公園に少女
名前のきけない近所の女の子
公園のブランコに揺られて
姉妹ですか?
かわいいですね
十歳ですか?
十二歳ですか?
かわいいですね
ああ、おれは常に自涜する……
あなたはだあれ
わたしはだあれ
わたしはわたし
あなたはあなた
かわいいですね、と一言伝えたくて、
放課後の、
校門を出てから、女の子が自分の家に帰りつくまでの道筋を辿った
おれはだれなんだ
おれはどこにいる
ああ、
今晩も涙流して自涜する……
誰もいない公園を歩くおれの足音、
毎日毎日ひたすら歩く目的の無い足音の、
鳥の声や、車の音にかき消されて、
公園には誰もいない
少女にかけるはずの言葉だけが、
公園からいなくなった、おれという話者から離れて
優しく公園をつつみこんだ