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第七話

「わー、あれが噂の…!」

「本当に金色だ…綺麗ですね…。」

「神の祝福なんて…羨ましい…!」


同じ光景を、以前にも見た。

どこに行くにも、やれ神の加護だ、やれ神の愛だと囁き出す。

これが小鳥の囀りであれば、どれほど耳心地の良かったことか。


もう、何人なんぴともリオの目には映らない。

少なくとも、今の今までは。



「うわー!!!ごめんね!!まさかそんなところにいるとは思わなくて!!!」


金髪の小柄な少年が、廊下の先で叫んでいる。

見事な顔面スライディングだった。

鼻を真っ赤に染めながらもブンブンと手を振るその様は、恐怖を通り越してもはや神々しい。


…関わってはいけない人種だ。


「…アーセル様。その見事な転倒芸も結構ですが、いい加減落ち着きを持つ練習もなさってはいかがですか。」


背後からの無機質な声が届いた頃には、傾きかけたリオの体はあっさりと元に戻っていた。

…ああ、耳にしたかもしれない。

留学生の変人王子と、その従者。

リオにとって、それは未知との遭遇だった。


「……細いですね。」


さも当然のようにリオの衣服を整えながら、その少年はふと呟く。


「立って歩ければ十分かと。

その観察眼、【あちら】へ向けられては?」


わずかに顎をしゃくった先には、

床に這いつくばるアーセルの姿。

何かを探しているように見えるが、それは上流人とは、ましてや王族とは到底思えぬ姿である。


「……ごもっともでございます。

さておき、あなたが倒れようとも、私には関わりのない話でございますね。失礼いたしました。」


2人同時に、たった瞬きした瞬間だった。


「あ!!見つけた!!!」


ひょいと体を持ち上げ、アーセルはリオの元へと駆け寄った。

その右手には、先ほどの探し物を握りしめている。


「これ!お近づきの印にあげるね!」


弾む声に、思わず差し出したリオの手に落とされたそれは、まさかのーー


「…は?」


「うん!歯!折れたから!」


頭を抱える少年がニ人。

アーセルの笑い声と、【贈り物】の再び床に転がる音が、一層リオの決意を強くした。


…絶対に、こいつらとこれ以上関わるものか。

読んでいただきありがとうございます。

親知らず抜かねば。

次回、ニヤニヤします。お楽しみに。

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