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13話 戦闘訓練

7/10 美奈の地の文を少し弄りました。

 というわけで、再び外に出てきた。

 まずは、経験値の入り方を調べたい。

 俺は美奈を連れて「転移」を繰り返しながら、武器ゾンビを探す。


 さっきだいぶ狩ったはずなのだが、割とすぐに見つかった。

 持っているのは、大剣。


「あのゾンビはレベル5らしいです」


 美奈が鑑定で分かったことを報告してくれる。


「よし、ちょっとここに隠れててくれ」


 俺は、物陰に隠れているように言い、邪魔が入らないように近くのゾンビを「絶対切断」で一掃した。


 そして、大剣ゾンビの前に出る。

 どうやら、こちらに気づいたらしく、剣を振り上げて迫ってきた。


 ふむ、スピードは2日目に体育館の前で戦った斧ゾンビと同じくらいのようだ。

 ということは、あの斧ゾンビもレベル5ぐらいだったのだろう。


 そんなことを考えながら、上から来た剣を体を捩って躱す。

 大剣ゾンビはすぐに剣を引き戻し、自分の体ほどもある大剣を無造作に振り回しはじめた。

 これはどうしようもなく、一旦距離を取る。


 すると再び剣を振り上げて迫ってきた。

 動きが単純なのも斧ゾンビと変わりないようだ。


 さて、そろそろ実験に入ろう。

 俺は、「絶対切断」で大剣ゾンビの両腕両足を切り落とす。


 急に手足がなくなり、支えを失ったゾンビの胴体が地面を転がり、足元まで来た。

 既にだるま状態のゾンビだが、それでもしぶとく体を捻りながら俺に噛みつこうとしてくる。


 やはり、頭を潰さないと死なないようだ。


「美奈!こいつにとどめを刺してくれ」


 隠れていた美奈に呼びかけた。


「了解です!」


 軽く返事をした美奈は、物陰から出てきて剣でとどめを刺した。

 まだ、ゾンビを殺すことに慣れきっていないせいか、手に伝わる嫌な感触に顔をしかめている。


「どうだ。レベルは上がったか?」


「いえ、変化なしですね」


 どうやら、レベルは上がらなかったらしい。


 俺は、レベル3の時に斧ゾンビを倒し一気にレベル5まで上がった。

 今倒したゾンビもそれと同じぐらいの強さだろうから、ただトドメを刺せば経験値が入るというわけではなさそうだ。


 美奈を強くするとなったとき、真っ先に思い浮かんだのが「パワーレベリング」というものだったのだが。

 強いゾンビを探してトドメだけ刺させて、美奈のレベルを上げるというのは無理そうだ。



 となると、レベルの低いゾンビで少しずつレベルを上げていくしかないか。

 俺と違って美奈のスキルは直接、戦闘には使えない。

 今の状態でレベル5のゾンビと戦わせるのは、あまりに危険だ。

 せめて、レベルが追いついてからだろう。


「よし、次は今のよりちょっと弱いゾンビと戦ってもらうからな」


「えっ……。ちょっと怖いけどやってみます……」


 まぁ、いざとなれば俺が助けに入るので大丈夫だろう。

 武器も持たせてあるし。


 周りのゾンビは邪魔にならないようにさっき倒してしまったので、一回「転移」してから「空間把握」を起動させる。


 日を追うごとに、ゾンビが増えてきているせいかゾンビは割とすぐに見つかった。

 美奈と戦わせるなら、どれくらいの強さがいいだろうか?

 レベル1は今の美奈の身体能力だと余裕なはずだ。

 レベル2でも恐らく倒せないことはない。

 レベル3はちょっと怪しいか。


 身体能力的には互角だと思うが、相手は痛みも感じず、恐怖も感じないゾンビだ。

 武器を持っているとはいえ、怪我を負うかもしれない。

 戦わせるのはレベル1とレベル2だけにしておこう。




「じゃあ、レベル3以上のゾンビがいたら教えてくれ」


 俺は近くに建っていたビルの上に転移し、美奈にそういう言った。



「あれと、そこのと、あとあれもそうですね」


 美奈曰く、「鑑定」は視認できれば、距離に関係なく発動できるそうだ。

 俺は、美奈が指定するゾンビを屠っていく。


 レベル3以上のゾンビを粗方倒し終え、今度はゾンビ達を一箇所に集めていく。

 集めたゾンビは「空間隔絶」を使い一定範囲に閉じ込める。

 黒装束と戦ったときもこれを使った。


 準備も終えたことだし、そろそろ特訓を開始するか。


「よし、じゃあそろそろゾンビを出すぞ」


「いつでもOKです」



 美奈の方も準備は出来ているようだ。

 では早速。

 俺は空間隔絶の檻から無造作に一体選んで、屋上に転移させた。




 ☆☆☆




「ウガァアアアアアア!」


 いきなり、転移させられたせいで少しの間キョロキョロと辺りを見回していたゾンビだが、私を見つけたのか威嚇して襲ってきた。

 ちなみにレベルは2だ。


 ちなみに清さんは、空間の壁を作ってここから5メートルぐらい上に立っている。

 もうあの人はなんでもありだ。


 いざとなれば清さんが助けてくれるって言ってたけど、清さんの足手まといにならないためにもこのくらい一人で倒せるようになっておきたい。


 なにやらよく分からない叫び声をあげながら、敵意剥き出しで襲ってくるゾンビに本能的な恐怖をおぼえる。

 けどそんなことを言っている場合じゃない。


 私は震える足を叱咤するように、ゾンビが飛びかかってくるのを避けて横っ飛びする。


 今のゾンビの動きにしても、よく見れば隙だらけだ。

 レベルアップで、以前とは比べ物にならないくらいの身体能力を手に入れた私なら、今の飛びかかりを避けつつ体に突きを入れることなど造作もないはず。


 でも、これは殺し合いだ。


 この剣が頭蓋骨を突き抜けるという保証はない。

 中途半端に脳に達さずに、剣が刺さりかけで止まってしまえば、その瞬間私は噛まれて終わりだ。


 確実に勝つには柔らかい目を狙うしかない。

 清さんもそう言っていた。



 最初の飛びかかりを躱されたゾンビは、すぐに起き上がり今度は腕を振り上げて迫ってくる。


 私は強化された身体能力で、その腕を躱す。


 ゾンビの感染が何も嚙みつきだけで起こるとは限らない。

 もしかしたら、ちょっと引っかかれたくらいで感染するかもしれない。


 こっちはゾンビの攻撃に細心の注意を払わないといけないのだ。

 かといって、それが怖くて大きく躱しているといつまでもチャンスが回ってこない。

 いつかこちらの体力が切れてジ・エンドだ。



 とにかく、私を食わんと迫ってくるゾンビの攻撃を躱し続ける。

 ゾンビには体力というものが存在しないのか、疲れる様子もない。


 感染との恐怖と戦いながら、私の集中力は研ぎ澄まされてくる。


 ゾンビは起き上がり、何度目かもわからない攻撃を繰り出してきた。

 私は半ば無意識に、左右にフェイントをいれて躱す。

 時には、剣を使って受け流す。


 紙一重の攻防、それが何度か繰り返された時。


 気のせいかゾンビの動きがゆっくりに見えた。


 横から、腕を振り回すようにこちらを引っかこうとしてくる。

 それをギリギリでしゃがんで、かい潜り、絶妙のタイミングで間合いを詰めた。

 腕を振り切り、隙だらけのゾンビの目に突きを繰り出す。

 これだけ近ければもう外さない。



 私の剣はゾンビの頭を貫通し、その瞬間目の前のゾンビは断末魔を上げて倒れていった。


更新ペースは不安定ですが、どうぞこれからも「日直なせいで逃げ遅れたのでゾンビ相手に無双する」をよろしくお願いします。

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