57話・その後のシルヴィオ
プレシオザ国から遠い空の下。
シルヴィオは、修道士の格好をして修道院にいた。彼の世話を焼くのは、ボードと言う名の気さくな三十過ぎの修道士。あのクリスマスの晩に、サンタ達に守られるようにしてシルヴィオは、この修道院にやって来た。赤いサンタクロースは高笑いをして、馬車を引くトナカイに鞭をくれて去って行ったが、残された黒いサンタ達が、この男子修道院に入るなり修道服に着替えて、シルヴィオを歓迎してくれたのには驚いた。
「ハッハッハ。驚いただろう? やつらは黒い修道士なんだ」
「黒い修道士?」
「悪い奴らに密かに裁きを下すのさ」
「裁き?」
「まあ、隠れた正義の味方ってやつ?」
ミサが終わって大聖堂で食事を摂っているシルヴィオに、ボードが説明する。
「坊主もさ、理想だけでは生きていけないって事さ。きみなら分かるだろう?」
現実はそう甘くない。聖人なら霞を食べて生きていけるかも知れないが、自分達は人間で衣食住にはお金がいる。その為にこの修道院では、間諜の仕事も請け負っているということなのか?
「裏ではそういう仕事を請け負っているということですか?」
「まあね。軽蔑するかい?」
「いいえ。私はそうは思いません。驚きましたけど」
ここの修道士達は、四十名ほど暮らしている。早朝、神に朝の祈りを捧げて黙想し、ミサの後で食事を摂る。その後で、各々仕事に入るが、黒い修道士達は、その時間で体を鍛えたり、武芸を磨いているらしい。
「この後でアントン修道院長からきみに話があるらしい。食事が終わったら修道院長室に来て欲しいってさ」
「分かりました」
「じゃ、また後でな」
先に食事を済ませたボードは行ってしまい、シルヴィオは食事を済ませると修道院長の元へと急いだ。
「シルヴィオ君。ここでの暮らしには慣れてきたかな?」
「修道院長。色々とありがとうございます」
「すぐにはきみを、プレシオザ国に帰してあげられないことは申し訳ないと思っている」
「いえ。匿って頂き感謝しております。修道院長さまはノア君とご親戚なのですか?」




