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58_白雪の少女

 白雪の衣を纏う極寒の地で、その圧倒的な存在感を誇示するのは白神山。かつて、白龍が住んでいたとされるその山は、極寒の厳しい環境を生き抜いてきた恐ろしい魔物や獣の住処となっていた。


 テラも、一緒にこの場所に送られたはずだよな。


 ダンテは周囲を見渡すが、一見したところ、真っ白な雪の地面が広がっているだけで、彼の姿を確認できない。


「ダンテ……テラを……白妖の泉……お願い……ます」


 途切れ途切れの女神の声が、ダンテの頭の中でかすかに響いた。


「女神なのか。声が、聞こえづらいけど、ただなんとなく言いたいことは伝わった。テラを白妖の泉まで連れていけばいいんだな」


 ダンテは、白い息を吐きながら、女神に話しかける。


「……」


 だが、女神からの返答はない。どうやら、女神と意思疎通を図ることができる範囲を超えてしまったらしい。世界樹から白神山までの距離は、本来、ダンテが浮遊して進んだとしても数十日はかかるほどの距離だ。むしろ、途切れ途切れでも一時的に、声を聞き取ることができたのが奇跡に近かった。


「女神様からの返答がないわね」


 突如女神との会話ができなくなり、左腕のメイテツがダンテに話しかける。


「ああ、でもやることは明確だ。テラをまず探そう。今のテラは、何をやらかすかわからない」


 殺戮の鬼と化したテラは、この辺に住む人々も見境なく襲ってしまうだろう。そんなことを彼にさせたくはない。人々に襲いかかるようなことがないように阻止しなければならない。


「いゃあああああ!!!変質者!!!剣を持った変質者がいるわ!!!しかも、なぜか額に瞳みたいなのついてるし!!!!マジで最悪ぅううう!!!!」


 正面から耳をつんざくような元気のいい悲鳴が、聞こえてきた。ダンテは、目を凝らしてみると、ものすごい勢いで水色の服を着た少女が、凄まじい勢いで彼の方に向かって来ていた。その少女の後ろからは、光の剣を持って走るテラの姿があった。


「なんか、あの少女、テラに襲われてないか……」


 ダンテが見ていると、あっという間に、少女は地面の雪を激しく飛び散らせながらダンテの近くまで駆けると、彼の後ろに回り込み、さっと身を寄せる。


「私、あの不審者に襲われてるの!!!助けてくれる、お願い!!!」


 少女は、ダンテにそう言ってテラの方を指差した。ダンテは、少女が指差す方向から迫るテラに視線を移し呟いた。


「あの不審者、一応、俺の仲間なんだけどな……」


 

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