弐 窓辺のカフカ
朝・・・? 辺りが明るい。もう夜が明けたのかと見回せば、時計の針は午前四時を少し過ぎたばかりだ。なんだ、まだこんな時間。もう一眠りしよ、と目を閉じかけるのだが、私は今まで感じたことのない違和感を覚えた。自分がまだベッドの上で寝ているのは分かる。それは分かるのだけれど、寝ている自分を横から見ている自分がいるのだ。これは・・・、いわゆる、幽体離脱? まさかこんなオカルティックな目に自分が遭うとは、夢にも思わなかった。いや、幽体離脱なんて、実際ありうるのか、そもそもこれは夢なのではと、私は夢とも現実ともつかない状況に身を任せ、しばらく様子を見ることにした。
すうすうと寝息を立てている自分の顔は、高校一年となったにも関わらず、どこか幼い。こうして眠っている自分の顔を見るのは、初めてだった。だって、目をつむったら鏡で自分の顔は見れないし、自分の寝顔を写真に撮る動機というのもなかなか思いつかない。ショートカットを枕に埋め、平穏無事を体現したような寝顔は、愛嬌がなくもないけれど、よく見れば涎を垂らし、あぁ、間抜けな顔だなぁ、と我ながら笑ってしまう。
それにしても。寝息を立てる度、静かに上下する掛け布団といい、時計の秒針を刻む音といい、夢にしてはリアルだし、さっきから、いっこうに夢から覚める気配がない。これはいったいどういうことだろうと、振り返って部屋にある姿見を見た時、クロと目が合った。
クロの、つやのある毛並みの中から、きらりと光る両の眼が、まっすぐに自分を見つめている。肉体から抜け出して幽体となった私を、猫特有の感覚で捉えてでもいるのかしら。って、そんなことあるわけないか。
・・・・・。まだ見ている。見ているというか、もうガン見のレベルだ。普段はそっけないくせして、今日に限って私に興味があるとでも? お腹が空いた時以外、にゃあとも言わない無関心とは打って変わって、視線を私に向け続けている。こうなったら、クロが目をそらすまで、私も見つめ続けてやる。先に目をそらした方が負けだ。誰があなたの主か、教えてやる。
お高く留まった飼い猫、クロのプライドを打ち砕かんと、にらめっこを続ける私の背後で、突如、がばっ、と布団をはねのける音がした。拍子に私はベッドから転げ落ち、何が起こったのか、とっさに判断がつかないままベッドを見上げると、頭上はるかに、「私」が仁王立ちで立っている。私って、こんな大きかったっけ、と思う間に、ベッドの上の「私」が、「私」の声で言った。
「ここは・・・・?」
緊張した面持ちで周囲を見回し、腰を落として身構えている。自分が勝手に起き上がって、声を出す姿を見るなんて、変な夢。「私」は私の方を見ると、はっ、と警戒した。
「おぬしは・・・! 猫に変化したか!」
そう言って、自分の腰のあたりの何かをつかもうとするのだけれど、すかっ、と空振りをし、慌てて手元を見る。「私」はいったい、何をしている・・・? 猫に変化?
「刀がない・・・! おのれ、怪し気な術を・・!」
「私」はそう言うなり、私の首筋をむずとつかんで、高々と持ち上げた。
お、おお? おおおー、た、高い。
自分の足がぶらぶらと宙で揺れるのを感じる。姿見の中で、「私」が片手でクロを持ち上げている。
・・・・。ん? 「私」がクロを持ち上げて、私は今こうして持ち上げられている。その私は鏡の中で、あたかもクロとなったような感覚で、だって、足はぷらぷらと揺れているし、首根っこはつかまれているし。
「な・・・に・・?」
あれ?
「私」もまた、何かに気づいたようだ。鏡の中でおかしなことが起こっている。こんな時、考えることは誰しも同じだった。つまり、鏡の裏側を確認する。「私」は私をつかんだまま、慌てて姿見の後ろをのぞき込んだけれど、そこには何もない。厚さ数センチの、普通の鏡が一枚あるだけだ。
もう一度、姿見の前に立って、「私」は顔に手をやったり、腕を上げ下げしたり、私は私で、おののきながら、自分の口にそっと手を・・・、手・・・、に、肉球? ぱっ、と口元に触れると、しなやかで張りのある毛が飛び出ている。私は決して、髭が濃い方ではない。というより、こんな長くて立派な口髭、生えたこともない。愕然とした表情で、いや、猫の表情に愕然というカテゴリーが存在するのか分からないけれど、目を大きく見開いたクロが私を見ていた。いいえ、私が、クロの姿をしているのだ。
ど、どーゆうこと? ゆ、夢? 夢よね。このもふもふした自毛の感触も、ソラマメの香り漂う肉球も、全部脳内フィクションと、そーゆーことよね。きっと私はあったかいベッドの中で、こんなおかしな夢を見ながら、うんうん唸っているのよ、きっと。なかなか楽しい経験ではあったけれど、もう十分だわ。醒めろ、夢! そして起きるのよ、私!
ぺしぺしと自分の頬を肉球で叩く私を、「私」はベッドの上に放り出した。宙を飛ぶ感覚。反射的に身を捩って着地したベッドの感触。リアル過ぎて、夢と思うのを諦めそうになる。それに、今「私」の姿を取っているのは誰なのかしら。誰っていうか、もちろん、私、よね? 私を見下ろす「私」は、殺気のこもる、険しい表情を浮かべて言った。
「佐絵馬・・・。貴様、大掛かりな術を使いおって。どういうつもりで猫に変化したのか知らぬが・・・。しかも、この部屋はどこか? 自ら逃げ場を失うような真似をして、いったい何を企んでいる?」
「ちょ、ちょっと待ってよ。何? なになになに? サエマ、って人の名前? 狐とか、術とか意味分かんないけど、あなた何か知っているの? そもそも、私の姿をしているけれど、あなた私じゃないわよね。」
思わず口走ったけれど、猫の言葉が人に通じるわけがない。
「猫に化けても人語は話すか。」
あれ、通じてるっぽい。
「とぼけるな。洞に入ってお前を追い、ここに来た。俺の姿がこのように変わり、また、人語を操る猫が目の前にいる。このような怪異、お前の仕業でなくして、何であろう。」
「何であろう、って知らないよ、そんなこと。私の方こそ説明してほしいわよ。」
「問答無用! お前を殺さば、術も解けるであろう。覚悟しろ、佐絵馬!」
激しく殺気を帯びた「私」が手を伸ばしてくる。私は慌てて身を翻し、逃れて言った。
「ちょっと待ってってば。私はそのサエマとかじゃないし、意味分かんないよ。あなた、いったい誰? 私の身体を勝手に乗っ取らないでよ。」
「乗っ取る、だと? お前が術をかけたのではないか。盗人猛猛しいにもほどがあるぞ。観念しろ!」
は、話が通じない・・・! 盗人はあんたでしょーが、と言い返す間もなく、私は、「私」の股の間をくぐったり、机の下に潜ったり、ばたばたと部屋の中で逃げ惑う。散々逃げ回ったものの、とうとう部屋の隅に追い詰められてしまった。「私」は肩で息をしながら、
「往生際の悪い。俺の姿を変え、自ら猫に化けるなど、何がしたかったのかは知らぬが、ここで始末をつけさせてもらう。覚悟。」
と言う。「私」の目が据わった。「私」がこんな顔をするなんて・・・。感情を示さない顔の中で、目だけが異様な決意に染まっている。私は、こんな姿で殺されるのか。へたり、と身体から力が抜けるのを感じた。「私」の手が私の首にかかる。窒息・・・。その手に、力がこめられた時、部屋の中に大声が響き渡った。
「待てっ!」
「私」の手が、びくっと反応して私の首から離れ、私はベッドの上に着地した。「私」と私は、室内を見回すのだけれど、私達以外に人の気配はない。
「その猫はサエマとかいう奴じゃねぇ。殺しても無駄だ。」
また、声がする。声が聞こえる、というより、頭の中に直接響く感じだ。「私」は、私の首根っこをつかんだまま立ち上がって、周囲を警戒しながら言った。
「何者だ。姿を見せろ。」
「姿なら見せてるだろ。」
「何?」
見せているって? どこ? 謎の声は言った。
「ここだよ、ここ。窓辺の、鉢。」
窓辺の鉢って、手のひらに収まる小さなサボテンを窓際に置いてはいるけれど。
「まさか、サボテンが? 喋ってる・・・?」
「そうだよ、さくら。俺だ、俺、俺。」
サボテンに俺、俺、言われても・・・。
「さくら。それから、さくらの中の奴、あんたが誰だか知んねーが、そいつを放してやれ。その猫に入っているのは、あんたが今いる身体の持ち主だよ。」
「何だと・・?」
「私」はなおも警戒を解かないが、ぺらぺらと喋るサボテンの言葉を無視したものか、そもそも、喋るサボテンという冗談にもほどがある以上、かえって信憑性が増すような、とでも考えているのか、サボテンと、手にぶら下げている私を交互に見比べている。「私」は、ぐいと私を目線の高さまで持ってきて言った。
「おぬし、佐絵馬ではないのか。」
「そうだって言ってるでしょう。」
「では、何者だ。」
「桜野原さくら。少なくとも、そのサエマって人じゃないのは確かよ。」
「む・・・。お前は何者だ。」
「私」はサボテンを睨みながら、その正体を問いただした。
ああ、そう言えばそーだ。育てて二年になるけれど、今まで一度だってサボテンから語りかけられたことはない。覇王樹(※サボテンのこと)だけに、信長と呼んで勝手に擬人化してはいるけれど、話しかけるのはいつだって私からだ。人生って何だろう、って何気なく聞いた時も、沈黙が、その答えだった。つまり自分で考えろと。そういうものなんだと、信長の沈黙を私は勝手に解釈していた。
窓辺の信長は、自信ありげに言った。
「何者って、そりゃ、俺は俺だよ。な、さくら。」
信長は、私に向かって? さも、その正体を私が知っているかのような言い方をする。
「な、とか言われても・・・。誰?」
「ええ? いや、俺だって。長年連れ添ってきたんだから、分かるだろ。」
「分かんない。」
「分からないだと! いつも傍にいたじゃねーか。」
「ああ!」
「ほら、な。分かっただろ。」
「信長!」
「ちげーよ。」
かくっ、とサボテンがうなだれたように見えたのは、気のせいだろうか。
「こいつは無口なんだから、こんなに喋んねぇよ。俺だ。ブラックローズだ。」
「クロ! 信長になっちゃったの?」
「サボテンになったっつーか、こいつに押し込められたって方が、正しいみたいだな。」
「押し込められた・・・。って、どういうこと?」
「整理するとだ。さくらの魂的な何かが俺の体に移り、俺の魂的な何かがサボテンに移った。この世でそんなことが本当に起こるのかどうかは別として、ところてん式に押し出した元凶、今まで綺麗に収まっていた「型」から俺達の魂を押し出したのは、誰だってことだ。」
「ちょっと、ちょっと。整理するって、全然整理になってないわよ、クロ。魂的な何かって何よ。押し出されたって、そんなことあるわけないじゃない。」
「あるわけあるもないも、実際、そーなってんだから、そーだろ。事実を見ろ。そうあってほしくないという願望で現実を否定するな。あるわけないって、経験上否定するつもりなら、やめておけ。初めて起こった出来事ってのは、経験から照らせばぜーんぶ、あるわけない、に納まりもするが、それは事実を見据えないぼんくらのやることだ。」
「むぐっ・・・。」
やたらと偉そーなこの態度。主人をぼんくら呼ばわりするふてぶてしさ。言葉を交わすのはこれが初めてだけれど、間違いなく、クロの態度そのものだ。クロは、さっきから黙っている「私」へ言った。
「そんで、そこのさくらもどき。お前はいったい、何者だ。」
さくらもどきって、きのこみたいに言わないでほしい。私もどき、いえ、私の姿をした、私でない「私」は、きっ、とクロを見つめて言った。
「俺は繁藤国重という。」
シゲトークニシゲ。何だか、時代掛かった名前だ。
「先ほどからおぬしらの話を聞けば、佐絵馬がここにいるとは思えなくなった。」
私は、「私」を見上げながら、
「だから、何度も言ったじゃん。そのサエマって人じゃないって。」
と、口をとがらせて言った。
「む・・・。すまん。」
さっきまでの強硬な態度とは打って変わって、すぐにシゲトーとかいう謎の人格は謝った。素直なところもあるみたいね。私は、ぴょい、と窓際に飛び上がり、クロの隣に座って言った。
「シゲトーって、言ったわね。そのサエマって人を追ってるみたいだけれど、事情を話してよ。それに、私達の魂的な何かが、こんなことになっちゃった理由も、知ってるんじゃないの?」
シゲトーは少しの間、黙って考え込んでいたけれど、どっか、と床にあぐらをかいて腕組みをし、背筋をぴんと張る。自分の姿でそういう格好をされるのも、何だか違和感がある。シゲトーは言った。
「いいだろう。おぬしらが佐絵馬ではない以上、無関係であるのに、巻き込んでしまったやも知れぬ。事情を話さぬわけにもいかぬであろう。まず、佐絵馬は人ではない。」
私は猫首をかしげながら言った。
「人じゃないって、じゃあ、何なの? さっき、化けるのがどうとか言ってたけど・・・。」
「狐だ。」
「狐?」
「そうだ。年経た狐は妖力を得るというが、その類いであろう。ゆえあって、その狐を俺は成敗せねばならん。その者の名を、佐絵馬という。」
「へぇー。狐、ねぇ・・・。お化けの狐って、なんか古めかしい感じもするけど、成敗って、殺しちゃうってことよね。物騒な話ね。」
「おい、さくら。」
と、クロが横から口を出す。
「お化けの狐じゃなくて、化け狐だろ。しかも、「狐のお化け」ならまだしも、何だ、「お化けの狐」って。狐なんだかお化けなんだか、はっきりしねーだろ、それじゃあ。」
「うるさいなぁ。細かいこと気にしない。でも、シゲトー。ゆえあって、ってことは、その狐、何か悪いことでもしたの?」
私はクロの横槍をかわして続けた。
「ああ。藩の要人をたぶらかしては、機密を盗んでいた疑いがある。それに・・・。」
シゲトーは、何かを言いかけたけれど、黙ってしまった。班の要人・・・? 何の班だろ。その狐、いろいろやらかしたみたいだけれど、シゲトーの口から、それ以上の内容までは出てこなかった。いわゆる、狐に化かされたってやつよね、きっと。恥ずかしい思いでもしたのかしら。短い沈黙の後、シゲトーは言った。
「いろいろと問題を起こしている。奴をこのまま放っておくことはできない。社の裏、洞の中に追い詰めたまではいいが、その洞を進み続けて気づけばこの有様だ。あの女狐、面妖な術を・・・!」
シゲトーはそう言って、悔しそうに唇を噛む。
「社の裏? 洞・・? なんだかよく分からないけれど、そのサエマって狐を見つければ、この状態から元に戻れるってこと?」
「そのはずだ。」
「そのはず・・・。そのはず、じゃあ困るけど、それで、そのサエマ狐がどこにいるのかって見当は・・・?」
「まったくない。」
堂々と、一分の迷いもなくシゲトーは言い切った。そこまで自信をもって言われると、あきれる暇もない。
「じゃ、じゃあ、サエマが見つかるまで、もしかして、私達、このまま・・・、ってこと?」
嘘だと言ってほしかったが、シゲトーに嘘をついている素振りなど、まったくない。
「そうなる。」
と、素っ気なくシゲトーは言うし、
「まぁ、しょうがねぇだろ。」
と、クロは早くも諦観する始末だった。じょ、
「冗談じゃないわよ! え? 本当に? ほんとに、この猫の姿のまま? ってか、明日学校なんだけど、どーすんのよ。」
クロは、何、分かりきったこと聞いてんだ、と言わんばかりに、
「シゲトーが行くしかねーだろ。さくらの身体は今あいつが動かしてんだから。」
とか言ってしまう。
「いや、シゲトーが行くって、中身全然別人なんだよ。おかしーよ。気づかれるよ、絶対。」
「心配ならお前もついて行けばいいだろ。よかったな、虎や象じゃなくて。猫ならたいていの場所には忍び込めるだろ。」
「よくない! まったくよくないよ!」
「何なら、俺も一緒に行ってやるよ。それならいいだろ。」
それならいい、の意味が分からない。サボテン一個が、この状況を好転させる材料になるとはとても思えない。
「う・・・!」
私は、猫の両前足で頭を抱え込んだ。自分の耳が神経質に、ぷるぷると震えるのを感じる。クロは追い打ちをかけるように言った。
「それとも、突然不登校にでもなって、学校行くのやめるか? 茂の奴、心配するぜー。学校の連中も、何事かといぶかるぜ。登校再開した時も、気まずい感じになると思うがなぁ。」
確かに、お父さんが心配するのは目に見えているし、学校で気まずい感じになるのも嫌だ。ひそひそと、廊下や教室のあちこちから聞こえるであろう憶測混じりの囁きや、好奇の視線に早くも気が滅入る。
諦めなければならない、と思いながらも、なお受け入れるには時間が足りなかった。目が醒めたら毒虫になっていた、というけったいな物語は読んだことがあるけれど、気がついたら猫になっていた、なんて・・・。
自分の身体を他人に明け渡すということは、そのまま、桜野原さくらという私の名前も、人間関係も、社会的な立場も、親指の爪が他の指より早く伸びることも何もかも、全部ひっくるめて他人に預けることを意味した。いや、すでに、強制的に預けさせられた、という状態だ。自分が猫になったことよりも、私という人間を他人に預けていること自体が、私をとてつもなく不安にさせた。
とにかく。その、サエマという狐を見つけなければ、話にならないということだけは確かだ。不安がって解決するなら、いくらでも不安がるつもりだけれど、あいにく、頭を抱えているだけでは、この状況から逃れられない・・か。
私は、のろのろと頭を上げた。
当のシゲトーはといえば、きょろきょろと部屋の中を見回したり、私のくまちゃんパジャマをつまんだりしている。
「ずいぶん見慣れぬ物が多い部屋だな。それに、この筒のような袴。舶来物か知らぬが、おぬし、変わった趣味をしておるな。商家の娘か?」
「変わった趣味って・・・。そんなに変わってるかな。ごく一般的な家庭の、女子高生だと思うんだけど。」
「ジョシコー・・・? 何のことだ? 商家の娘でないとすると、おぬし、どこぞの長者の娘か。葉羅宿にこのような屋敷があるとは、聞いたこともないが・・・。」
「葉羅宿? 違う、違う。ここは葉羅宿じゃないよ。」
どうにも話が噛み合ない。長者て。わらしべ長者じゃないんだから。お互いに首をかしげる私とシゲトーだったが、クロが私に言った。
「おい、さくら。」
「何?」
「元号。シゲトーに元号を聞いてみろ。」
「元号、って、平成とか、昭和とか?」
「そう。」
「元号なんか訊いて、どうすんのよ。」
「いいから訊けって。」
「変なの。あのさ、シゲトー。元号なんだけど・・・。」
シゲトーは、何でそんなことを訊かれるのか見当もつかないといった風に、
「元号だと? 今年は元和六年だが、それがどうかしたのか。」
と、不思議そうに言った。
「ゲンナ?」
どこかで聞いた覚えがある。ベッドの枕元に置いてあるスマホのところまで行って、「ゲンナ」を検索してみる。予想外に、猫の肉球でも操作が可能だった。かなり押しづらいけど、どうにか操作はできる。シゲトーも興味深そうにのぞき込んでいる。
「ゲ、ン、ナ、と・・・。えーと、元号の一つ。元和六年は、西暦で言うと、1620年・・・。1620年! それって、もしかして、江戸時代?」
クロは、やっぱりといった感じで言った。
「もしも何も、江戸時代だよ。シゲトー、お前、江戸時代の侍か?」
「武士であるが、何だ、おぬしら、今年は元和六年であろう。元和五年の間違いだとでも申すか? いや、確かに六年だ。」
小首をかしげ、うなずいているシゲトーに、私は言った。
「一年の間違いをとやかく言ってるんじゃないのよ。今は江戸よりずーっと後の時代よ。」
ショックを受けるかと思いきや、意外にもシゲトーは鷹揚に笑い出した。
「はっはっはっ、何を申すかと思えば。そのような冗談、真に受けると思うてか。いくらこの身が入れ替わるような妖術に合おうとも、四百年近い時を越えるわけがなかろう。おぬしら、部屋も珍妙なら、言うことも珍妙であるな。」
ち、珍妙・・・。私はムキになって言い返した。
「本当なんだってば。今も見たでしょ。これ、スマホ。こんなの、四百年前にはなかったでしょう。」
「変わった墨を入れているようではあるが、硯であろう、それは。」
「す、硯? そんなわけないでしょ。じゃ、じゃあ、これは?」
私は、ぴょんこ、ぴょんこと二度ほどジャンプして、本棚にある漫画に爪を引っ掛け何冊か引き出した。
「こんな漫画本、昔はなかったはずよ。」
シゲトーは、珍しくもなさそうにぱらぱらと中身を開いて言った。
「浮世絵の綴じ本だな。ずいぶん丁寧に作られてはおるが、何も珍しいものではない。」
「あら? じゃあ、んと・・・。」
どうにも、現在が江戸時代ではないと信じてもらえない。どうにかして現実を認めさせたいと考えているところに、クロが言った。
「おい、シゲトー。あんた、どこの藩の者だ?」
「長倉藩だ。」
「ふーん。さくら、長倉藩の藩史て、ググってみ。」
「う、うん。えーと・・・・。ナガクラ藩。幕府設立以前から続く小大名。」
「見せてみろ。」
「見せる、って、信長に目なんてないよ。」
サボテンにスマホをかざすほど意味のないことはなかった。友達の額にICカードをかざすようなものだ。
「いいから。感覚で分かるんだよ。」
「本当? よいしょ、と。」
私は両前足を使って、肉球で滑るスマホをどうにかクロの前に立てた。
「ふん。・・・ははぁ。なるほどな。」
猫がサボテンにスマホを見せているシュールな光景を前に、シゲトーは不審のこもる声で言った。
「おぬしら、懸命に硯をのぞいて何をやっておるのだ。いったい、何がしたい。」
サボテンである以上、クロがどんな表情でいるのかまったく推測できないのだけれど、したり顔的な声で、クロはシゲトーに言った。
「元和五年、あんたにとっては去年のことになるんだろうが、長倉藩の継嗣争いで庶出の子が一人いなくなってるな。表向き病死、となっているが、実際には謀殺された。」
それを聞くなり、シゲトーの顔が、つまり私の顔なわけだけれど、さっ、と険しい表情に変わった。
「おぬし、なぜそのことを。」
「図星か。」
「・・・・間者か、おぬし?」
どうやら、シゲトーの藩にとって、それは他言無用の重大事だったらしい。その秘密を、クロにやすやすと言い当てられたものだから、シゲトーも目の色を変えたのだ。
「違う。史実だ。お前の言うこの硯でぜーんぶ分かるんだよ。」
「そんなもので・・・?」
私は肉球でぽん、ぽんとスマホを操作すると、昨日ダウンロードしたばかりの洋楽を再生して見せた。シゲトーは、
「音が・・・。ゼンマイ仕掛けか・・・?」
と、硯から一歩前進、ゼンマイ仕掛けの小箱へと認識を変えたようだった。もう一押し。お気に入りに登録した動画サイト、コー○にメ○トスを入れる実験を再生した。
「な、なんだ。絵巻が、う、動いておる。どうなっているのだ、これは。」
ふふん。
「ようやく分かったかしら。これは硯でもゼンマイ仕掛けのオルゴールでもなくて、スマートフォン。お父さんの肩もみと、掃除、洗濯、雑草刈り、あらゆるお使いを重ねてようやく手に入れた、汗と涙と現代科学の結晶よ。」
「すまーと・・・? うーむ・・・。どのような仕組みか、これは。」
シゲトーはスマホを手に取ると、裏返したり下からのぞいて見たり、やっと、硯とは次元の異なる物体と理解したみたいだった。けれど、仕組みはと訊かれ、私も言葉に詰まる。
「し、仕組み? それは、なんかこう電波が飛んできて、それをキャッチして、もにょもにょってやると、画像とか音声とかに・・・。ま、まあとにかく、言いたいのは、今が江戸時代じゃないってこと。あなたのいた時代から四百年後の日本よ、ここは。」
「四百年・・・。」
認めざるを得ないその事実に、シゲトーはようやく、ショックを受けたみたいだった。けれど、すぐに、きりりと顔を引き締めて言った。
「いや、ここが四百年後であろうと、身体が入れ替わろうと。俺のやることはすでに決まっている。左絵馬を見つけ出すことだ。」
「切り替え早いわね・・・。」
私がそんな目に合えば、しばらくご飯も咽を通らずふさぎ込んでしまうだろう。
シゲトーは、
「落ち込んで解決するような事態でもあるまい。それに、使命を果たさねばならぬことに変わりはない。」
と、落ち込む素振りすら見せなかった。毎日鏡で見てきた自分の顔なのに、シゲトーの「使命」という言葉を口にする私の姿は、なんだかひどく男前に見えた。シゲトーは私とクロに向かってあらたまると、
「さくらと言ったな。それと、クロ殿か。巻き込んでしまった形にはなるが、四百年も後となってはおぬしら以外に頼る者がおらぬ。すまぬが、力を貸してはくれまいか。」
と言って、ぐっ、と頭を下げた。何で私が呼び捨てで、クロには「殿」を付けるのか、釈然としなかったけれど、そこは黙っていた。私とクロは顔を、厳密にはサボテンのとげとげと猫の額なわけだけれど、顔を見合わせると、言った。
「だって、クロ。」
「まぁ、いいんじゃねーの、手を貸せば。そのサエマって奴を見つけないと、お前も俺も元に戻れねーわけだし、目的と利害は一致してんだ。だいたい、右も左も分からねー現代で、一人お前の身体のままうろうろされても困んだろ。」
「ああ、それは・・・。」
困る。
電車や車、道端の電柱に至るまで、あらゆるものに驚愕しつつ、駅の改札を無理矢理通ろうとして駅員さんに捕まり、騒ぎを起こす自分の姿を想像してみた。元の身体に戻った後のことを考えると、シゲトーに奇行をさせるわけにはいかない。それに、こうも正面きって頼まれると、拒みようがない。私は、頭を下げるシゲトーに言った。
「分かった。そのサエマ探し、私達も手伝うわ。」
「そうか! かたじけない。」
にこっ、と満面の笑顔で笑うその様子は、我ながら爽やかだ。うーん。可愛い。
「あ、でもさ、」
私は思いついた疑問を口にした。
「シゲトーが私の身体で、私はクロの中、クロは信長の中でしょ。そうすると、シゲトーの元の身体って、今どこにあるの?」
シゲトーも、言われて初めて気付いたのか、顔色を変える。
「そうであった。すでにおぬしの姿となっておったから、俺も自分の身体がどこにあるのか知らぬ。」
「それって、結構、致命的じゃあ・・・。」
私は、私の身体が今、目の前にあるのだから、まだいいけれど、自分の身体がどこに行っちゃったのか分からないってゆーのはかなり衝撃だ。人生で失くしちゃいけないものリストの内、愛と正義の次くらいに位置するものだもの。
おろおろする私達を前に、クロは言い放った。
「いいや。それなら大丈夫だと思うぜ。」
「なんで言い切れるのよ。シゲトーの身体が今どこにあるのか、分かるって言うの?」
「ああ、分かる。」
「嘘? なんで? どうやって?」
「感じるんだよ。」
「か、感じる?」
サボテンに備わる、不思議なセンサー的な何かによるものだろーか。
「すぐそこだ。庭先にでも落ちてるんじゃねーの。」
「庭・・・。行ってみよう、シゲトー。」
「よし。」
シゲトーは私を肩に乗せ、さらにクロを手に持つと部屋を出た。
お父さんを起こさないよう、静かに歩くようシゲトーに頼んで、庭に面した一階の大きな窓から、外に出る。月明かりの下、薄い白銀色に染まった庭の植え込みの側に、黒い人影が倒れていた。
「本当にあった。あれね。」
近くに寄ると、正真正銘、本物のお侍だ。身長は多分、私と同じくらいで、意外と小柄なんだけれど、がっちりとした体躯が着物の上からでも分かる。歳は、私よりちょっと上くらいだけれど、若い。私はシゲトーの肩から降りると、さらに近寄って見た。
「死んじゃって、いるのかな?」
恐る恐る、くんくんと匂いを嗅ぐ私に、クロは言った。
「いいや、死んではいないはずだ。間隔は長いが、呼吸もしてるだろ。」
確かに、三十秒ほどの間を置いて、静かに呼吸をしているみたいだ。でもこれ・・・。シゲトーも同じことを考えたみたいで、言った。
「これを、どうするか・・・。このまま野ざらし、というわけにもいかぬな・・・。」
「そうよね。だいたい、これじゃあ、殺人現場よ。警察が来ちゃうわ。」
民家の庭先に謎の変死体。撮影現場から失踪か。新聞の三面を飾る見出しが脳裏をよぎった。地中に埋めちゃうわけにはいかないし、リビングに置いておく? お父さんに何て言い訳しよう。友達がちょっと意識を失っちゃって、しばらく置かせてほしいの。あ、この着物は気にしないで。大学の演劇部なんだって。と言ったところで、すぐにお父さんから、気にしてるのはこの人の服装じゃないよ、さくら、なぜ意識を失った友達がここに放置されているかってことだよ、と、つっこまれるのは確実だ。物置、床下、天井裏、壁の中、冷蔵庫と、隠し場所をいろいろ考えるのだけれど、人の身体を隠すって、意外とたいへんかも。
悩む私に向かって、クロが言った。
「そんなに悩む必要ねーだろ。さくらの部屋に置いときゃいーじゃん。」
「私の部屋って。」
「ベッドの下にでも収納しとけばいーだろ。」
ベッドですやすや眠る女の子の下で、ちょんまげの侍が横たわっている横から見た図解を想像した。
「どこの世界に、自分のベッド下へ侍を収納する女子高生がいるってゆーのよ!」
「死体じゃねーんだ。腐りはしなそうだし、問題はないだろ。」
「そこが問題なんじゃなくてさ。」
「じゃあ、何が問題なんだ。」
「茜が来たときとか、何かの拍子にばれるかもしれないでしょ。」
「ばれやしねーよ。ばれたら困る秘密を抱くことこそが、人生を深めるんだよ。人は何かに隷属しても、胸に宿す秘密においては限りなく自由だ、ってね。」
「なんかかっこいい感じに言ってるけど、ばれて困るのは私なのよ。私の部屋なんだもん。」
「死ぬ気で隠せ。起こる前から心配しすぎるのは杞憂ってもんだ。」
この猫は・・・! いい加減なんだか、物事を達観してるんだかよく分からないけれど、こうまで断言されると、他に良い案のない以上、受け入れざるをえなかった。
「分かったわよ。ベッドの下に隠してもいいわよ。」
シゲトーは私を見ながら、
「べっどとは、先ほどの寝床のことか。いいのだな、あの下に置いても。」
と、念を押すように言った。
「あんまりよくはないけど、あそこ以外にあなたの身体を隠す場所なんてないもの。しょうがないわ。」
「承知した。」
シゲトーはそう言って、繁藤国重、その人の身体を起こしにかかる。
「む・・・? ぬぬ・・・! さくら、おぬしの身体、ちと力が足りぬぞ。もっと鍛えろ。」
シゲトーは真っ赤な顔をして力を込めながら、自分の身体を引きずっている。
「鍛えろって言われても。私、運動苦手だし、本職のお侍さんに求められる筋力というのもハードル高すぎよ。」
「ぬぅぅ・・・。であれば、俺が、鍛え、直さねば、ならんな・・・!」
「いや、あの、そんなに鍛えなくても。足とか太くなっちゃうし。」
私の言うことに応える余裕も失って、ぜいぜい言いながら、シゲトーは家の中へと身体を引き上げ、さらに階段を上る。たっぷり十五分はかけて、ようやくベッドの下にシゲトーの肉体を押し込んだ時には、すでに外が明るくなり始めていた。シゲトーはぱたぱたとパジャマの胸元から風を送り込み、ベッドに座って息を整えている。
私は窓の外を見ながら言った。
「もうこんな時間ね。服の着方とか、いろいろ教えないといけないから、もう学校に行く準備した方がいいかも。服の着方・・・。服・・・?」
自分で言いながら、私はたいへんなことに思い当たった。シゲトーの元の身体や喋り方からいって、彼が男であることに間違いはない。けれど、今は私の身体を使っている、ってことは着替えとか、お風呂とか、お、おトイレとか、なんとかかんとか・・・、ど、どうしよう。テレビで言ってた、肉体と意識上の性別が食い違っちゃう、トランスジェンダーって状態だ。いや、それどころか、中身は完全にあかの他人だ。乙女の柔肌に関するプライバシーが、完全に崩壊している。私はクロに言った。
「ね、ねぇ、クロ。」
「なんだよ、さくら。」
「シゲトーは男でしょ。でも、私の身体を使ってるのよ。」
「・・・だから?」
「だからって・・! 見られちゃうじゃない! は、裸とか・・・。」
「ふん。まぁ、確かに問題ではあるが、どうしようもねーよ。羞恥ってのは、それが恥ずかしいことだと考える認識に依存するんだ。禁断の実を食べた奴らみてーにな。」
「・・・つまり?」
「さくら、お前が恥ずかしいと思うのをやめれば、それですべて解決だ。」
「解決になってないわよ! うう・・・。まだ、彼氏にすら見せたことなかったのに・・。」
「お前、彼氏なんていたことなかっただろ。」
「う、うるさいな!」
シゲトーは、自分の身体を運び上げて暑いのか、パジャマの第二ボタンまで外して、広く胸元を開けながら言った。
「どうした、さくら。何か問題でもあるのか。」
「ありまくりよ。」
「何がだ。」
「だって、シゲトー、男でしょ。でも身体は私の・・・。私のプライバシーっていうか、そういうの、全部失ったようなものよ。」
「ぷらいばし・・・? 恥じらい、ということか? いったい何を気にするというのだ。」
と、言いながら、シゲトーは恐らく無意識に開けていたであろうパジャマの胸元をのぞく。
「見ないでよ!」
「見ないで・・? なぜ・・・?」
「なぜって・・! そんな平然と・・・。」
「この程度のこと、別に気にする必要もないであろう。毎日、風呂では裸になる。」
「いや、裸にはなるけど・・。この程度のこと・・・?」
何だか、話が噛み合ない。
クロが、何かに思い当たったみたいに言った。
「ああ、そういや、江戸時代は風呂もほとんど混浴だったらしいな。」
「ええ? こ、混浴? って、男の人と、女の人が、一緒にお風呂に入るっていう、アレ・・?」
シゲトーが不思議そうな顔をして言った。
「風呂は男も女も、ひとつ場所で入るものであろうが。女子の裸身など、毎日見ておる。今さらおぬしのような小娘のモノなど、珍しくもない。」
「モノとか言わないで・・・。ク、クロ、これはいったい、どう解釈したらいいの・・。」
「そうなぁ。当時と現代じゃ、その辺の男女の性差に対する認識が違ってるってことだろう。当時の方が、今よりおおらかだったってことだ。」
「つまり・・?」
「さくら、やっぱりお前が恥ずかしがらなければ、それで解決ということだ。」
「解決・・・・。」
どうにも釈然としない様子の私へ、シゲトーが言った。
「では、おぬしも俺の裸身を見るなりすればよいではないか。それで引き分けとなろう。」
「意味分かんないよ。何で私がシゲトーの裸をわざわざ見なきゃいけないの。」
「ではどうしろと言うのだ。」
「分かんないよ、そんなの。」
私はそう言うなり、視界が涙で歪むのを感じた。ぽたぽたと、大粒の涙が落ちる。今更ながら、自分の身体が他人に、しかも異性に、その主導権を奪われた深刻さを思うと、涙が止まらなかった。うつむいて泣いていると、私の頭に手が触れる。包み込むように優しく撫でながら、シゲトーが静かに言った。
「すまぬ。おぬしを傷つけるつもりはなかった。俺は今、いわばおぬしの身体を借りる身。突然巻き込まれたにも関わらず、佐絵馬探しに手を貸すと約してくれたおぬしへの恩義にかけても、この身体をないがしろにするつもりはない。どうか、分かってはくれまいか。」
見上げて合ったシゲトーの目は、真剣で、真摯で、優しくて、嘘やごまかし、その場逃れの言い訳なんかちっとも感じさせない、まっすぐなものだった。それで恥ずかしさが消えたわけではないけれど、少なくとも、シゲトーがすごく真面目に私の気持ちを理解しようとしてくれたのは分かった。
こんな状態になってしまった以上、シゲトーにとっても今すぐどうにかできる問題じゃない。唯一できることは、相手の境遇や気持ちを思いやるだけなわけで、今はシゲトーの言葉を信じるしかなかった。私はこっくりとうなずいて、泣くのをやめた。
クロは空気を変えるように、わざと明るい調子で言った。
「よし。そうとなれば、さっさと準備だ。茂や学校のダチなんかについて、予備知識も詰め込んどいたほうがいいだろう。サエマ探しの手掛かりも探す必要があるだろーし、忙しくなるぜ。」
カーテンから朝日が差し込む。スズメの鳴き声を聞きながら、今日の一限目は大好きな日本史なのを思い出した。




