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役立たずな若返りTS異世界人

そして冒頭に戻る訳だ。あまりの突飛とっぴな出来事にフリーズする学生5人を他所に話はどんどん進んで行く。

「ちょ、ちょっと待った!!!」

堪らずに俺はストップを掛けた。周りの、学生5人も含めた一同が一斉に俺を注目する。

「おや、如何いたしたかな?」

お姫様の隣に立っていたこれまた如何にもな爺さんが答える。ふむ、どうやら言葉はそのまま通じる様だ。

「こっちは行き成り変な所に居て何が何だかわかんね~んだよ、取り合えず一方的な話は止めてくれ」

「ふむ・・・確かにそうじゃの。失礼した」

そう言って一礼をするじいさん。

「判ってくれたんなら良いわ。・・・何か?」

学生5人組が俺を見つめ続けていた。うわ、全員背が高けぇわ。一番小さくても俺とドッコイ・・・良いナァ、流石現代っ子。

「いえ、何だか凄く落ち着いてるので・・・」

5人組の1人、俺より5cm位高い黒髪ロングな少女が口を開いた。整った顔立ちに中々のプロポーション。

ウン、美少女。おっさんな俺が隣に居たら捕まるなコレ。

「そう振舞ってるだけさ。下手な弱みを見せりゃ何されるか判らん」

「そう・・・なんですか?」

「向こうが一方的に条件押し付けてる様なモンだろ?今の状況は、少なくとも鵜呑みにはしない方が良い。人生の経験がそう言ってる」

営業職のさがと言う奴だろうか、契約は慎重にしないとな。

「経験・・・ですか?」

「ん?」

何故か怪訝そうな声色が含まれた声。俺ってそんなに頼り無さそうかな?

「いえ、私達と大差無い歳に見えるので」

「・・・は?」

そう言われ、慌てて自身の色々を見る。・・・俺の手、こんなんだったっけか?やけに綺麗な手、髪に触るとワックスでガッチガチにした筈の髪がサラサラだ。しかも肩まで伸びてる・・・え?

慌ててその髪を手に取る・・・何故に金髪ですか?。こんなんでは会社に行けません。

「イヤイヤイヤ!マテマテマテ!!」

何だか声もやけに高いぞ?何で胸が膨らんでますかねぇ?・・・嫌な予感しかしない。

「なぁ、君。俺・・・如何見えてるんだ?」

「えっと・・・やけに日本語が上手で何故かスーツを着た同年代の欧米人?」

「・・・マジかよ」

衝撃の事実、どうしてこうなった?と、右手を見ると見覚えのない金髪が1本、目に付く。長さ的には俺の物じゃない。と、なると・・・

此処まで来る間に金髪と言ったらアレしか居ない。あのクソビッチだ。

・・・つまりこの俺のこの状況ですらあのクソビッチの所為か!何だか又の間がスカスカするのもあのクソビッチの所為か!!!!

「・・・ぜってーぶん殴る。ボッコボコにしたる・・・フフフ」

「あれ?何だか貴方から黒いオーラみたいなものが渦巻く様に見えるんですが・・・」

「・・・・・気のせいだろ」

そんな事をして居ると、

「では立ち話も何ですので皆様此方へ」

先程のお姫様がその場に居た全員に移動を促し、ゾロゾロと移動を開始する・・・が、何故か俺だけは

「貴方は此方へ」

と、お姫様の傍らに居た爺さんに止められ、一人別の部屋へ。・・・まぁ何と無く予想はしていたんだが。

通された部屋は質素で椅子と机しか置かれていない。入り口には衛兵らしき人が2人立つ。

「何故俺1人別な訳?」

「女神様の啓示での。お主は勇者殿の邪魔をする存在・・・早急に捕縛し牢へ幽閉せよとの事じゃ」

「・・・あん時の逆恨みかよ」

「?何か?」

「いや何でも無い。で?幽閉するのか?」

「・・その心算つもりだったがの、流石にそれは忍びない・・・お主のステータスも確認させてもろうたが・・・あのようなステータスじゃからのぉ・・・

無害そうじゃし、国外への追放処分で十分じゃろて」

へぇ・・・あのクソビッチの啓示を破るのか、中々豪儀そうな・・・

「おい、良いのかよ?」

後ろの衛兵AがBへ呟く。

「何でも賢者様に初孫が・・・しかも女の子が生まれたとか何とか・・・」

「あぁ・・・そう言う事か」

賢者の孫の嫁GJ。

「ふぅん。ま、それは受け入れる。但し、条件が有る」

「・・・それは此方の言う台詞じゃろ」

「そんなんで初孫に顔合わせられるのか!アンタは!!!」

「うぐっ!?・・・条件とは何じゃ」

孫娘を引き合いに出され、アッサリ折れる姿を見た爺さんの後ろに立つ衛兵ABが、残念な人を見る目で眼下の賢者と言われる爺さんを見ているがキニシナイ。

「この世界の常識とか、そういった情報を教えてくれりゃ良い」

それを聞いた残念じ・・賢者はホッと胸を撫で下ろす。

「その程度なら問題は無かろう」

そうして暫くこの世界のレクチャーを受ける事となった。





「まずはこの世界の事じゃな」

「あぁ。この世界の名前すら判らないからな」

賢者と呼ばれたこの爺さん・・・アルフ・G・フアランは結構偉い様で、俺に敵意が無いと判ると自身の部屋に俺を招いた。

まぁ流石に衛兵無し・・・と言うのは無理なのだろう。だが連れ出す事に口を挟む者は居なかったのが位の高さを物語っている。

「この世界、我等は『エルラ』と呼んでおる」

「『エルラ』・・ね。で、この『エルラ』では何で俺等の言語がそのまま通じるんだ?」

「通じると言うか・・・お主の言葉はそのまま共通語として通用しとるぞ?」

「マジかクソジジイ」

「お主・・・」

「あ、本当に通用するんだ。悪い。今一信用仕切れなくてな」

「・・・全く、お主が年端も行かん女子で無ければ切り捨てておったぞ」

「何その差別!?まさかアンタロリ・・・」

「チガウ!ロリチガウ!!」

「何故機械的な発音になるんだよ残念爺さん・・・」

「ロリか・・・ロリなのか・・・」

「何てこった・・・あの大賢者様が俺と同な、ゲフンゲフン」

後ろの護衛ABはどうやらアルフに対して妙なシンパシーを感じ始めている様だ。

「・・・話が明後日の方へ向かう前に戻すぞ?取り合えず共通語さえあれば余り問題は無い筈じゃ」

「余り・・・と言うと、共通語が通じないのも居るって事か」

「うむ。エルフや獣人、魔族などは別々の言葉や文字を使っておる」

「それを覚える事は可能か?」

「可能じゃ。普通は普通に勉強をすれば良い」

「・・・含みの在る物言いだな」

「そうじゃの。それとは別にもう一つ方法が在る」

「・・・スキルポイント」

俺の答えにアルフはニヤリと笑った。

「その通り。そして其れこそか異世界からお主等を召喚した理由じゃ。スキルポイントは転移者だけの特権じゃからの。ポイントを使えばあらゆる技術や知識を瞬時に覚える事が出来るからの」

「・・・呼ばれる方は堪ったモンじゃないがな」

やり方に苛立つ俺は嫌悪感を込める。

「・・・仕方が無いのだ。脅威に立ち向かえる者が・・・少ないのじゃ」

「・・・脅威・・・か、その脅威ってのは何なんだ?」

「女神様からの啓示での・・・近い内に「災厄が起こる」と言う事じゃった」

・・・あのクソビッチはそれを自分で起こす心算なんだろ。益々反吐がでそうなのを俺は抑える。

「災厄ねぇ・・・大方そのめ・・・・」

「・・・・・・・」

「どうした?」

成る程、あのクソビッチの事を言おうとしたら声が出なくなった。余計な事は言わせないって所か。

「何でも無い。後は・・・そうだな・・・神様って複数居るのか?」

「うむ。じゃが『慈愛と癒し』の女神である『ニーマ』様にはどの神も敵わんじゃろて」

そう言いつつその『ニーマ』って女神の姿を模したペンダントを俺に見せる。

「ブッ!!!!!」

「な、なんじゃい!」

それを見た俺は思わず吹き出してしまった。だって・・その姿は俺の良く知る・・・あのクソビッチそのものだったからだ。

「ク・・・ククククク・・・いやスマン・・・ククク・・・じ、慈愛と・・・プププッ・・・癒しのめ・・・めが・・・クククッ」

俺の様子を怪訝そうに見る3人・・・いや仕方が無いだろ。アレの本性を俺は嫌って程知ってるんだから。

しかもソレをめっちゃ信仰してるとか・・・哀れだわ。うん。哀れだ。だがまぁそこら辺は空気を読もう。どうせ発言出来んしね。





そして数時間後、俺は城下町を1人歩く。流石にスーツ姿では浮き過ぎるので、服装は一般的な女子の服を貰い着ているのだが・・・スカートって落ち着かんな。スースーするし。しかも・・・

(何でアルフがこんな服持ってんだよ・・・)

あの残念爺さんがこの服を嬉々として持ち出すのを見た時は、流石にその場に居た俺含め衛兵ABはドン引きした。

「む、娘に!生まれた娘へのプレゼントじゃ!!!誤解するでない!!!」

いやアンタ・・・生まれたばっかって自分で言ってるでしょうに・・・それがなんで俺が着れるサイズなんだよ。

・・・まぁソレはさて置こう。あの後、日本とエルラの常識をすり合わせてみた所大体同じ事が判った。1日が24時間とか1年が365日とかね。

それが判った所で・・・さて、当面の問題は2年後の失明が確定している事と職業クラスの問題だ。

『職業ボーナス+代償』の(特定の職業選択不能)が相当痛い。色々試したが粗全ての職業クラスに就けないのだ。

職業クラス・・・日本に居た頃の職業の概念とは全く違う。日本(向こう)じゃ転職なんざ選ばなければ軽く出来るが、エルラ(こっち)じゃそれは相当難しい様だ。

此方の職業クラスと言うのは各神の加護と言って良い。その加護が受けられないってのは社会的な難民、究極には不適合者だ。

失明して永遠の無職?・・・無理ゲー過ぎる。

(しっかし・・・何処を見てもニーマ(クソビッチ)、ニーマ(クソビッチ)だな・・・)

街中に溢れるニーマ(クソビッチ)教の物と言ったら・・・王都ってのも有るんだろうが少しばかし狂気を感じる程だ。

うわぁ、街中で祈り捧げてるわ・・・引くわぁ・・・あの性悪の何処が良いんだか。

(ははは・・・まぁ此処じゃ俺の方が異教徒か・・・異教徒?そうか!異教徒か!)

俺の灰色の脳を何とかフル回転させ一つの仮説を立てる。即ち『宗教戦争』も在った筈だと。

だとすれば・・・『裏』で暗躍する者達だって居た筈だ。彼等の扱いは如何だったのだろう?コイツは・・・調べてみる価値は有りそうだな。

俺は足早にその情報が一番手に入れ易そうな場所、即ち盗賊組合シーフギルドへと向かった。


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