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あなたのお助けキャラは断固拒否します!  作者: 朝比奈 呈
本編
73/84

73話・父親としては複雑な思いです


 乞う瞳から目を離さずに言い切ったマリーザを、シルヴィオが立ち上がり抱きしめる。


「良かった……。もし、この手を取ってもらえなかったらどうしようかと思った。ドキドキしたよ」

「ヴィオでも不安になることがあるのね?」

「勿論だよ」


 シルヴィオの背におずおずと、マリーザが手を伸ばしかけた所に入室してきた人達がいた。


「おめでとう。マリー。やっぱりわたしの言ったとおりになったじゃない? ライ」

「そうだね。オル」


 パチパチと拍手が起こり何事かと思えば、手を叩いて喜ぶ母がいた。その隣で父のミラジェン子爵は複雑そうな顔をしていた。


「彼が罪人の殺害容疑をかけられた時も、絶対違うと言い張ってその証拠をかき集めたくらい、シルヴィオ君にマリーはゾッコンなのよね?」

「お母さま。ゾッコンだなんて……、内緒だって言ったのに……」

「あら。ごめんなさい。でも、二人とも両思いだって分かったのだからいいじゃない」


 オルソラはあっけらかんとして言う。いくら気持ちが通じ合っているからと言っても、父親の前でそれを明かさないで欲しかった。同性の母親には気軽に相談できたことでも、異性の父に知られるのは気まずすぎる。父を窺うと浮かない顔をしていた。


「婚約したからと言っても、すぐにマリーがお嫁に行くわけではないのよ。それに彼が婿に来てくれるんだから……」

「ヴィオが婿に来てくれるの?」

「そうよ。彼ね、我が家に来月から婿修行に来てくれることになっているわ」


 目を見張るマリーザを前にして、シルヴィオはミラジェン子爵夫妻に頭を下げた。いつの間にかマリーザの外堀は埋められていたらしい。シルヴィオの行動力には脱帽だ。それでも好きな相手に求婚されて悪い気はしなかった。


「宜しくお願いします。ミラジェン子爵。ミラジェン夫人」

「宜しくね、ほら、あなたも」

「あ、あ……うん」

「何よ、もう、煮え切らない態度ね」


 ミラジェン子爵は煮え切らない態度で、隣にいる夫人は、元公爵令嬢に相応しくない態度で夫の背中を力任せに叩いた。


「痛て……!」

「ほら、シャキンとする」

「分かったよ。宜しく、シルヴィオ君」


 ミラジェン子爵が手を差し出して来て、シルヴィオと固く握手を交わし合った。数日後、マリーザとシルヴィオは正式な書面を交わし婚約者となった。



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