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プロローグ
何という夢だろう。十二歳の頃の自分の夢だなんて。
リオウは閉じていた瞼を開いた。いくら自分の部屋とはいえ、暗殺者である自分が転寝をしてしまったのかと夕刻を差す時計の針を見て少し驚く。
本家にいる時ならばまだしも、リオウは本家を離れてひとりで暮している。職業柄奇襲されても文句は言えないのだが、それを選んだのはリオウ自身だ。生活には気を付けている。
しかし実際には転寝をしてしまった。少しではあっても気が緩んでしまったのかもしれない。
リオウは時計から視線を動かし、目を細めた。
「……誰?」
自分の部屋に入り込んでいる不可解な少女にリオウは言葉を発する。少女と言ってもリオウとそんなに離れている訳ではなさそうだと、少女の目を見てリオウは思い直した。
「おはよう」
リオウの問いかけには答えず、彼女は情のこもらない声でそう言った。段々と日が傾き、リオウの部屋の中も徐々に闇の面積が増え、リオウの時間の訪れを告げる。その光の加減の中、彼女は長い前髪を細い指で横に流した。
瞬間。
懐かしい香りと見覚えのある少女の面影を見つけてリオウは僅かに動揺した。
「……レン、か……?」
「ええ。お久し振り、リオウ〝様〟」
リオウの目の前にいたのは幼い日に初めてできた友人であり、初めて恋心を抱いた少女だった――。




