駆け上がる、星！

星の煌めく草原に

白い馬たちがうずくまっている

皆、背中に古い柱時計をくくりつけて

時間の澱（よど）みに身を浸しているようだ

音楽が、鳴る

鳴りはじめた音の揺らぎに

星たちが踊りはじめる

水底から立ち上がるように

白馬たちの細い脚が

重たい体を持ち上げる！

見上げろ

赤い星！

黒い空に向かって

白馬たちが頭を上げる

灰色の草の陰に

星たちが色とりどりに瞬きだす

蹄の音は

金色に

低空を駆けはじめる

何処にもないメリーゴーラウンド

白馬たちは回りだす

何処にもないなら創り出すのだ

星のメリーゴーラウンド

宇宙へ

宇宙へ！

風に乗って

白馬の群れが舞い上がる

星も！

星たちも！

白馬についた尾鰭のように！

暗い空に描く虹のように！

昇っていった

僕はそれを見送りながら

この世に取り残された

音楽は終わった

夢のように

ひとつ

残された星

真っ白で気づかなかった

僕はそれを

そっとてのひらで掬い

くちづけた

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仙道アリマサ様主催イベントの参加作品です。

仙道様の作曲された音楽にインスピレーションを受けて文章作品を書くという趣旨だと思い、参加しました。

↓音源はこちら↓

https://www.youtube.com/watch?v=BOq6jPjhESo