33話・お分かり頂けてないようですね?
「そんな余計なことをなんでしたのよ。あんたって血も涙もないのね。あんたんとこは、金持ちなんだからそんなはした金、払っておいてくれてもいいんじゃないの?」
サロモネ夫人は悪びれる様子もなかった。そればかりかマリーザを気が利かないと批難してくる。
呆れるマリーザに変わって、ジオヴァナが指摘した。
「はした金ですか? はした金と言われるのなら、あなたさまがお支払いになられてもいいのでは? その指輪でね。あなたがカッソさまのお店に伺ったのは、もともと査定の為だったと聞いていますよ」
「……」
「あなたの母親が残された形見の品を査定してもらいお金に換えようとしたら、指輪の裏側にセレビリダーデと彫られているのを見つけた。そこであなたさまは今回の件を企んだのでしょうね」
「……企むだなんて人聞きが悪い」
ジオヴァナの発言に、サロモネ男爵夫人は顔色を変えた。
「あなたのような人物は、貴族社会にはいてはいけない人物だと私は思っています」
「悪役令嬢のくせに何を言うのよ」
「そういう所ですよ。あなたさまがちゃんと貴族社会のルールを学んでいれば、そういう事を人前で言わないでしょうね」
「お黙り。悪役令嬢のくせに。ゆくゆくうちの娘は王子妃となるんだ。あんたは婚約破棄されて修道院行きさ」
サロモネ男爵夫人は強気だった。何を根拠にそう思い込んでいるのか、娘の未来は安泰だと信じ込み、公爵令嬢のジオヴァナを批難する。マリーザは可笑しく思った。それが表情に表れていたらしい。男爵夫人に睨まれた。
「あんた、何笑っているのよ」
「現実が見えてないのだなと思いまして。所詮は平民育ちと言うところでしょうか」
「馬鹿にしないでよ。前いた世界では高等教育くらい受けていたわよ。でも、この世界は乙女ゲームの世界なのよ。メローネを中心として回っていくのは決まっているの。例外はないのよ」
「そうだと良かったですね。その乙女ゲームとやらはあなた達のいた世界では、創作の世界なのでしょう? ここは私達が生きている現実の世界ですよ」
「分かっているわよ。それがどうしたのよ。あんたって頭がいいわりに、融通が利かないから可愛げがないわよね」
「それはどうも。私達は夢の中で生きているわけではないので、住んでいる世界のルールと言うものがあります。あなたさまは低位貴族夫人。貴族社会で生きて行くには貴族社会のルールをもう少し学ばれた方がいいですわ。このままだとメローネが王子妃になるどころか、男爵家を追い出されるのが先になるのではないでしょうか」
「そんなことあるわけないじゃない。馬鹿じゃないの」
「お分かり頂けてないようですね。メローネが仮にサンドリーノ殿下の心を掴んだとしても、王子妃にはなれません」
「どうしてよ」




