77_槍と盾
騎士の石像が構える槍の先がぴかりと怪しく光る。冷徹な瞳でダンテを見つめると、彼の頭に狙いを定め、容赦なく槍を振り下ろした。
このまま大人しく、槍を食らってたまるか!俺は絶対にこの試練を乗り越えるんだ!
ダンテはこの戦闘を諦める気は全くない。なおも闘志を燃やし続けていた。
騎士の石像が振り下ろした槍を地面を転がりながらギリギリのところで何とか躱すと、転がる勢いを利用して、さっと立ち上がり、体勢を立て直す。
回避した際に、騎士の石像が振り下ろした槍の先端が、彼の頬をかすめていた。頬にかすり傷ができたが、そんなことは少しもダンテは気にしていないようだった。
「メイテツ、何度もすまない。肩の出血を止められるか?」
ダンテはメイテツに語りかける。
「ええ、大丈夫よ。なかなか手ごわいわね。この神殿の石像たち」
メイテツは、即座に、ダンテの頼みを受けて肩の出血を塞ぐ。
「ああ、だけど、それのほうが、やりがいがある。命がけだからこそ、この試練を乗り越えた後、自分の実力の限界を突破できるはずだ」
「そうかもしれないわね」
メイテツがそう言った直後、騎士の石像は俊敏な動きでダンテの懐まであっという間に移動し、槍を構える。
槍の連撃が来る。当たればやられる。
ダンテは、槍を構える騎士の石像を見て、直感した。次の攻撃をまともに受ければ、即死級のダメージを受けてしまうことに。
すぐさまダンテは、左腕のメイテツを盾の姿に変形し、防御の姿勢に入る。その直後、目にも止まらぬ速度の槍の連撃が、止めどなく繰り出された。
「ぐっ!?」
槍一発の威力は大きくはないため、盾で何とか防ぐことができた。ダンテは、全身で盾を構え続け、騎士の石像の攻撃を防御し続ける。
連撃が止まらない。盾が破壊されてしまう。
浴びせかけるように続く槍の猛攻。自らのマナを纏わせて、盾を強化しているとはいえ、いつまでも耐えられるわけではない。槍の猛攻をたえず浴びせかけられ、ダンテを守る盾に亀裂が入り始める。
いつまでも続くんだ。この攻撃……。
槍の猛攻がいつまで続くのか予想できない不安から焦りを見せるダンテ。だが、騎士の石像も、槍の猛攻を続ければ、かなりの体力を消耗するはずだ。ダンテは、防御に全意識を集中させる。
すると、突然、騎士の石像の動きに変化が現れる。明らかに槍の動きが鈍化し、ピタリと連撃をやめたのだ。どうやら、さすがの石像も、高速で槍を突き出し続けるのに相当な体力を消耗していたようだ。
今が騎士の石像に、もう一度渾身の一撃を食らわせるチャンスだ。攻撃を与えるなら今しかない。
ダンテは、ここぞとばかりに、メイテツの形状を盾から拳の形に変えてぎゅっと握り締めると風の力を纏わせる。
だが、ダンテがメイテツを拳の形状に変えた瞬間、急に騎士の石像の目つきが鋭くなり、口元はニヤリと不気味な笑みを浮かべる。それは、石像の思惑通りに事が進んでいることを意味していた。
瞬時に、騎士の石像は、槍で連撃を放つ構えをとる。その様子を見てダンテは察した。騎士の石像はあえて、これ以上、槍の連撃を放てないようなふりをし、ダンテの盾を解除させたのだと。
槍による連撃を盾でガードする暇はない……。このまま、攻撃を続行する!!
ダンテは目を閉じると覚悟を決め、目を瞑ると、全身の感覚を研ぎ澄ませ、無謀にも槍を構える騎士の石像の懐へと突っ込むのだった。




