憧れの先輩〜希心の記憶〜
誰でも憧れの人はいる。
有名人や知り合い、そして先輩。
4月の仮入部期間が終わり、1年生が入部してきた。
「今年のバレー部新入部員自己紹介を始めます。」
バレー部、部長の喜多山が言った。
喜多山 晴香(きたやま はるか)
中3 3年D組
バレー部部長
「じゃあ、A組の子から。」
黒板には箇条書きで、
・組
・バレー歴
・好きなもの
・好きな人
・意気込みを一言。っと書いてある
「A組 鈴山 百絵です。バレー歴は1年ほどです。好きなものは桃です。好きな人はお兄ちゃんです。」
好きな人を言った瞬間に周りがざわついた。なぜなら、私にお兄ちゃんがいる事を言ったことがなかったからだ。
「意気込みは、お姉ちゃんに負けないことです。」
私が思っていた通りだった。
隣にいた希心が話しかけてきた。
「先輩、なんか懐かしいですね。」
「もう、希心が入って1年か。早いね。」
村尾 希心 (むらお のぞみ)
中2 2年C組
私が1番仲のいい後輩だ。
あの時はこんなに仲のいい後輩ができると思わなかった。
(うっ希心の記憶か…)
「A組 村尾 希心です。バレー歴は3年です。好きなものは文房具です。好きな人はいないです。意気込みはバレー部で頑張ります。」
バレー歴を言った時、ざわついていた。
なんでだろう。
(あの時はびっくりしたな…)
その後、部活をしている時に鈴山先輩が話しかけてきた。
「すごいね。バレー歴3年って。」
「え。どうしてですか?」
私の入っているバレークラブは、3年は普通か少ない方だった。
「どうして、って大体みんな中学から始めた人が多いからさ。」
「そうなんですか!」
びっくりした。そこで初めて気づいた。自己紹介の時にざわついた理由が。
「鈴山ーこれ、持って行ってー」
「はいー」
「じゃあね。」
その時、鈴山先輩が私の憧れの先輩になった。
(そんなに前から…)
〜次の日の部活〜
「また、荷物運びか。」
後ろから声をかけてくれたのは、鈴山先輩だった。
「はい。」
「そうだ!メール交換しようよ!いいかな?」
「は、はい!」
とっても嬉しかった。
その後も部活がある日はいつも、いろいろな話をしていた。
〜夏休み〜
「もうそろそろ、合宿だね。」
「そうですね。」
「大変だよ。特に1年は。」
「そうなんですか?」
合宿は大変だって聞いていた。
「合宿終わった次の次の日、空いてる?」
「はい。」
「じゃあ、どこか遊びに行こうよ。」
「はい!」
まさか、先輩と遊びに行くなんて考えていなかった。とっても嬉しかった。
「どこがいいかな?」
「そうですね。」
「あ、あと部活じゃない時は敬語じゃなくていいよ。」
「そんな。」
私的には、敬語の方が気が楽だった。
「まあ、その前に合宿だね。」
「あ、そうですね。」
憧れの先輩と遊びに行くなんて。
(あ、もうちょっと見たかったな…)