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転生先は崩壊した未来世界~世界再生機構Venus~  作者: 光影


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第5話 緊急事態 ―― 来襲! ホワイトガーデン!



 ゴゴゴゴゴゴゴッ!


 地面が激しく揺れ始める。


「撤退ルート確保しました。しかしこの熱源。皆さんの熱源を追うようにしてハイクラスのエネルギー源が地下から接近中です。この反応は……二等級です」


 二等級。

 敵の脅威度指数に使われる等級は一般的にスター六等級性と呼ばれる物。

 零等級が支配者クラス。一等級や二等級ともなれば三等級以下のファーレンを操り指示を出せる司令塔クラス。俗に言う資源回収を主にするファーレンは五等級や六等級の個体が多い。 

 それでも苦戦した。

 二等級ともなれば、とてもじゃないが今の自分たちが勝てる相手ではない。

 武器不足、人数不足、そんな話ではない。

 純粋な実力不足である。

 星野が判断を迷う。

 それを見た和田が口を開く。


「そんな大物がどうしてここに? そもそも場違いにもほどがあるでしょ」


「振り切れるルートは?」


「あります。しかしその場合皆さんが離脱するための高速輸送機が撃ち落とされる可能性が極めて高いです」


「つまり戦うしか生き残る道はないと言うことね。どうする?」


 最終的な判断は星野に委ねられた。

 輸送機を使わない脱出方法を考えるか、提案を受け入れるか。

 選択肢が生まれた。

 星野はなぜ目の前にいる適合者の少女たちがこんなにも落ち着いているのか不思議に思う。だけど答えが出てくることはないだろう。

 それはわかっている。

 恐い、逃げ出したい。そんな弱腰の星野とは対照的な彼女たち。

 だからこそ惹かれる。

 自分もこんな風になりたいと。

 堂々としてくれているからこそ、生まれる安心感がそこにある。

 

「皆さんがいても危険なんですか?」


「危険です。部隊指揮能力があると言うことは知能指数が高いことを意味します。なにより個体ごとに性能差はありますが、戦闘能力は全体的に高めです!」


 警告はラクスからだった。


「強力な加護が使える隊長率いる小隊でも勝率は六割程度です。一般的な隊長や副隊長が率いる小隊だと四割程度で、被害も少なくはありません」


 今の星野が率いる隊ではそれ以下の確率でしか勝てない。

 状況は良くないの一言に尽きる。


「輸送機を使わない別のルートは?」


「救援隊を送ることも可能です。しかしその場合は空が使えないので最低でも二日は救援に必要となる見込みです」


 水はほとんど残っていない。

 食料も携帯食料が少し。

 その状況で敵地で二日は気が遠くなりそうだ。

 なにより戦うための武器が貧し過ぎた。


「戦いましょう。それが一番現実的な気がします」


 星野が覚悟を決めて言った。


「オッケー。私は夜空の意見に賛成」


「私たちは隊長の決定に従う。それで唯もいい?」


「うん。でもこれだけは言わせて。全力で戦う。けど私たちが守りきれなくて貴方が死んじゃう可能性は否定できない。それでも大丈夫? 引き返すなら今だよ」


「構いません。残りの弾は限られています。それなら一手で現状を打破できる可能性に賭けましょう」


「わかった。ならこの先にある鉄道局跡地を使って迎撃しましょう」



 ■■■


 数百年前に廃棄された鉄道局跡地。

 ここなら確実に敵を待ち伏せできる。

 コンクリートの瓦礫と今は動かない壊れた電車。

 屋根が吹き飛び骨組みだけとなった修理工場が語るのは戦争の痛々しさ。

 それぞれが此処にあった迎撃ポイントを選ぶ。

 現状星野が最前線で戦うには実力不足だ。

 できるだけ後方に身を置く。

 その前方に女が身を置いていく。

 これが妥当な戦術的な配置。

 地面の揺れから敵が近づいてくるのがわかる。

 

「敵影確認――二等級キリマンジャロモデル・ホワイトガーデン! 気をつけてください。転生者を捕まえて加護の力を抜き取りファーレンに与える特殊モデルです」


 地面の振動がさらに激しくなる。

 大地を突き破り六メートルの巨体を見せたゴリラのようなファーレン。

 両肩には黒光りを放つ全自動ライフル。

 背中には大型のロケットランチャを装備している。

 首を動かし二つの赤い眼で標的を探し見つける様は狩人のようだ。

 大きく逞しい二つの腕には鋭利な鉄の爪があり、近づきたくない。


「オォォォォ!」


 ホワイトガーデンの雄たけび。

 次にドラミングの音が木霊する。

 ホワイトガーデンの仲間が合流して鉄道局跡地出入口は敵で埋め尽くされる。


「「「オーバーリミット!」」」


 だけど恐れることはない。

 道は切り開いていくものだ。

 その先陣を切ったのは、和田唯。



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