第六騒動 Let's侵入♪
はい、とゆーわけで(何が?)何か怪しさ満点のお城に辿り着きましたぜベイベー。あ、森の中通り抜けるの早すぎるんじゃないかって人いるだろーな。とんだ間違い。ホントは半日かかってやっと抜けれたんだ・ぜ☆いやね、途中で熊出るわ、でかい虫出るわ、蛇出るわトカゲ出るわ変なオッサン出るわetc…と、まぁ結構出てきたんだよね、ホント。でも全部ぶっ飛ばして爆進してたら森出ちゃった♪ってゆーこと。フィリア曰く、普通この森抜けるのに最低でも一週間かかるらしい。じゃ半日で抜けれた俺ってスゴイな。
「ソウジロウさんてスゴイんですね・・・。」
テレパシー?
「ま、こんなの軽い軽い♪富士山の樹海に迷い込んだよりも軽い。」
「フジサン?何ですかソレ?」
「日本一高い山。」
「????」
しまった、日本知らねぇんだった。
「ま、それは置いといて。」
「置くんですか?」
はい、置くんです。
「で・・・これはいかがいたしましょうかい?」
今俺らは、お城から少し離れた所にある茂みに隠れている。隠れるわけはというと、馬鹿でかいお城に合わせて馬鹿でかい門の前に結構な数の兵士さんがいるわけなのですよ。しかも傍らに宿舎みたいな建物(俺ん家よりかは小さい)が建っていて、そこから兵士さん達が出入りしてるんですよ。んでもって宿舎二つもあるんですよ?ついでに全員揃いも揃って同じ鎧。銀色。まさに中世ヨーロッパ的な臭いがプンプンするぜ。この世界、ホントにファンタジーだな。いやまさか異世界が本当に中世ヨーロッパみたいな感じとは思わなんだ。そこ驚き。俺としては魔力ってのがあるんだから魔法でもドカーン!と見せてもらいたいもんですな。あ、今そんなこと考えてる場合じゃねぇや。とにかく、こんだけいるとさすがにヤバイ。軽く二十人超えてるぞ。プラス小屋の中も考えてみると余計ヤバイって。まぁ俺にかかればあっという間に片がつくが、騒ぎを聞きつけて城の中から援軍なんぞ呼ばれたらさすがに敵わん。俺にだってスタミナというもんがある。まぁ日本一周を三日でやり遂げるくらいの自信があるがな(すでに化け物)。とりあえず正面突破はポイ。この言葉大好き♪
「正面突破は絶対に無理ですし・・・いくらソウジロウさんでもあの人数では・・・。」
「お前、俺の思った事そのまんま口にするね。」
「はい?」
「それも置いとこう。」
「はぁ・・・。」
フィリア、疲れた顔すな。
「で?電波じゃなかった魔力はどっから来てるのかわかんのか?」
「あ、はい。えぇと・・・あそこです。」
フィリアが指差した所は、お城の中?に聳え立っているでっかい塔。そこの一番上ときた。
「高ぇな。」
「えぇ、でもあそこに間違いはないんです。」
そう言うものの、フィリアの声は絶望的だ。だが・・・。
「でも大した事ねぇな。」
「へ?」
「付いて来い。」
俺はフィリアの手を引いて声を潜めて歩き出した。もちろん、茂みの中通って。城を大きく迂回し、城の真後ろにまで来た(城でかいからここまで来るのに10分かかった)。ついでだから言っておこう。この城の周りは、全て木で覆いつくされていて、さながら森の牢屋っていうのがしっくりくるくらいすごいのなんの。つまり、俺らが大きく迂回する際、わざわざ茂みからひょっこり顔を出さずに移動できたって事。でもこれはあれだな。何てゆーか脱走してもどうしようもないなこりゃ。満身創痍の状態の奴なんか、森に入った時点でどうすることも出来ず、餓死か熊に食われてはい、お陀仏って事になるだろーな。くわばらくわばわ。
「さて、俺らは城の裏側に来たわけですが・・・。」
「はい。」
「俺らの目の前に何があるかわかりますか?」
「え?えっと・・・。」
フィリアが見上げる先は、お仲間が捕らわれていると言っていた高い塔。それが目の前にある。見上げるだけでも首が痛くなるくらいの高さだ。
「塔・・・ですよね?」
「とう(そう)です。」
「・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・。」
五分経過
「・・・冗談だ。」
「・・・はい・・・。」
「で、だ。俺が今から言う事に口出しは一切無用。言っても殴らんが、これしか方法がないからな。」
「はい。それで、どうやって?」
「簡単。登る。」
「・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・。」
また沈黙。
「言っとくが、冗談じゃないぞ。」
「で「口出ししたら助からないって言ったろ?」
言う前に黙らせた。子供じゃなかったら殴ってまで黙らせるが、子供を殴るという行為はいただけない。それじゃあ俺のプライドが許さない。
「・・・。」
「助けたいんだったら、俺を信じろ。いいな?」
「・・・はい。」
「よっし、んじゃあ俺の背中に乗れ。」
俺が屈むと、フィリアがおずおずと俺の背中に乗った。俗に言うおんぶだ(俗に言わんでもわかるわい by作者)。俺は茂みから出ると、辺りを見回した。よし、誰もいねぇ。で、俺はささっと塔の裏側、まぁあえて言うなら塔の真下の城壁にしがみついた。この城は全部石を敷詰めた感じで出来ているから、掴む所はいっぱいある。しかも隙間が大きいから、これなら難なく登れる自信がある。
「じゃ、落ちないようしっかり捕まってろよ。」
「は、はい。」
ちょっと緊張気味な返事が返ってきた。それに気にせず、俺は石の隙間に足を掛けた。そして今度は手を上にある石の隙間に突っ込んだ。それを交互に繰り返していくことにより、だんだんと体が上昇していく。言っておくが、俺は山にある30メートルの崖を登ったことがある。
お前は化け物か!?と言う奴、名乗れ。俺がヘッドロックかましてやる。
「よ〜いしょ。う〜んしょ。」
こんな掛け声を上げつつ、俺はすでに塔の下部分まで上ってきたようだ。それでも結構風がキツイ。もっかい言うが、ここは森の奥深くだ。小雨がまだ降っていて時々手が滑る(その度に背中から小さく悲鳴が聞こえる)し、微妙に霧が辺りを覆っていて視界がうまくきかん。しかもちょっと薄暗い時間だから余計視界が悪い。まさに最悪だが、こんなの崖登りに比べたら屁のカッパ。
「大丈夫かぁ?」
俺は背中のフィリアに声を掛けた。
「は、はい・・・。」
登る前より元気がない。腕も何か震えている。力の限界が近いのか、それとも寒いのかわかんねぇが(気温は高い位置にいるから寒い。ついでに下界も寒い)、俺はさっきよりもペースを上げて登り続けた。
それにしても、ソウジロウって何か人間離れしてますよね?そう思うのって自分だけでしょうか?自分のキャラだけど。