公爵令嬢 ユリアーナ かく語りき
お邪魔致しますわ。前触れもなくて失礼いたします。
カトリーヌから一応要望だけ聞いていただけると聞きまして参りました。
わたくしアルフレッド様の婚約者のユリアーナと申します。
カトリーヌからお聞きおよびでしょうが、わたくしとアルフレッド様の婚約はわたくしの一目惚れから始まりましたの。
そうでなくても王太子殿下との婚約は嫌でしたわ。なぜかって?王太子殿下には八歳にしてすでに想い人がいたからですわ。そんなとこにしゃしゃり出る勇気はありませんわ。
ですから婚約者を押しつけてしまったエリザベス様には申し訳ないと思っております。エリザベス様との婚約後の王太子殿下の酷い対応をこの目で見ますと、ああ抜けてよかったと言う気持ちとエリザベス様への贖罪の気持ちが湧き出てましたわ。
世間では王太子殿下は見目麗しく賢い王子となっておりますが、わたくしから言わせて頂くと自分の不倫の恋のために周りに迷惑を掛ける方です。そうですわ。あの男爵令嬢、今は単なる平民のマリアも利用されてました。
え 不倫の恋とはどなたかって?さあ それはきっとそこのカーテンの後ろにいる人が説明して下さるわ。後から聞いてみて。なーに?そんなに動揺して。カトリーヌが言っていたわ。通して貰った部屋のカーテンで仕切られている向こうにわたくし達の知っている人がいたとね。おしゃべりで軽い印象を持つ人が多いけれど、武人のカトリーヌを甘くみないことね。
わたくしとアルフレッド様の仲?まあ 心配していただかなくても、アルフレッド様側に愛はありませんけれど、誠実に向き合っていただけるから上手く行ってますわ。
愛がなくてもいいのかって?愛は強要するものではありませんわ。わたくしがアルフレッド様に歩み寄ろうとして拒否するような方ならすでに婚約は破棄されてます。家格だけなら我が家の方が上ですから。
わたくしの家は王女だったおばあさまの浪費のおかげで傾いてますでしょう?父はわたくしを裕福な家に嫁がせたいみたいで、アルフレッド様との婚姻は両手を挙げて歓迎しておりますわ。おばあさま?父の代で王家の了解を得て領地の別邸に逼塞しておられますわ。
今度の騒動は王太子殿下対アルフレッド様のように書かれ、まるでアルフレッド様がエリザベス様に懸想しているかのような印象を持つ文章がありますでしょう?
それはあり得ませんわ。なぜかって?わたくしがこの十年どれだけアルフレッド様だけを見つめていたことか。知らないことなどありませんわ。え?重い?何を言ってらっしゃるの。これは執着と言うのですわ。自覚はありますからちゃんとコントロールいたしておりますわ。
アルフレッド様は感情を表には出しませんが中身は激しいお気持ちをお持ちです。ですから今度の騒動で王太子殿下が臣下に降りられたことを自分が至らなかったからと強く後悔されてますの。
わたくしから言いますと、王太子殿下は最初からそのつもりだったのだから、アルフレッド様が贖罪の気持ちを持つ必要はないと思うのですが。真面目すぎですわね。
アルフレッド様が自分の印象を良く書くなと言われたのですね。そうでしょう。それがアルフレッド様です。ただこの騒動で王太子殿下以外に被害が出ないように取り仕切ったのはアルフレッド様ですから褒められてもいいと思いますわ。
男爵令嬢?彼女は自業自得では?エリザベス様に罪を着せたら自分が王妃になれると思っていたのかしらね。男爵令嬢がなれるのは妾ぐらいよ。王太子殿下に利用されているだけと気がつかないところがすでに残念ですわ。
わたくしはどうしてほしいと言いませんわ。ただこの話を聞いてアルフレッド様をどう書くかはお任せします。え 思ったように書けてなかったらどうするかって?カーテンの後ろの方に秘密を存じ上げてるとお伝えして頂ければ考慮していただけるはずよ。
それではわたくしはこれで。まあいやね。なぜそんなに怯えていらっしゃるの?剣を突きつけられるより怖い?当たり前ですわ。女はこうやって戦うのです。




