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第十三騒動 神でも悪魔でも止められない女の真剣勝負!!

ソウジロウ視点です。





いろいろあったけど翌朝・・・。





「フィリア起きろ〜。」


ユサユサ


「ふぇ・・・?。」

目を擦りながら間抜けな声で起き上がったフィリア。サキが幼少時代に着ていたピンクのチェック入りのパジャマを着ている。何でそんなモンをサキが持ってるのかは謎だ。そうしとけ。


「リリスも起きろ〜。」


ユサユサ


「ん・・・。」

一般男子99%が『色っぽい』(残り1%は俺)と答えるような声で起き上がったリリス。フィリアとは色違いの青のチェックのパジャマだ。これもサキの。ついでに亜麻色のお下げ髪も今はほどいてロングヘアーになってる。


で・・・。


「スー・・・スー・・・。」

「クー・・・。」


まだ夢の中のかしまし娘ども(サキとメル)・・・。


「起きんか寝ぼすけ共。」


ペチン ペチン


「「〜〜〜〜!」」

起きたと思ったらいきなり丸まって顔を抑えている二人。そんな強く叩いたわけじゃないんだがな?まぁしいて言うなら軽く岩が震える程度の強さだぞ?

「いっつ〜・・・何すんのよアンタ!」

メルが抗議してきた。因みにパジャマに柄はなく純粋なピンクだ。ついでにこれもサキの。

「お前らは声かけても起きそうにない予感がしたから。」

「予感!?ってことは声さえかけてないの!?じゃフィリアとリリスは何で普通に起きてんの!?」

「こいつらはまともに起きそうだったから。」

「何その偏見!?」

「やかましい。もっかい夢の世界に行くか?」

「全面的に謝罪させてください。」

「よし。」

いろいろうるさいメルを黙らせて、また寝そうになったサキにもう一発ビンタして無理矢理起こす。着替えるように言っておいて、今度はトオルの部屋へ。あいつの部屋はいろんな意味で戦場で、どこで寝るのかわかんねぇってくらいだが(ようは汚いってこと)、いろいろ工夫し寝れるスペースは一応確保しているらしい。で、その場所はっつーと・・・。

「よいしょ。」


ドゴッ


「!!!??」

押入れの襖を思いくそ蹴りつけたら、驚いたトオルがバンッ!と襖を開けた。ドラ○もんですかアンタ。

「起きろ。そして着替えろ。一階に下りろ。」

言いたいことを並べただけのセリフを私服のまんまぼけっとしている自称天才バカことトオルに言っておいて汚い部屋を出た。今度は本物のバカことマサシの部屋・・・あいつの部屋にはあんま入りたくねぇなぁ・・・とりあえず無意味だと思うけど、奴の部屋をノック。


コンコン・・・。


「・・・。」


やっぱ寝てやがる。


「おらぁ!!」


ズドゴン!!!


「ほぎゃあ!!??」


扉を蹴破ると、素っ頓狂な声を上げながらベッドから飛び起きたマサシくん。パジャマはかわいい熊の顔が柄になっている青パジャマ。キショイ。

「い、今さりげなく悪口を・・・おがはぁ!!」

人の思考を読もうとしたバカには、飛び蹴りで目覚めさせるに限る。にしても相変わらずこの部屋は・・・どんだけ光らせればいいんだよ。何かあちこちにCDぶら下がってるし、プラネタリウムみたいな球状のモンがくるくる回ってるし・・・因みにCDを庭にぶら下げるとカラスが寄ってこないんだってさ。知ってた?ついでに何でこんなに光り物ばかり置いてあるのかというと、何でも暗いのが嫌だという。アホか。

「ふぅ・・・さっさと降りてこいよ。」

白目剥いた状態で痙攣しているバカに言っておいて部屋を出た。眩しくていられたもんじゃない。因みにカイルとジュードは俺の部屋で寝ていた(パジャマは俺とマサシの物で、カイルが俺ので普通の青(Lサイズ)、ジュードのがマサシので純白(LLサイズ、マサシが見栄張って買った)だった。因みにトオルは私服で寝るからパジャマがない)から普通に起こして今は一階にいる。いやぁ、うちの奴らにその目覚めの良さを教訓にさせてやりてぇですわ。

「さて、朝飯朝飯♪」

一階に下りてキッチンに入って朝飯を作るためにコンロに火を点けた。しばらくすると、パジャマ姿のまま女子郡と私服姿のトオルが降りてきた。バカのマサシは上でまだ寝て(気絶して)いた。



朝食後、緑茶を淹れて全員に配った(マサシもさっき目覚めてメシ食った)。俺ら一家はまぁ大丈夫だったが、メル達は揃って渋い顔をした。味の感想は「苦い」とのこと。あの苦さの奥にある甘みに気付かんとは・・・やはり初心者にはわからんか。

「でも目が覚めるねコレ。」

おお、フィリアが意外な発見をした。緑茶の中に含まれているカフェインが原因だからだろうな。それに気付くとは、やはりお前は精神年齢的にも大人なんだろうな。今度から少しご飯大盛りにしてやろう。

「さて、朝のニュースでも見るか。」

俺はおもむろにテレビのリモコンの電源を入れた。プツンと音がしてふと気付いた。

「なぁトオル?」

「ん?」

「今気付いたんだけどさぁ、ここ異世界なのに何でガスと電気と水道が繋がってんの?」

いや、ホント今更だよなぁと思う。普通昨日気付けっての。

「ふふふ、よくぞ聞いてくれました。実はこの家にもちょっと改造を施していてね、電気は太陽電池で、水道とガスは家に内臓してある永久式水道管とガス管をかね添えているのだ!そんでもってテレビとかの電波は、クローゼットくんの機能を応用して異空間から電波を受信できるようにした!どう?どうよこの発明!?」

「あ〜、今回は誉めてやるから顔近づけるな。息が臭ぇ。」

「ひっど!!」

前から思ってたけどこいつの説明とかって大げさなんだよなぁ。作者も書いてて何か恥ずかしいっつってたし(裏話)。まぁそれはそうと、注目すべきなのは・・・。

「うわ!?何コレ何コレ!?何で人がこんな箱ん中で動いてるの!?」

テレビ見て一人騒いでるメルと、固まる他四名。この世界にはテレビもないのか?情報とかどうすんだよ。まぁ今はどうでもいいか。あ、今丁度朝のニュースやってる。トオルの言う通り、あっちの電波がこっちに来てるってことだな。写ってるのもうちらの世界の物だ。

「朝のニュースです。今朝東京都荻町にある一軒家が、跡形も無く消えているとの通報が、近辺に住む住民から入りました。」


ブゥーーーーーー!!!


メル達を除く俺を含む一家全員が飲んでいた茶を一斉に吹き出した。

「こちらが現場です。今現在では家があった場所とは思えない程綺麗になくなっていますが、近辺に住む住人は全員、ここに家があったと言い張っており(ニュースで言っていいのかこんなセリフ?)、警察は捜査を進めております。この家に住む坂本 宗次郎さん(17)と、同じくこの家で同棲していた河本 沙紀(16)さん、樫本 徹さん(18)、清水 正志さん(17)が行方不明となっており、こちら側の捜索も進めているもようです。専門家も、今回の事件に関して頭を抱えている状況です。次のニュースです。現在、ホモ疑惑があるお(プツン)。」

とりあえずテレビ消した。『ホモ疑惑のあるお・・・』から先が超気になったが、全員の顔色が悪くて今はそれどころじゃない。

「・・・えらいことになっちまったな。」

珍しくマサシが真顔で言った。

「そう・・・ね。」

サキが呟いた。

「ふふふ・・・俺の科学力が専門家さえも上回るとは・・・これはもう俺は天才と認めざるを得ないな・・・ふふふふふふふ・・・。」

・・・一匹バカがいた。


バキ!!


てなわけで、バカことトオルくんにビー玉投げつけて黙らせておいてと・・・。

「さてと。どうするか考えねぇとな。」

「何を?」

「元の世界に帰る方法を探すこと。」

だってさぁ、このまんまだと俺らの事で話題になっちまうじゃん。んで何ヶ月か何年か経ったら忘れられるかもしんないじゃん。それってやばいじゃん。いろいろ。理由は知らん。

「まぁまずこの森を抜けるのが先決だよな。」

「そうだけど・・・どうやって?」

「・・・。」

確かにこの森さえ抜ければ何とかなるだろうが・・・この家はどうするか。ここに置いとくわけにもいかないし、かと言って持ってくことなんてできない・・・あ。

「起きろテメェ。」

「ぐはぁ!」

いい事思いついたんで寝ているバカをエルボードロップで起こす。

「テ、テメェソウジロウ〜・・・。」

「トオル、今回だけお前を天才と見込んで頼みがある。」

案の定、ピクリと反応するトオル。こいつ案外単純だ。

「・・・何だい?ワトソンくん。」

「誰がどっかの助手だ。」

いかんいかん、ツッコミ入れてる場合じゃない。

「いいか?ゴニョゴニョゴニョ・・・。」

小説って便利だ・ね☆

「ふむ・・・ふむ・・・よし!この天才トオル様に任せろ!」

とか言って、二階へと騒々しく駆け上がっていった。今回はあいつの腕に頼るしかないな。嫌だけど。

「さて、皆着替えろ。そしてまたここに集合。今日することについて話す。」

「今日すること?」

「一番遅かった奴はお仕置きな。」

条件付けると全員かなり慌てた様子で部屋へと戻っていった。さて、じゃ俺も着替えるか。


で・・・。


「では今日の予定を発表する。」

全員それぞれの服に着替えてテーブルを囲んで座っている。俺は昨日、白いジャケットを着ていたが、今日は黒のジャケットだ。大してファッションとか気にはせんタイプでな。サキは動きやすそうなボーイッシュな服、マサシは何かお洒落してるつもりかラフな格好。二人共服装説明するのメンドイ。メル達は昨晩と同じ服。少し汚れているから今度洗ってやろう。ついでに、この家の大バカくんことマサシは、一番集合に遅れてきた挙句、さりげなく誤魔化そうとしたのでビンタを二発(俺から)食らって傍らで伸びているのはこの際、目をつぶろう。

「え〜、まず俺はカイルとリリスを連れてこの森の周りを少し調査する。メル曰く、カイルはメンバーの中で一番地理に詳しい事から抜擢させてもらった。リリスも治癒魔法とやらが使えるから、まぁ念の為に。この辺の地理を詳しく知った上で行動を開始しようと思う。ついでに俺が行く理由は、散歩気分だ。」

「それ理由なの!?」

メルのツッコミ。それをスルー。

「で、残った奴らはこの家の掃除。隅々までよろしく。」

「「「はぁ!?」」」

復活したマサシとメルとサキが素っ頓狂な声を上げた。やかましい。ボリューム下げろ。

「何でいきなり掃除なのよ!?」

「そうよ!納得いかない!」

「正当な理由を求める!!」

あ〜・・・ホントうるせえ。得に最後の。マサシ。お前何様のつもりかそして何だその命令口調は。裁判か。つーか裁判でも言うのかそのセリフ。俺が知ってるのは『異議あり!』か、『判決を言い渡す』ぐらいしか知らん。

「理由は簡単。俺がいない間、少し埃っぽくなっちまってるから。家はつねに綺麗にしねぇとダメだかんな。ついでに文句ある奴、手ぇ挙げろ。その腕叩っ斬る。」

「「「文句ありません!」」」

冷や汗ダッラダラ垂らしながらビシリ!と姿勢を正す三人。最初はなっからそうしろ。

「ってなわけで各自行動開始。あぁ、それと俺が帰ってくるまでに掃除終えてない奴及び、サボってる奴いたら顔面グーじゃすまさんぞ。」

『イエッサー!!』

全員気合の入った返事!いつもそれぐらいでいってくれ。あとついでに冷や汗かいてるように見えるのは俺の気のせいだと思う。




「じゃ行ってくんぞー。」

「行ってきます。」

「それじゃ。」

それぞれ重装備(?)したソウジロウとリリスとカイルは口々にそう言って家を出た。ソウジロウは腰に日本刀とマック11を、カイルは細身の剣を、リリスは長めのナイフと弓矢を背負っていた。

「・・・さてと、掃除しますか。」

「サボってたら何されるかわかんないからね。」

「そうですね・・・。」

ジュードとメルとフィリアは三人を見送った後、リビングへと戻ってきた。

「じゃあ、ソウジロウから言われてた事言うね。」

サキがテーブルの前に座りながら言った。マサシは手に雑巾持って準備万端状態。必死にやらなければ皆の中で多分一番ひどい目に合うのがわかってるせいなのかもしれない。哀れ。

「まず、私とメル、ジュードさん、フィリアちゃんが和室を掃除します。そんでマサシはリビング、トイレ、キッチン、二階の部屋全部を掃除してもらいます。隅々までよろしく、だって。」

「ちょっと待ったぁ!!」

いきなりマサシが勢い良く手を挙げた。

「何で俺だけそんな量なの!つーか俺だけ孤立してんじゃん!何で!?」

「え〜と・・・昨日の事はこれ全部やったらチャラにしてやる、だって。」

「まだ保留中だったの!?え、てゆーかトオルは?トオルはどうなんだよ!?」

「あいつには別の仕事任せてるって。それ出来たらオッケーらしいよ?」

「なんじゃそりゃーーーーーーーーーー!!??」

マサシの絶叫は森の中に溶けていった・・・・・・。



「あ〜あ、何でこんな事しなきゃいけないんだろ・・・。」

サキはボソリと呟いた。今現在、和室で窓拭きをしている最中である。

「う〜ん、この材質気持ちいい〜。」

「・・・ってアンタ何してんのよ。」

畳の上で転がるメルに冷たい視線を送るサキ。

「え〜?何って掃除してるに決まってるでしょ?こうやって転がっていけば・・・。」

「カーペットごろごろする奴じゃあるまいし、意味ないことしない。」

「え〜?いいじゃないの。こんな素材、この世界にはないし、明日世界が滅んだらこんな事できなくなっちゃうからこの快感を今のうちに味わっとかないと。」

「根も葉もないこと言うんじゃありません。あ、そう言えばソウジロウ、何て言ってたっけなぁ?確かサボってたら・・・。」

「さ、掃除掃除♪」

立ち上がってタンスを磨くメル。何気に動揺している。恐いんやったらサボんなや。

「にしてもさぁ、ホント何であたしらが掃除なんてしなきゃいけないの?」

メルがぼやいた。

「でも家を綺麗にするのはいいことじゃないかな?」

「そうですよ。何しろお世話になっているのだし。」

フィリアとジュードがハタキでそこら辺をパンパンさせながら言った。

「まぁ・・・どうだけどさぁ・・・。」

「でもまぁ、ソウジロウにはソウジロウなりの考えがあるんじゃないの?こうやってコミュニケーション増やしていって仲良くなるようにとかさ。」

「あ、なるほどね。」

サキとメルはそう解釈したようだが、当の本人は・・・




「いやいやこれでしばらく掃除せんでも楽できる♪」




と歩きながら呟いていた・・・。



「ところでさぁ・・・。」

メルが突然サキに声を掛けた。

「ん?」



「サキって・・・ソウジロウの事、好き?」



「・・・。」

「・・・。」

「・・・。」

「・・・。」

















ボン!!

















「な、なななななななななななななな何何何何・・・・・・・・。」

顔真っ赤にして爆発して意味わからん事呟きながら激しく動揺しつつ窓ガラスを上下に小刻みにキュっキュキュっキュしてるサキ。もぉ何が何だか。

「イヤだってね、昨日聞いたけどサキとソウジロウって幼馴染なんでしょ?それからいろいろあってこの家に住むことになって・・・もしかしたらなぁって思ってたんだけど・・・。」

メルは一泊置いて・・・。

「図星?」

「・・・!!」

サキはもう口は金魚みたいにパクパクして目は完全に見開いていて再起不能・・・。

「やっぱねー♪そりゃ長いこと一緒にいれば好きにもなるわね。あっはっはっは!」

サキの背中をバシバシ叩くメル。ふとフィリアが「あれ?」と呟いて・・・。


「そういえば、メルさんもソウジロウさんの事好きなんじゃないですか?」















ボン!!
















サキと同じくらい爆発した・・・。

「な、な、何言ってんのよ!あああたしがあんな暴力男の事好きになるはずが・・・!」

「でも昨晩『ソウジロウ・・・ソウジロウ』って寝ながら唸ってませんでした?」

「・・・!!」

「ふ〜ん・・・。」

今度はメルがサキと同じ金魚状態、それを冷やかすように見つめるサキ。形勢逆転・・・。

「な、何よ?」

「何だかんだ言っといて、やっぱり気になってんだ〜?」

「そ、それはお互い様でしょう!?」

「なっ!?わ、私はまだあいつの事が好きだなんて一言も・・・。」

「じゃ何で顔赤いのよ?」

「う・・・。」

「ほら見なさい♪」

勝ち誇った顔をするメル。ソウジロウがいたらまず間違いなく飛び蹴りくらいそうである。その顔に。

「てゆーかアンタもソウジロウの事好きって言ったじゃん。」

サキの反撃。

「!!い、いやあたしは・・・。」

「じゃ何でそっちこそ顔赤くしてんのよ?しかも寝言でソウジロウって・・・バレバレじゃん。」

「〜〜〜〜〜〜〜〜。」

茹蛸のごとく顔真っ赤にして俯くメル。てかさ、寝言で男の名前呼ぶのって・・・それはもう、純情な性格って言っても過言じゃねぇな(笑)。

「・・・えぇそうですよ!あたしは純情な乙女ですよ!何か悪いですかどうなんですか!?」


語り手(作者)のセリフでキレんじゃねぇっつーの。


「そ、そこまで言ってないんだけど・・・。」


サキ、正解。


「でもまぁ、これでハッキリしたわね・・・。」

突然落ち着いたメルはフゥとため息を吐いた。

「?何が?」

「あたしとアンタは、ライバルってことよ。」

来た!ラブコメ展開!!

「ラ、ライバル?」

「そ、恋のね。」

「・・・。」

サキ、押し黙る。考えてみればサキは友達思いという事で有名らしいから、ここは「いやだなぁもぅ、私達友達じゃない♪」とか言って誤魔化すんじゃなかろうか。

「・・・生憎だけど、勝負にならないわね。」

「な、何でよ?」

「言っておきますけどね・・・私とアンタじゃ、スタイルが違うのよ!」

「・・・・・・!!!!」

前言撤回。こいつ積極的だわマジで。

「そ、そんなのわからないじゃないの!」

「あらそう?何だったら比べてみる?」

「ええ望む所よ!」






ピンポンパンポ〜ン♪しばらくお待ちください・・・・・・。






「ふっ、勝ったわ。」

「ぐっ・・・。」

しばらくして心底悔しそうに服を着るメルと勝ち誇った顔で服を着るサキ。因みにジュードは和室から出て行っていた。ちょっと鼻血垂らしながら。

「で、でもねぇ、スタイル良くても中身がまずいとねぇ?」

「あらそう?スタイル悪くて中身がまずい人よりいいと思うけど?」

「少なくともあたしは中身は汚れてません。」

「私だってアンタ程汚れちゃいないわ。」

「そう感じるのは本人だけなんじゃない?」

「アンタだってそうなんじゃないの?」

「ずっと一緒にいるからって相思相愛とは限らないわよ。」

「長い事一緒にいて相手の事をよく知る事が大切なのよ。」

「じゃあいつのことホントにわかってんの?」

「アンタよりはわかってるわね。」

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜(`皿´#)」

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜(#`_´)」



ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・・・・。



辺りを覆う殺気。フィリアは恐れて縮こまってしまった。

「・・・どうやら口では決着付かないようね・・・。」

「そうみたいね・・・。」

「ならば・・・。」

「ここは・・・。」



「「勝負!!」」



ついでに言うけど、和室にも外に出るためのベランダがあるわけで・・・あ、クレ○ンしんちゃんってアニメ。あのアニメの家にある和室と同じ構造になってんだよね(知ってる人は知っている)。で、何が言いたいかと言うと・・・そのベランダの窓を開けて外へと飛び出した二人、いつの間にか靴まで履いてる。どんな超人だ。

「ち、ちょっと二人とも!」

フィリアが止めようと外に出た。しかし靴は履いてない。で、二人は家からちょっと離れた場所でお互い対峙し、睨み合う。

「いくわよ!」

メルは持っていた大剣を正眼に構える(剣も和室にあった)。

「望むところよ!」

サキは懐から自分の得物を出した。

「・・・アンタそれって・・・。」

メルが思わず呟く。サキの得物、それは・・・右手に包丁、左手にフライパンという、お前どこの主婦やねんという物だった。

「しょうがないでしょ!私には武器らしいの無いんだから!!」

開き直りだ。

「いや、でもフライパンと包丁ってのはちょっと割に合わないと・・・。」

「ごちゃごちゃ言わないでかかってきなさいよこのぺチャパイ!!」

「ペ、ペチャ・・・!!」

今ので堪忍袋の尾が切れたらしい。ご丁寧にどっからかブチッ!って音した。

「ふ、ふふふふ・・・いいわ。ならば全力で逝かせてあげるわ!!」

漢字が違う。

「ふ、二人共、喧嘩はやめて!」

フィリアは何とか二人を止めようと呼びかけた。

「フィリア、大丈夫よ。これは一種のコミュニケーションなんだから!」

「そうよ!こうやって剣を交えてこそ本当に相手を知る事が出来るの!」

そんなんか?コミュニケーションってそんな殺伐としたモンなんか?

「では・・・」

「改めて・・・。」


「「勝負!!!」」


同時に叫ぶと同時に二人は動き出した。メルがサキに突っ込んで剣を横薙ぎに払う。それをサキはフライパンで受け止め、包丁を振り下ろす。それを横へと体をずらしてかわした後、膝蹴りをサキの腹にぶち当てた。

「ぐっ!」

衝撃で吹っ飛ぶサキ。それを追うメル。

「終わりよ!」

「何の!!」

メルの振り下ろしを落下中に宙返りしながら包丁で受け流しつつ、フライパンでメルの頬を殴りつける。

「くはっ!」

今度はメルが横滑りに吹っ飛んでいく。サキは宙返りから華麗に着地し、態勢を整えて構え直した。メルも口から流れ出た血を拭いつつ立ち上がり、剣を構える。

「やるわね・・・。」

「そっちこそ・・・。」

そしてまた突っ込んで激突するサキとメル。剣と包丁とフライパンが互いにせめぎ合い、火花を散らす。

「な、何してんだぁ一体!?」

マサシが雑巾片手に和室から出てきた。

「マサシさん!」

「フィリアちゃん、一体何があったんだよコレ!?」

「えっと実は・・・。」

「マサシどいてぇ!!」

「へ?」



ドゴシャ!!



サキの飛び蹴りが不運にもマサシに直撃。そのまま和室からリビングへと飛んでいった。

「二人とももうやめてってばぁ!!」

フィリアが悲痛な声で叫んだ。

「ダメよ!この戦いだけは止められない!」

「これは神でも悪魔でも止められない女の真剣勝負なのよ!邪魔しないで!!」

神でも悪魔でも止められなかったらお前らもはや人間じゃねぇだろーが。

「はぁっ!!」

「死ねぇっ!!」

そしてまた互いの得物が火花を散らす・・・。



一方、森の方では・・・。



「さてと、そろそろ帰るか。」

俺はゆったりと木の根元から立ち上がった。とりあえずこの辺の地理は把握した。トオルの発明の稼動には支障ないだろう。ついでに途中で何か獣っぽいの出てきたと思ったら、俺を見るなり慌てて踵を返して逃げてった。何でやねん。

「うん、こんなモンだね。」

「特に何も無くてよかったですね。」

カイルとリリスも立ち上がる。大して魔物も出てこなかったから、リリスの治癒呪文はあんまし使わなかった。使ったといえば擦り傷くらい。

「じゃあ今晩何しよっかなぁ♪」

口笛吹きつつ俺は歩く。カイルが先頭を歩いてズンズン進む。帰ったらあいつらの掃除の状況でも見てやるか。特にマサシの。あいつはサボる確立大だからな。

「・・・ソウジロウさん。」

「?」

突然、リリスに呼びかけられ、足を止める。見れば、顔には戸惑いが見られた。

「何さ?」

「いえ、あの・・・。」

やがて意を決したかのように・・・。

「どうして・・・ソウジロウさんはサキさん達と一緒に暮らしてるんですか?」

はい?

「突然何だよ?」

「いえ・・・一緒に暮らしてるといっても、皆大して年齢層が変わっていないし、何より異性の人が一つ屋根の下で暮らしているだなんて・・・。」

「おかしいか?」

「え?」

突然の俺の切り替えしに、リリスが驚く。

「女が男と一緒に同じ家に住んで同じメシ食ったりするのがおかしいのか?」

「い、いえ・・・そんなわけじゃあ・・・。」

多分、図星かな。

「俺らの世界ではな、昔女性は弱いって見られて差別されてたんだ。今じゃそんな事無くなったけどな、今でも多少はあるんだぜ?そーゆーの。でもなぁ、男も女も、外見が違うだけで行動も一緒なんだぞ。つまりおんなじ人間同士ってこと。人間が一つ屋根の下で暮らすってのは全くもっておかしかねぇよ。少なくとも俺はそう思ってる。」

「・・・。」

「まぁ、今時レディファーストっつーのがうちらの世界ではあるんだけどな。女性第一っていう考え。俺にはちょ〜っと納得いかねぇなぁ。男性にもメンズファーストっての作ってくんねぇかなぁ、なんて。」

あ、それはそれでいろいろ恐いか。やっぱやめた。

「じゃあ・・・何で皆一緒に住んでるんですか?どんな縁で・・・。」

そーゆー意味もあったわけね。

「あぁ、理由か。簡単なこった。俺の両親、俺が物心つく前に事故で死んじまってね。そんで爺ちゃんに育ててもらって独立して一人暮らし始めた。」

「え・・・。」

「んで、サキも事故で両親亡くしたらしいんだけど、遺産相続とかそーゆーのがイヤで逃げ出してきたんだって。で、俺の家で匿ってるみたいになってさ、まぁとっくに丸く治まったからもう問題ないんだけどな。」

「・・・。」

「で、トオルは親から勘当されてフラフラさ迷った挙句に倒れちまって。そこを通りかかった俺が手当てしてやったら何か居着いちまってさ。マサシは小さい頃から親がいなかったらしいんで、親戚中たらい回しにされて、んで何の手違いか俺ん家に来ちまったようで。何か馴染んじゃったからいいかそれで♪ってことだ。」

「・・・。」

あれ?何か思いつめたような顔んなっちゃった。

「・・・めんなさい・・・。」

「は?」

「ごめんなさい・・・そんな事があったなんて・・・。」

あぁ、同情してくれてんのか。それでねぇ・・・。

「言っておくけどさぁ、俺は大して気にしてねぇぞ?むしろいろいろ感謝している。」

「?」

「俺が今を生きてんのは、親父とお袋が俺を庇ってくれたおかげであって、育ててくれた爺ちゃんのおかげでもあるんだぞ?そりゃ親父とお袋が死んだってのがわかった時は悲しかったけどな、メソメソしてたって戻ってくるわけじゃあるめぇし、楽しく生きていかにゃあせっかく生かしてくれた両親に申し訳ないじゃん?そんでよ、あいつら、あ、サキ達のことな。あいつらに出会ってさぁ、ますます楽しい事増えたからよ。俺の人生、悪くないなぁとか思ってたり。」

とりあえず笑ってみせる。我ながら爺臭いぜちくしょう。

「ソウジロウさん・・・。」

「さ、とっとと帰るぞ。掃除の調子を見ないといけねぇしな。」

後ろでリリスがクスクスと笑ってんのが聞こえた。何か嬉しそうな気がした。




所変わって再びサキとメルの死闘・・・。




「ふぅ・・・ふぅ・・・やるわね・・・メル・・・。」

「はぁ・・・はぁ・・・アンタこそ・・・サキ・・・。」

今の二人はまさに満身創痍な状態だった。それぞれの武器には傷が無数に入り、体中も負けずに痣だらけ、傷だらけ。ボロボロ。メルは剣を杖代わりにしてるし、サキにいたっては膝を地に着けている状態。それを不安そうに見ているフィリアとジュード。マサシは気絶中。

「ね、ねぇジュードさんどうしよう。このままだと二人共・・・。」

「しかし・・・こればかりは私でも・・・。」

冷や汗を流しながら対峙している二人を見つめるフィリアとジュード。

「そろそろ終わりにしましょうか・・・。」

「そうね・・・この一撃で・・・。」

メルは再び剣を正眼に構え、サキはすっくと立ち上がって包丁とフライパンを目の前で交差させるように構えた。二人の間に、とてつもない闘気の渦が沸き起こり、ますます近寄りがたくなってしまった。心なしか、メルの背後には目が赤く光る熊と、サキの背後に同じく目が赤く光る虎が映し出された。どこの格闘漫画だオイ。あ、小説か。

「さあ・・・。」

「これで・・・。」

二人揃って足に力を入れる。



「「終わりよ!!!!」」


ゴゥッ!!と風が吹くと同時に二人は武器を振りかぶりながら走り出した。そしてそれぞれの武器が接触しようとした・・・。




















キィン!ガキィン!  

チャキ ヂャキリ



















「「・・・。」」

「「・・・。」」






「「「「はっ?」」」」






メルとサキとフィリアとジュードが、同時に声を上げた。数秒後、メルの大剣が、サキの包丁とフライパンが、宙を高く舞った後に地上へと落下、そのまま突き刺さる(フライパンは鈍い音をたてて落ちた)。そしてさらに・・・















二人の間に立ち、刀の刃をサキの喉元に、マック11の銃口をメルの額に押し付けるソウジロウ。















「あ・・・あれ?ソウジロウ?」

「お・・・おかえり・・・。」

サキとメルは片手を挙げて挨拶をする。しかし声は裏返っている。


「・・・何シテンノカナ君達ハ?」


ソウジロウの声は、どこか、てゆーよりかなり無機質な物だった。そしてさらに刃と銃口を押し付ける(刀に関してはギリギリに)。おかげでさらに冷や汗を流す二人。しかも足が無意識に笑っている。

「え、えっと・・・これはその・・・。」

「な、何から話せばいいのかなぁ?は、ははは・・・。」


「ヨクモマァ俺ガイナイ間ニ仲良ク遊ンデオラレタヨウデ・・・。」


この時のソウジロウの顔はすさまじく、狂気的な笑みを浮かべていたという。

「あ、遊んでなんか・・・。」

「いないってゆーか・・・なんてゆーか・・・。」

引き攣った笑い顔だが、本当は泣き出したい二人である・・・。


「マァ・・・ソウダナ。掃除ヲサボッタ罰トシテ・・・。」


スゥッと息を吸うソウジロウ。
















「・・・鉄拳制裁!!!!!!!!!!!」

「「いやあああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」」


















ソウジロウ達の調査も難なく終わり、歩き過ぎて疲れたという理由で、晩飯は昨日の残りで済ませた。調査の際に、ソウジロウが自分の身の上話をしてくれたリリスは、改めて惚れ直したという事で満足だったという。それを知るのは本人のみ。



フィリアとジュードは、ソウジロウが神でも悪魔でも止められない女の真剣勝負を呆気なく終了させた為、改めてソウジロウの強さを見直したという。そして今後一切、ソウジロウを怒らせるようなことはやめようと硬く決意した。



トオルが遂にソウジロウに頼まれていたのを完成させたと報告が入った。今回の騒ぎに気付かなかったのは、開発に集中していたからだという。こうして、今までの事は水に流してあげたソウジロウ。



死闘の後、二階の物干し竿に吊るされたサキとメルは、泣きながら許しを乞い、暗くなってからようやく釈放された。しかし、二人は死闘の時よりさらに傷だらけになっていたそうな。



リビングで寝て(気絶)いたマサシは、ソウジロウにボコボコにされ、少なくともキッチンだけでも綺麗にしてから就寝したという。とりあえずトオル同様、水に流す。







そして、今度からは自分で掃除しようと決意したソウジロウであった・・・。


最近、この先の展開どうしようか悩んでます。でもとにかく頑張りやす!

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