき襲われていた男の人たちのレベルは大体13レベル前後であった。

 きっと、さっきまでブラックウルフは村の人たちを嬲る感覚で手加減し、弄んでいたのだろう。その気になればブラックウルフ達は村人を瞬殺できるはずだから。


 息を吐いて私は魔剣の柄をゆっくりと握りしめる。


 その瞬間、1匹のブラックウルフが私に向かって勢いよく飛びついてきた!

隠れて見ていた男の人たちはその光景を見て悲鳴を上げる。男の人たちと一緒にいるギウスさんも同じく悲鳴を上げている。



 しかし、そんな中でも私は冷静であった。


「遅いわよ」


 ブラックウルフの飛びつきを体を横にずらすだけで回避する。そして、すれ違いざまに剣を振り抜いた。



ゴロン・・・



 私を襲おうとして飛びついてきたブラックウルフは、私の横を通り抜けると首から上が胴体から転げ落ちて絶命した。









「お主たち無事か!?」


 儂は襲われていた者たちに声を掛けて、後方へと移動させた。


「ぐっ・・・!俺は大丈夫だけど、さっきの女の子が!」


 そう叫んだのは、一番最初にブラックウルフに飛びつかれた青年・マルスであった。

 マルスの言葉を聞いて私は急いでお嬢さんの方へと視線を向ける。

 しかし、そこに見えたのは絶望的な状況であった。

 20を超えるブラックウルフに取り囲まれて、お嬢さんは孤立無援な状態だったのだ。


 無理じゃ、今すぐそこから逃げなさい!そう言葉をかけようとした時、ついにブラックウルフの1体がお嬢さんに向かって飛びかかった。


「お嬢さん!!!」


 儂は思わず声を荒げて叫ぶ。同じく村の男どもも悲鳴を上げて、これから起こるであろう最悪の光景を予測してしまう。


 しかし、その結果は我々が予想していたものとは全く違うものであった。


「・・・・・・・・・・は?」


 儂の後ろにいた者がその光景を見て素っ頓狂な声を上げて呆然とした。おそらく儂も同じような状態だろう。


 お嬢さんは体を少し横にそらすだけでブラックウルフの攻撃を回避したのだ。しかし、儂らが驚いているのはそこだけではない。なんと、飛びついたブラックウルフが地面に着地したと同時に、その首と胴体が切断されて頭が地面に転がったのであった。


 儂はあわててお嬢さんの方に視線を向ける。彼女はまるで何事もなかったかのように剣をまた構えていた。


 儂は混乱した。一体何が起こったのじゃ?一体彼女はいつの間に斬ったのじゃ?いやそれよりも、何故あんな手強い魔物を一撃で倒せるのじゃ、何故倒してもあんなに平静さを保てるのじゃ!


 儂は色々と考え、混乱をしながらも彼女から目を離せなかった。


 すると、ブラックウルフ共が仲間を殺された怒りか、今度は仲間と一斉に飛びかかり始めたのだ。


 再度村の男たちから沸き上がる悲鳴、今度こそもう駄目だろう。そう思った瞬間、彼女が何かを呟いたような気がした。そして次の瞬間


バシュゥゥゥゥゥンッ!!!!


 雷鳴が響くかのような音とともに、彼女を中心として碧色の閃光が走った。








「ふぅー・・・」


 私はブラックウルフ達が一斉に飛びかかってくるのを察知して、とあるものを発動させた。


「・・・【碧閃(へきせん)】!」


 そう呟いた瞬間、私の体は碧雷を纏って高速移動をし、飛びかかってきたブラックウルフ達の首を全て斬り抜いた。動き始めてから全て斬り終えるまで、1秒もかかっていないだろう。


 私が剣を鞘に戻すと、その瞬間にブラックウルフの首が空中で一斉に切断される。首は支えるものを失って地面へと墜落し、首を失った胴体は飛びつきの姿勢のままその勢いのまますっ飛んで行った。


「うん、OA(オリジナルアーツ)の発動も問題なさそうだね。」




 私が発動させたのは、OA(オリジナルアーツ)と呼ばれる、MAOの中でも特に人気だった機能であった。

 OAとは、所持している魔法武器の性能や設定・自身のステータス・所有するスキル・PS(プレイヤースキル)など、様々な要素を利用して自分オリジナルの技を生み出し、それを戦闘系のスキルとして登録して戦えるという機能であった。登録して、ゲーム内の高性能AIが問題なしと判断すれば自由に使用できるのである。


 その中でも、私が使用したのは、魔剣の碧雷を腕と足に纏い、身体強化のスキル、高い敏捷(びんしょう)のパラメーター、今まで培ってきたPSを利用して高速移動をしながら敵を斬り捨てるという技である。


 これを使用した時、私の視点から見ると相手の動きがゆっくりに見えるのである。

 何故AIがこんなチートレベルの技を許してくれたのか今だに不明だが、使い勝手がいいのでよく使用している。

ちなみにだが、私は他にも様々なOAを登録して所持している。




「・・・まだやる?」


 飛びつきに参加せずに生き残った3匹のブラックウルフに目を向ける。


「がうっ!がうあうっ!!」


 ブラックウルフ達は、流石に勝てないと悟ったか、尻尾を巻いて逃げるように村から出て行った。






「はぁ・・・終わりましたよ!みなさん!」


 ブラックウルフが村から出て行ったのを目で確認した後、私はギウスさん達がいる方を向いた。

 だが、ギウスさんとその後ろにいる男の人たちはみなポカーンとしたような表情でこちらを見ていたのだった。


「あの、終わりましたよ?」


「はっ!?いかんいかん・・・ってお嬢さん大丈夫なのかい!怪我はないかい!」


 私が声をかけると、ギウスさんは正気に戻ったように首を振り、私を見るなり私の肩を掴んでグラグラと揺らしてくる。


「大丈夫ですよ、かすり傷ひとつついてませんから」


「そ、そうかい・・・」


 ギウスさんは安心したような顔をする。ふとギウスさんの後ろを見ると、さっきまでブラックウルフに襲われて身体中から血を流している村の男性が目に入る。


「あの、よければこれ使ってください」


 正直、あまりにも痛々しい見た目だったので、メニューのアイテムボックスから、回復ポーションを取り出して怪我をしていた男性に渡す。


「え、いいのか?ポーションって貴重だろ?」


「いいんですよ、私は大丈夫ですから!」


 というよりも、それくらいの回復ポーションなら腐るほど持ってるんだけど、と内心思っている。

他の人たちのも同じポーションを配っておいた。


「そ、そうかい?ならありがたく使わせてもらうが・・・・・・っておおい!なんじゃこりゃ!?」


 さっき私に聞いてきた男性から驚愕の声が聞こえてきて、思わず目を向けると、ブラックウルフに引っ掻かれてできた深い裂傷と鋭い牙で深くやられた咬傷がみるみるうちに修復されていき、跡形もなく完治してしまっている様子であった。


「へー、ポーションって飲むんじゃなくて傷口にかけて使うのね。ゲームだとビンの蓋を開けると勝手に使用されるシステムだったから全然知らなかった・・・」


 新しい発見だと一人で納得していると、傷口が完治した男性が私に詰め寄ってきた。


「い、一体何を使ったんだ!?」


「何って、普通の回復ポーションですけど?」


「嘘だろ!いくら回復ポーションでもあんな深い傷を跡形も治せるわけあるか!せいぜい少し痛みが引いて傷口も多少マシになるくらいだろ!」


「え、そうなの?」


 この世界のポーションの基準はよく分からないけど、一応私が配ったのは『回復ポーション(大)』であり、使用すると最大体力の60%を回復するという消耗品の回復アイテムだ。




 回復ポーションには、劣・小・中・大・特・極、の6つのレベルがある。

 回復量もそれぞれ最大HPの10、20、40、60、80、100%と異なり、劣が最も効果が薄く、極が最も効果が高い。


 私が配った『回復ポーション(大)』は最大HPの6割を回復するものであるが、目の前の男性の話を察するに、この世界の回復ポーションは劣か小あたりが普通なのだろう。


「でも、治ったんですよね?」


「確かに、治ったのは治ったが・・・」


「ならそれでいいじゃないですか。どんなものであろうと、結果良ければ全て良しです!」


「む、むぅ、確かにそうかもしれんが・・・そういうもんなのか?」


「そういうものです」


「そ、そうか。そういうものか・・・」


 よし、誤魔化し通せた。ミッション完了!って何のミッションやねん、と一人で心の中でノリツッコミをしてみる。

 他の人たちも回復ポーションの効果に驚きながらも、傷が治ったことに喜んでいるようだった。


「とりあえずお嬢さん、みんなを助けてくれてありがとうな!」


 さっき私に詰め寄ってきていた男の人が気を立て直したのか、私に話しかけてきた。

 もうポーション云々(うんぬん)のことは気にしてないようだ。


「どういたしまして。それと、私の名前はリンって言います」


「おっとそれは失礼した。俺はヘインツっていうんだ。ありがとな、リンさん。」


 私に頭を下げてきた男の人もとい、ヘインツさん。そういえば、村の危機にも真っ先に子供や女性を率先し、魔物と時間を稼ごうと奮い立たせていたのもこの人だった気がする。

 話していても分かる通り、責任感が強くて村の人からも信頼されている人なんだなと伝わってくる。


 ゲームが現実になってしまって初めての戦闘だったけど、誰一人死なずにこの人達を守れてよかったと私は心の底から安心して微笑んだ。



「いえいえ、私は自分にできることをしたまでですから!」




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