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あなたのお助けキャラは断固拒否します!  作者: 朝比奈 呈
本編
50/84

50話(閑話)・黒のサンタクロース


 サンタクロースは、高笑いをその場に残して馬車を走らせた。どんどん見送るノアの姿が小さくなっていく。 

 トナカイの引く馬車なんて、シルヴィオは初めて乗ったので興奮した。こんな経験、後にも先にもないだろう。

 御者台からは、ご機嫌なサンタの鼻歌らしきものが聞こえてくる。馬車から見える景色は、どんどん横に流れていった。これが深夜でなかったなら、なお良かったのにと思いながら、しばらく景色を堪能していたら、ビューンと何かが馬車と並行して飛んで来た。


「シルヴィオ、頭を下げるんだ!」


 懐に手を入れて飛び道具を出すよりも先に、サンタクロースの声が飛んでくる。御者台のサンタクロースは鞭を勢いよく振るった。次々と後方より飛んで来た矢が鞭によって叩き落とされていく。


「しっかり捕まれ、振り落とされないようにな。スピードを上げる」


 馬車は縦横無尽に駆け抜けた。シルヴィオは必死に馬車の背にしがみついた。


「ハイよ──ッ」


 サンタクロースが振るう鞭が空気を裂く。ビュンビュン音を立てて走る馬車はどんどん加速する。それでも追撃の手は緩まなかった。


「しつこいのう」


 サンタクロースが呆れた声を上げると、脇から黒い集団が姿を見せた。


「敵襲かっ」

「……!」


 多勢に無勢。こちらの一台の馬車を、あちらは数十騎で追って来る。これ以上、撒くのは時間の問題のように思われた。全力疾走する馬車に、追っ手が後一歩と迫ろうとしていた。

 そこへ数騎のサンタクロースが現れた。彼らの姿に違和感を覚える。皆、黒馬に乗り、黒い衣装を着ていた。


 サンタクロースと言えば赤い服じゃないのか? と、疑問に思うシルヴィオの横を、黒いサンタクロース達が駆け抜け、追っ手に鞭を振りかざしていた。


「黒のサンタクロース?」

「彼らは悪い子にお仕置きをするサンタじゃよ」

「悪い子?」

「まあ、あいつらもかつて子供だった頃もあるじゃろうて。フォッフォッフォ」


 御者台のサンタクロースは、可笑しそうに笑った。背後の追っ手は黒いサンタに鞭で打たれ、次々落馬していった。


「そろそろ国境を越える」


 サンタの声に前方を見れば、遠くの山間から日が顔を見せ始めていた。


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