83_ダンジョンの光
メイテツがフロラでの生活に慣れてきた頃だった。
ある時、突然、大地がひっくり返りそうなくらい大きな揺れが彼女たちを襲った。あまりの揺れの大きさに、メイテツは驚愕の声を出す。
「じ、じしん!?」
彼女の近くにいたヨカも今回の地震の大きさに、戸惑う。
「また地震か。今回はデカいな!」
彼は、大切な家具が破損しないように、両手で必死に押さえつけながら、地震が収まるのを待った。
ダンジョンがフロラの近くに現れてから頻繁にこの街では地震が起こっていた。今回起こった地震は今までの中でもとびっきり大きな揺れだった。
「ダンジョンを見ろ!テッペンが光輝いているぞ!」
ダンジョンに異変が起こったらしく街の人々の騒ぎ声が聞こえてきた。
メイテツとテラは、お互いを顔を見合わせて、家の外に出るとダンジョンの様子を確認する。
街の人々が集まる中、彼らの見つめる先には塔型のダンジョンがあった。人々が叫んでいた通り、ダンジョンの頂上は神々しい光を放っている。
その奇妙な光景に、近くで見ていた老人が身体をブルブルと震わし、顔面蒼白になる。両手を頭にやり叫び声を上げた。
「あぁあああああ!!!!ほ、本当にぃいいいい!!!塔のテッペンが光り始めるとは!!!逸話通りなら、大変なことになる。早くこの場を離れなければ……」
耳をつんざくような老人の悲痛な叫びを聞き、周囲の人々は何事かと困惑する。
「どうしたんだよ、じいさん。急に取り乱したりして」
ヨカが、老人を心配して声をかけた。老人は、目をカッぴらいて、彼に向かって訴えかけるように叫んだ。
「お前たちも逃げろ!時間がない。あのダンジョンの光が広がる前に!逸話が正しければ……」
老人は、ダンジョンの光を指さしヨカに話をしていたところ、急に首を何者かに握り絞められたかのように言葉を詰まらせる。それもそのはずだ。
ダンジョンの光が、凄まじい勢いで周囲を巻き込みながら膨張し始めたからだ。
「お、おわりだぁああああ!!!!ぅああああああ!!!!」
老人は、ダンジョンの光から逃げるように一目散にどこかへ走り去っていく。血相を変えて走り去る老人の背中を見て、街の人々も、とてつもなく恐ろしいことが起きてしまったことに気づく。
「うわぁああああ!!!光が……光が迫ってくるぞ!!!」
老人に続き、街の人々は、悲鳴を上げ一目散に光から距離をとるように走り出した。
「なんだか知らねーが、俺たちも逃げよう、メイテツ」
「ええ」
ヨカとともに、メイテツは逃げ惑う人々の後ろを走った。背後を見ると、ダンジョンの光は、街に侵入し始めていた。瞬く間に、フロラの街を飲み込んでいく。逃げ遅れた街の人々は、ダンジョンの光に触れたとたん、意識を失い地面に倒れ込む。そして、身体からマナの塊がふわっと浮かび上がる。
「あの光に触れると、本当にまずそうだな。このペースだと、確実に光に呑まれてしまう。仕方ない、久しぶりに、あの技を使うか……」
ヨカは、立ち止まると体内のマナを使って槍を作り出す。
「何をする気なの?」
メイテツのやろうとしていることに見当もつかずヨカに尋ねる。
「このフローレ王国から隣国のソド王国まで俺の能力で移動するのさ」
そう言うと、ヨカは、ソド王国がある方向に向かって勢いよく持っている槍を飛ばすのだった。




