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86_新たな訪問者

 ダンテたちのもとにも、数日後、赤のダンジョンが攻略された情報が入ってきた。


 突如、火山地帯にある赤のダンジョンが消失したようだ。ただ情報は不確かなもので、誰がどうやってダンジョンを攻略したのか現時点では定かにはなっていなかった。

  

 王都ペンタゴンのギルドでは、聖騎士たちの集会が急遽開かれた。赤のダンジョン攻略の知らせに触発された彼らは話し合いの末、1週間後に、従来より準備を進めていた白のダンジョン攻略に乗り出すことに決めた。


 ーーだが白のダンジョン攻略当日の1日前のことだった。ある事件がこの王都ペンタゴンにて起きる。


「ここが王都ペンタゴンねぇ。さて、ここにいる猛者たちがどれほどの実力か品定めさせてもらおうか」


 ペンタゴンの前に現れたフードをかぶった男。彼の他を圧倒するような異様な気配に、護衛に当たっていた聖騎士たちはピクリと反応し警戒する。


「なんだ、お前はただ者ではないな、何のようだ?」


 護衛のリーダーが男に尋ねる。リーダーの後ろでは剣を構えた聖騎士たちが緊急時に対処できるように立っている。


「……邪魔な蝿どもだ。そこをどけ」


 男は、ほんの少し殺気と抑えていた力を解き放つ。すると、男の末恐ろしい力を間近に感じた護衛たちの顔面が一瞬にして曇り、身体がブルブルと震えだす。中には、ズボンを黒く染めるものもいた。


「や、やばい、なんて気迫だ。本能がこの男と戦うことを拒んでいる、今すぐ逃げろと訴えかけてくる」

 

「こ、こんなのおかしいよ、絶対!こんなにやばいオーラを放つ奴は初めてだ!」


「あ、頭が……頭がおかしくなってしまいそうだ!!!!あぁあ、あああああ!!!」


 護衛たちの怯える様子に、喝を入れるようにリーダーは、覇気のこもった声で力強く叫んだ。


「狼狽えるな!我々は誇り高き聖騎士だ。我々には、守るべきものがあることを思い出せ!」


 リーダーの力強い声に、ハッと護衛の人たちは、正気に戻る。


「そうだ、我々は聖騎士だ。人々を守るのが我らの宿命。屈するわけにはいかぬ!」


 再び、剣を構え戦闘態勢に入った護衛たちを見てもなお、男はズボンのポケットに両手を突っ込み平然としていた。


「騎士の誇りや宿命ね。そんなくだらぬものは何の意味も持たないよ。圧倒的な力の前では、特にねぇ」

 

 男はさっと右手をポケットから出すと、リーダーの頭の方に伸ばした。そして、軽くリーダーの男に向かってデコピンを食らわせる。


 ボン!!!


 その瞬間、リーダーの男の頭は、激しい衝撃とともに跡形も早く消し飛んだ。頭部を失ったリーダーの身体は、人形のように力なく地面に倒れ込む。


 一瞬の出来事に何が起きたのか認識できず周囲の護衛たちは呆然とその様子を見ていた。


 だが、少しして状況が最悪のものとなっているという実感が湧いてでて、顔を青ざめる。


「どうした?君たち、かかってきなよ。君たちのくだらない宿命や誇りというものが、どれほどの意味を持つのか俺に教えてくれ」


 風が吹き抜けてフードが風で巻き上げられ、男の素顔が顕になる。額には、一本の角が生えており目は細めだ。口元は笑みを浮かべ、恐怖で慄いている護衛たちを嘲笑っているようだ。


 彼は天の一人ケトラ。天の中で最も究極の肉体を極めた存在。

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