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隠し事

掲載日:2026/04/03

15分短編です

 あ、これは、やばいかもしれない。そろそろだと思っていたんだけど、やばいかもしれない。

 そう言えば、この数か月、来てない。

「どうしたの?」

 最近付き合い始めた彼が心配そうに私の顔を覗き込んできた。

「ん、っと・・・大丈夫!コンタクト落としたと思っただけ!」

「そっか、コンタクトは大変だよね」

 そう言って彼はリビングに戻って行った。

 危ねぇ。付き合って、2か月で、まだ何もしてない相手に、妊娠したかもなんて言えるわけないじゃん?ま、まぁ、まだ、生理不順なだけって可能性は残ってる。だからまずは、婦人科に行って、生理不順って診断を貰わないと。いや、もし妊娠しているなら、今日彼とシてしまえば、誤魔化せるんじゃないだろうか。婦人科に行くのはそのあとでも良いかも。

「ねぇ、今日さ、映画行こうって言ってたじゃん?」

「うん、楽しみだねぇ」

「あのさ、帰ったら・・・」

 ちょっとだけ胸元を開けて、誘惑する。童貞だから簡単だろう。

「ちょ、ちょっと待って!俺、そう言うのはまだ・・・」

 そうだった、こいつ、童貞なくせに、その辺はお堅いんだった。下手な処女よりガード硬いんじゃない!?

「そうだけどさ・・・あたしたちもう付き合って2か月じゃん?・・・そろそろ・・・」

 胸を腕に当てて、彼のガードを崩壊させる。ほらほら~陥落しろ~!

「ちょ、本当にっ」

 そう言って彼は、慌ててトイレに逃げ込んでしまった。鍵をかけられるスペースに逃げるなんてずるいぞ!!

「ご、ごめん、でもまだ俺にはそう言うのは早いって言うか・・・その、興味が無いわけじゃないんですけど・・・ごめんなさい」

「・・・・いや、いいよ、ごめん、ウチも焦りすぎた」

 やばい、これはマジでヤバイ。このまま彼と何もできないままお腹大きくなったりしたら・・・・。まてまて落ち着け、え、この二か月は、彼としか過ごしてないんだから、それ以外はあり得ない。つまり二か月は確実に経ってる。アイツと別れたのは、大体四か月前・・・。あれ、コレ・・・詰んでない?

 冷汗がダラダラと垂れていく。どうしよう・・・・どうしよう。

「だ、大丈夫?」

 いつの間にかトイレから出てきていた彼が、私の様子を見て背中をさすってくれた。こういうやつなんだよなぁ・・・だから好きになった。元カレはただのクズだった。だから、今の彼を大切にしようって思ってたのに・・・。

「ごめん・・・ウチ・・・」

 図らずも涙がボロボロと零れてきた。もうだめだ、洗いざらい話すしかない。これで嫌われたら、私はこれからどう過ごしたらいいんだろう。そんなことを考えつつ、私は泣きながら支離滅裂に現状を話していた。

「そっか・・・うん、事情は分かったよ。今日は映画はやめて、一緒に婦人科に行こう」

「うん・・・ごめん」

「大丈夫だよ。婦人科から帰ってきてからでいいから、元カレさんの話、聞かせてくれる?」

「え、なんで?」

「なんでって、お礼参り、しとかないとなって」

 “お礼参り”なんて単語がこいつから出てくるとは思ってなくて驚いた。

「僕も隠してたことがあるんだ。」

 そう言って彼が上着を脱いだ。



——背中の立派な龍と目が合った——

まぁ~、ご立派・・・。

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