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64_あの日の記憶

 テラは、怨虫に取り憑かれて意識を失う最中、昔の出来事の夢を見ていた。


 それは、まだ彼が、聖騎士になる前の話。聖騎士になるきっかけになった話だ。


「テラ、いってらっしゃい」


「うん、行ってくるよ。行ってきます」


 テラは母に見送られ、家を出た。歴史学者である父親の影響で、近くの図書館で魔法歴史学について学ぶのが、彼の日課になっていた。


 この日も、図書館に行き、魔法歴史学を学びに行く予定だった。図書館に向かう途中、テラは珍しい人たちを目の当たりにする。彼らを見てピタッと足を止めた。


 あの人たちは、剣士。魔法使いの世の中になっても、彼らは、存在してるんだね。へぇー。


 この時のテラは、剣士という存在を本を通して知ってはいたが、実際に目にするのは初めてだった。


 確か、1000年前に剣士の国であるソド王国をマナ王国が魔法の力で滅ぼして、剣士は衰退。魔法使いの時代になったんだったかな。

 

「物騒な武器を持ってなんだか野蛮ね」


「魔法もろくに使えない奴らの集まりだろ。剣士なんてのは」


 町の人々は、剣士の人たちを見て軽蔑するような言葉を吐く。どうやら、あまり人々の一部は剣士に対して良い印象を持っていないようだ。


「あのー、図書館に向かいたいんだけど、そこどいてもらっていい?悪いね」


 テラはそう言ってあえて悪口を言う町の人たちの間に割り込んで進んだ。


「ぐ!?なんだあいつは……」


 突然のテラの割り込みに、町の人は、眉を寄せて何だこいつと言わんばかりの表情を彼に向ける。彼はそんな人たちの目を気にせずまっすぐ図書館に向かった。


 テラは魔法の才能はあまりなかった。剣士の人たちを魔法が使えないと馬鹿にする町の人々に対して良い感情を抱かなかったのだ。


 この日も、図書館で魔法歴史学の本を夜遅くまで読みふけっていた。


「すべての大国を統一した七賢者様の大いなる力によって、世界はマナに包まれ、誰もが自身のマナを消費することなく魔法を行使できる時代になったか……」


 テラは、本を閉じると頭に両手をやると椅子にもたれかけ天井を見上げる。


 どの本も、同じような記載から始まってるんだよな。


 七賢者とは何者なのか。


 それに、マナ王国とソド王国以外の王国があったような記載が散見されるけど、どの本を探してもどんな王国があったのかの詳細を書いているものがないんだよな。


「はぁー、1000年前にいる人たちと直接、話すことができたらな。なんて、そんなことありっこないか。何を考えてるんだろう」


 本の内容を考えていると、図書館の扉が勢いよく開き女性の声が響いた。


「テラ、大変よ!あなたの家燃えてるわ!」


「なにそれ、やばくない……」


 テラが叫び声がした方をさっと振り向くと、ハンナが深刻な表情を浮かべ立っていた。

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