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第 4 話

「あの、親が心配するんで、帰らせてもらえませんか?このことは絶対誰にも言いませんから……!」

「帰してやるよ、用事が終わったらな。まあ明日俺たち海外に行くから、明日には帰してやるよ。」

「用事って、何ですか……。」

「いいから黙ってろ。ガムテープで2人まとめて縛り上げるぞ?」

男にそう言われて、利郁は黙らざるを得なかった。横では澪が下を向き、うつむいている。利郁は、小声で話しかけた。

「小島さん、大丈夫?」

「……うん。ごめん、巻き込んじゃって。」

「いや、そんなことは……なくもないけど仕方ないから、もういいよ。」

「なにそれ“気にするな俺が何とかする”くらい言えないの?」

「げ、元気ですね。落ち込まれるよりいいけど。とりあえず、様子みるしかないかと思う。」

「うん。」

男たちを目の前にしていつもの勢いのよさを失っていた澪の表情が、少し明るくなる。利郁はへたに抵抗しても勝ち目はないと悟り、男たちの言うことに従うことにした。


ワゴン車は1時間半ほど走ったころで、とある建物に入った。2人は車から降り、懐中電灯を持つ男に従って歩きだす。利郁と澪の手首は手錠でつながれたままで、暗闇のなか駐車場から地下通路を通り、階段で6階まで歩かされた。明らかに古い建物であることと人気のなさを、利郁は感じ取る。6階に着くと、目の前にたくさんの部屋のドアが飛び込んできた。

「ホテル……?」

「前はな。今は使われてねーから、誰もいねえよ。ほら入れ。」

男に命令されて、利郁と澪は部屋に入る。男がスイッチを入れると、照明器具が点灯し部屋が明るくなった。建物自体には電気が通っていない、廃墟のホテルである。

「えーやだ、もう何なの……。」

大きなベッドを目の前にして、澪がつぶやいた。

「さて、まあそこに座れよ2人とも。」

男はカードキーを置き、2人をベッドに座らせた。

「さっそく本題に入らせてもらうけどな、お前ら2人にはAVに出演してもらう。」

「AV!?って、え、あのAVですか……。」

「そうだ、エロいやつだよ。お前らはここでセックスする、それを撮影するんだよ。」

利郁の言葉にそう返した男の発言を聞いて、「そんなの絶対嫌!!」と澪が叫ぶ。

「まあそう嫌がるなよ。3万ずつやるよ、いい小遣い稼ぎになるだろ。それに海外向けのAVだから身バレの心配もねえしな。」

「お金なんか困ってないし!AVなんてありえないから!まだ誰ともしたことないのに…しかもリクとするなんて、絶対無理。」

澪が言い返すと、男は手をたたいて笑いながら話しだす。

「ははは、処女か。そりゃいいな、付加価値がつくぞ。おい、お前どうなんだ童貞か?」

「えっ、いや童貞じゃないですけど。でも、AVに出るなんて嫌です……。」

2人に断られると、男は腕をくんで壁にもたれかかり、ため息をついた。

「お嬢さん、大事なこと忘れてるんじゃないか。もしこいつが君を助けに来なかったら、どうなってたと思う?誰が君の相手になってたと思う?」

そう言いながら、男は指で利郁を差す。

「AV男優だよ。そんな見ず知らずのオヤジより、よく知ってるお友だちのほうがまだいいだろ?こっちも男優呼ぶ手間が省けたし、ギャラは浮くし好都合だったけどな。」

そのとき、コンコンと部屋のドアがノックされた。男がドアを開けると、運転手の男が部屋に入ってくる。手にはビデオカメラや簡易照明のようなものを持っていた。

「道具持ってきたぞ。」

「よし、はじめるか。手錠の鍵は?」

「お前持ってるんじゃないのか。」

「そうだったな。あ、しまったタバコと一緒に忘れてきちまった……。ちょっと取りに行ってくるわ。」

「あの、トイレに行きたいんですけど。」

男が出る前に、利郁が声をかけた。

「ん?ああ、そこだよ水だけは流れるから使える。手錠外すまで我慢できねえのかよ。お嬢さんかわいそうにな。」

「漏れそうで、我慢できなくて。」

そう言って、ユニットバスタイプの浴室に2人で入った。利郁はすぐにスマホを取り出し、電気の代わりにする。

「じゃあちょっと行ってくるから、一応見張っとけよ。」

ドアの外で、運転手の男にそう言い、男が部屋から出て行くのがわかった。と同時に、利郁の右腕がガクッとなった。澪が床に膝をついて、うなだれている。

「小島さん。」

利郁が声をかけても、澪はしゃがみこんだまま何も答えなかった。

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