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08_片腕

 ダンテは迫りくる2体のメイテツに対し、呼吸を整え、目を閉じ集中力を極限まで高める。


 師匠から教わったあの技を久しぶりに使ってみるか。


 脱力。


 ダンテは、一瞬、体の力をすっと抜いた。そして、頭の中で、剣でメイテツ2体のマナを引き裂くところを鮮明にイメージすると、目を見開き、脱力した体に一気に力を入れる。


 その瞬間、ダンテの姿はぱっと消えた。空を穿ち直進する2体のメイテツは、目の前にいたダンテを見失う。


「断ち切った」


 メイテツの背後で、彼の声が聞こえた。


「いつの間に、私の後ろに……」


 直後、メイテツの胴体にまっすぐな切れ目が入り、その切れ目に沿って胴体がズレる。


 ズドン。


 一瞬で、真っ二つにされたメイテツは、力を失い地面に落下する。それを確認すると、ダンテは、剣を地面に突き刺すと息を切らす。


「はぁ……はぁ……はぁ……やっぱり、この技、体の負担が半端ない。多用することはできないな」


 先程、ダンテが用いた脱力は、一旦、体の身体を抜き、瞬時に力を入れることで、頭の中でイメージした挙動を再現する技だ。身体能力を短期間に酷使するため、体にかなりの負担がかかってしまう。


「なかなかやるじゃない。私を倒す者が現れるとは思わなかった。あなたなら、私の力を預けられる」


 そんなメイテツの声が、ダンテの頭の中に響いた。


 あれ、まだ、ご存命なのか……。


 ダンテは、メイテツを倒したとばかり思っていたので、顔を歪ませ困惑する。もはや、メイテツと戦えるほどの体力はなかった。


 地面の隙間から、メイテツのドロドロとしたボディが現れ、突如、ダンテのもともと左腕があった箇所にブワッと流れ込む。


「うぅ、なんだぁああああ!!!これぇえええええ!!!」


 あまりに突然の出来事に、ダンテは、驚愕の表情を浮かべ、右手で左腕のあった付け根の辺りを抑えながら叫び声を響き渡らせる。


 ダンテは慌てふためくが、メイテツはそんなことはお構いなしに、地面の隙間から次々と黒色のドロドロしたボディを彼の体に勢いよく流し込む。


「なっ、何をしてるんだぁあああああ!!!」


 左腕の付け根から、メイテツのドロドロとした黒い液状のものが染み渡っていくのを感じた。痛くはないが、自分の身体とメイテツの身体が一つに溶け合うような奇妙な感覚がした。


 少しすると、メイテツの勢いは収まり、先程の喧騒が嘘かのように辺りは静かになる。そっと、メイテツが流れ込んできたところを見ると、ダンテの表情がかたまった。


「片腕……失った片腕が復活してる……」



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