レイ(3)
レイがライトに会うまでの話です。
結局何数十年もの間、各地をさまよう亡霊として過ごしていた。今はライトの住む城に住みついているが、ここにきたのも十五年ほど前の話。
十五年前、小さな村で暮らしていた。裕福とはいえないが、村のすべての者が助け合い、温かく、幸せに生きていた。
そんなある日、定期的にくる国の兵士達が視察に来た。小さな村では城下町の話なんて一切入ってこない。新しい都の話が聞けると思い、村民は喜び、その日は賑やかな一日だった。その話のなかに、宮殿に住む姫様が隣国の王子と結婚し、男の子を授けたという話があった。そして、今、城下町はそのお祝いで夜も明るく、常に花が舞っていることを話した。村民達は目を輝かせ、天国のような町を想像していた。
(城下町か・・・。そういえば目覚めてからというもの、村ばかりまわって賑やかな場所にはいかなかったな。無意識に賑やかな場所を避けるなんて、もう中身も幽霊に染まってしまったということか・・・)なんて思いつつ、城下町を訪れようと考えた。
兵士達は城下町に戻るだろうとふんだ私は兵士達についていき、村を離れた。それから兵士達は周辺の村を調査して、案の定城下町に帰ってきた。
しかし、花が舞うどころかゴミが散乱し、死骸や腐った何かにたかる、ネズミやハエが舞っていた。村と比べると少し明るいが、雲が広がり霧が少しかかっているせいか、町はよどみくすんでみえる。これは、ほんとうに城下町なのか、と思ったが、
「飢饉と伝染病か・・・」と調査中、小隊長と呼ばれていた男が眉間にしわをよせが呟やいた。
なるほど、今この城下町では飢饉と伝染病が流行り、大変なことになっているということか。