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99/136

99_激突

 魔族ソフィーはふと何かを感じ取り顔を上げた。静寂に包まれた青空の遥か向こう側を眺める。


 何かが来る。ものすごい速度で——殺意を孕んだ何かが。


「……ん!」


 刹那、空を引き裂くように、接近する物体が彼の視界に飛び込んできた。目にも留まらぬ速さで、鋭く、まっすぐに——それはソフィーの胸を狙いを定め直進する。


 槍。鋼鉄の凶器。 


 心臓を射抜かんと飛来するその刃を前に、ソフィーは一歩も引かない。槍の軌道を見極め、わずかに身体を逸らし、回避する。


 そして、ソフィーは槍を、片手で捕らえる。


 だが、勢いは止まらない。凄まじい衝撃がソフィーの全身を貫いた。地面を滑り、岩を砕き、土を巻き上げながら、槍の勢いが彼を押し流していく。


 「……クソがッ!!」


 足元の大地を抉りながら、ソフィーは歯を食いしばり、全身の力を込めて槍を地面へと叩きつける。


 ドグォンッ!!!


 大地が爆ぜ、爆風が辺りを襲った。土煙と破片が舞い上がり、視界が白く霞む。抉られた地面は木っ端微塵だ。


 「やっと……止まったか……」


 ソフィーが肩を上下させながら呟いた、その直後だった。


 ピリッと、肌が粟立つ。


 「……!」


 すぐ傍に、二人の人間の気配を感じた。突如、彼の近くに現れたのは——ダンテとテラ。


 二人とも、殺意を剥き出しにし、ソフィーの頭上から落下しながら、剣を構え、躊躇なく振り下ろしている。


 「「うぉおおおおおおおお!!!!!」」


 ダンテとテラの耳を裂くような怒声。鋭利な気迫が、雷鳴のように響く。


 ソフィーは、その場に立ち尽くす。そして、口元にゆっくりと狂気じみた笑みを浮かべた。


「待ってたぞ……!」


 瞬間、彼の体内から漆黒のマゴが溢れ出す。地を這うようにして、周囲の空気が沈む。押し潰されるような重圧。


 だが、ダンテもテラも止まらない。そのまま、臆することなく切っ先をソフィに向け続ける。


 「うおおおおおおおおおおっ!!」


 ソフィーは禍々しいマゴを纏った剛腕で、迫る刃を真正面から受け止める。


 ガキィンッ!!!


 「人間んんんんんんんんん!!!!!!」


 地鳴りのような咆哮が、大地を揺らした。二人の剣は弾かれ、衝撃で吹き飛ばされる。だが、空中で瞬時に体勢を立て直し、地面へピタリと着地する。


 再び剣を構えたダンテとテラが、真っ向からソフィーと対峙する。


「……久しぶりだな。けど、“本体”に会うのは初めてかもな」


 ダンテの言葉に、ソフィーの目が鋭く光る。


「……目障りだ。馴れ馴れしく話しかけるな、人間」


 すると、テラが一歩前へ出る。その目に、これまで見せたことのない怒りが燃えていた。


「冷たいな。でも、それでいい。お前のせいで大切な人たちが傷つけさせられたんだ。絶対に、許さないからね」


 その声に、空気がさらに張り詰める。ソフィーはふんと鼻で笑い、拳を握った。


「愚か者ども……この世にはな、どう足掻こうとも超えられぬ“理不尽”というものが存在する。それを思い知るがいい……!」



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